「AI Together」をテーマに掲げ、6月2日から5日まで台北で開かれた「COMPUTEX TAIPEI 2026」は、来場者11万人超、3会場で33カ国/地域から1500社/6000ブースと過去最大規模で閉幕した。
会場を歩いて感じたのは、2026年の主役がNVIDIAであり、その狙いがAgent AI(エージェント型AI)をクラウドではなく手元で動かす点にあったことだ。
2026年のCOMPUTEX最大の注目は、開幕前夜の「GTC Taipei 2026」で発表された「RTX Spark」だろう。
RTX Sparkは、Arm CPUとBlackwell世代のGPUを1つのパッケージに収めたSoCだ。CPUの設計はMediaTekが担い、Cortex-X925とA725を合わせて20コアを搭載する。GPU側はGeForce RTX 5070と同じ6144基のCUDAコアを積み、両者をNVLink C2Cの高速リンクで結んでいる。
それでいてパッケージ全体の消費電力は140W前後と低い。これまでデータセンターで実施されていたCPU/GPU/大容量メモリの一体設計を、そっくりWindows PCへ持ち込んだチップでもある。
NVIDIAがWindows PC向けSoCを出すのは、2013年のWindows RTタブレット「Surface 2」に載った「Tegra 4」以来、実に13年ぶりだ。そのTegra 4もArmコアで、Arm版Windowsの先駆けとなるSurfaceと共にWindows RTの不発で姿を消したが、改めて市場に挑戦する形となる。
同社のジェンソン・フアンCEOいわく「Windows誕生から40年、MicrosoftとNVIDIAでPCを再発明する」とのことで、搭載PCはASUSTek Computer、Dell Technologies、HP、Lenovo、Microsoft、MSIなどから今秋以降に出てくる見込みだ。
COMPUTEXの会場では動く実機はほぼ展示されず、会期中にクローズドな場でホットモックがお披露目されたようだ。会場内で画面がついていたのはMicrosoftのSurface開発機くらいで、価格感も非公開だった。もっとも、筆者がMSIブースで聞いた感触では、Spark搭載ノートPCはハイエンド仕様のMacに張り合える価格に収めたい意向らしい。
RTX Sparkの肝は、CPUとGPUがメモリを共有するユニファイドメモリ構造だ。ユニファイドメモリは最大128GB搭載可能であり、数十億〜100億パラメータ級のローカルLLMを手元で走らせることができる。
そんなRTX Sparkは、「DGX Spark」とほぼ同一のものとみられる。DGX Sparkは、NVIDIAがRTX Sparkに先んじて投入していた小型のAI開発機だ。
独自のLinuxを積んだ開発者/エンタープライズ向けのミニPCで、最大2000億パラメータ級のモデルまで手元で走らせられる卓上のスーパーコンピューターをうたう。RTX Sparkは、要するにこの中身をWindowsに載せ替えたものと考えてよいだろう。
NVIDIAの会場では、DGX Sparkを使ったエージェント型AI「OpenClaw」がクラウドにつながず手元で動くデモが示されていた。各ブースの主役も、データを外部に出さず、機密データを抱えたまま自律的にファイルを開き、コードを実行し、結果まで検証する「ローカルAIエージェント」だった。
RTX Sparkでは、こういったユースケースをWindowsのノートやミニデスクトップで実現し、一般のユーザーに届けることができるようになると予測できる。
NVIDIAが新型プロセッサ「RTX Spark」でWindows PCに“再挑戦” 搭載PCは2026年秋に登場
「DGX Station for Windows」搭載PCってどんな感じ? NVIDIAの展示会場で見てきた
コンパクトボディーにスパコン並みのAI性能! 「NVIDIA RTX Spark」搭載ミニデスクトップPCを見てきた
米MS、NVIDIAの新チップ・RTX Sparkを搭載した「Surface Laptop Ultra」発表 大規模AIモデルをローカル実行
所有しているのに、手元にないように感じる不思議さ ミニスパコン「NVIDIA DGX Spark」と過ごした1カ月Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.