主戦場はクラウドから「手元のAgent AI」へ COMPUTEXでNVIDIAとIntelが描いた次世代PCの姿:COMPUTEX TAIPEI 2026(1/3 ページ)

» 2026年06月15日 12時00分 公開

 「AI Together」をテーマに掲げ、6月2日から5日まで台北で開かれた「COMPUTEX TAIPEI 2026」は、来場者11万人超、3会場で33カ国/地域から1500社/6000ブースと過去最大規模で閉幕した。

 会場を歩いて感じたのは、2026年の主役がNVIDIAであり、その狙いがAgent AI(エージェント型AI)をクラウドではなく手元で動かす点にあったことだ。

主役は13年ぶりのWindows向けSoC「RTX Spark」

NVIDIA「RTX Spark」のチップ。会場では搭載PCのモックも展示されていた NVIDIA「RTX Spark」のチップ。会場では搭載PCのモックも展示されていた

 2026年のCOMPUTEX最大の注目は、開幕前夜の「GTC Taipei 2026」で発表された「RTX Spark」だろう。

 RTX Sparkは、Arm CPUとBlackwell世代のGPUを1つのパッケージに収めたSoCだ。CPUの設計はMediaTekが担い、Cortex-X925とA725を合わせて20コアを搭載する。GPU側はGeForce RTX 5070と同じ6144基のCUDAコアを積み、両者をNVLink C2Cの高速リンクで結んでいる。

 それでいてパッケージ全体の消費電力は140W前後と低い。これまでデータセンターで実施されていたCPU/GPU/大容量メモリの一体設計を、そっくりWindows PCへ持ち込んだチップでもある。

 NVIDIAがWindows PC向けSoCを出すのは、2013年のWindows RTタブレット「Surface 2」に載った「Tegra 4」以来、実に13年ぶりだ。そのTegra 4もArmコアで、Arm版Windowsの先駆けとなるSurfaceと共にWindows RTの不発で姿を消したが、改めて市場に挑戦する形となる。

 同社のジェンソン・フアンCEOいわく「Windows誕生から40年、MicrosoftとNVIDIAでPCを再発明する」とのことで、搭載PCはASUSTek Computer、Dell Technologies、HP、Lenovo、Microsoft、MSIなどから今秋以降に出てくる見込みだ。

MSIブースにてRTX Spark搭載機種の展示。実機には触れられないよう厳しく監視されていた MSIブースにてRTX Spark搭載機種の展示。実機には触れられないよう厳しく監視されていた

 COMPUTEXの会場では動く実機はほぼ展示されず、会期中にクローズドな場でホットモックがお披露目されたようだ。会場内で画面がついていたのはMicrosoftのSurface開発機くらいで、価格感も非公開だった。もっとも、筆者がMSIブースで聞いた感触では、Spark搭載ノートPCはハイエンド仕様のMacに張り合える価格に収めたい意向らしい。

RTX SparkでローカルでLLMもエージェントも動く

 RTX Sparkの肝は、CPUとGPUがメモリを共有するユニファイドメモリ構造だ。ユニファイドメモリは最大128GB搭載可能であり、数十億〜100億パラメータ級のローカルLLMを手元で走らせることができる。

 そんなRTX Sparkは、「DGX Spark」とほぼ同一のものとみられる。DGX Sparkは、NVIDIAがRTX Sparkに先んじて投入していた小型のAI開発機だ。

 独自のLinuxを積んだ開発者/エンタープライズ向けのミニPCで、最大2000億パラメータ級のモデルまで手元で走らせられる卓上のスーパーコンピューターをうたう。RTX Sparkは、要するにこの中身をWindowsに載せ替えたものと考えてよいだろう。

NVIDIA GTCではDGX SparkでOpenClawを動かすデモが実施されていた NVIDIA GTCではDGX SparkでOpenClawを動かすデモが実施されていた

 NVIDIAの会場では、DGX Sparkを使ったエージェント型AI「OpenClaw」がクラウドにつながず手元で動くデモが示されていた。各ブースの主役も、データを外部に出さず、機密データを抱えたまま自律的にファイルを開き、コードを実行し、結果まで検証する「ローカルAIエージェント」だった。

 RTX Sparkでは、こういったユースケースをWindowsのノートやミニデスクトップで実現し、一般のユーザーに届けることができるようになると予測できる。

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