Agent AIにおいては、GPUによる推論だけでなく計画立案/ループ管理/ツール呼び出し/結果統合といったオーケストレーションが必要になる。これらの高度な判断が必要なところはCPUの領分であり、CPUとGPU、そしてメモリを束ねるユニファイド構造が求められる。
この統合型コンピューティングを実現しようとしているのは、NVIDIAだけでない。COMPUTEXにおけるもう1つの象徴はIntelだ。
半導体大手のIntelは、「Arc G3シリーズ」というSoCをもって自社CPUとGPUを協調させる構想を発表した。会場ではArc Pro GPUを大量に積んだサーバも見られ、ゲーミング領域だけでなくAI、とりわけローカル・エッジ推論を見据えた動きを見せていた。
リップブー・タンCEOの基調講演も、クライアントからエッジ、データセンターまでの全バリューチェーン獲得を掲げていた。
Qualcommはクリスティアーノ・アモンCEOが開幕基調講演に立ち、Snapdragon C搭載Windowsノートのリファレンス機を提示した。MediaTekは車載SoCを並べつつ、RTX SparkのCPU(Cortex-X925×10+A725×10の20コア)の設計を担当したことをPR。一昔前までは通信に注力していた企業もコンピューティングへ軸足を移す動きを見せており、かつてGoogleがChromebookで進めた「処理はクラウドへ」とは正反対の流れとなっている。
一方で、会場では将来的なエッジAI構想に対してデータセンター向けのソリューションも数多く見られた。特に、台湾のサプライチェーンを支える各社が並べたのはAIの大規模集中、すなわちデータセンターを支える電力/冷却技術にある。
その中で際立っていたのが台達電(Delta Electronics)だ。構築期間を6割削るプレハブ型AIデータセンターを世界初公開し、産業向け展示の焦点の1つになっていた。800VDCの高圧直流給電と3MW級液冷を一体化し、Grid-to-Chipでチップ直上の液冷まで通しで提案する。電力密度が従来の48V構成ではさばけず、空冷では熱が追いつかないという現状課題へのアンサーの1つである。
他にもLITE-ON Technologyは110kW級の電力シェルフを、Wiwynnは両面冷却プレートや液体金属の熱伝導材を打ち出していた。
このように、データセンターの進化は計算能力の競争だけでなく電力と冷却という周辺領域へ広がりをみせはじめている。となると、もしAgent AIを手元で回す世界が来るならノートPCやモバイル用途も遠からず同じ問いに突き当たるだろう。小さなボディーでどう電力を供給し、どう熱を逃がすかといった課題はデータセンターからノートPCへ、そして最終的にはモバイル領域までもを巻き込む1つの大きな壁となると予測できる。
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