ソニーに聞く「Xperia 1 VIII」の裏側 デザイン刷新や20万円超えの理由、物議を醸したAIカメラ新機能の真相(2/2 ページ)

» 2026年08月10日 10時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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なぜ価格が最小構成で20万円に? 伝統のmicroSDスロットも継承

―― 今回、最小構成でも20万円を超える価格設定となりました。この背景について教えてください。

池氏 Xperiaの1シリーズはフラグシップとして、お客さまの期待を超える進化をお届けすべく開発しています。大型の望遠センサー、1 VIIからのデザイン刷新、先進的なAI技術など、所有する喜びや撮影・視聴体験を高めるために作り込みました。人件費やメモリ、物流費などの高騰も影響していますが、スペック上の数字だけでは図れない「体験価値」を感じていただけるよう努めています。

ソニー Xperia 洗練されたディスプレイと本体仕上げ フラグシップとしての体験価値や所有する喜びを追求したデザインだ

―― ストレージ容量も最大1TBまでラインアップが増えましたね。これもニーズを踏まえた判断でしょうか。

池氏 特にSIMフリーモデルを購入されるお客さまはリテラシーが高く、他社が1TBモデルを出している中で、容量が決め手になっていた部分がありました。実際に長年ゲームをプレイされてデータ容量が多い方や、過去の大量の写真データをそのまま持ち歩きたいという層から強いニーズがあり、販売も非常に好調です。

―― 他社が軒並み廃止する中、あえてmicroSDスロットを搭載し続けている理由は何でしょうか。

北澤氏 容量を気にせず写真や動画をたくさん撮っていただきたいからです。購入理由のアンケートでも、microSD対応は上位に入っており、お客さまの声を大切にしています。

池氏 microSDスロットやイヤフォンジャックの存在は、もはやXperiaのアイデンティティーだと認識しています。万人受けを目指す丸いスマートフォンが多い中、Xperiaのとがった部分を形成する重要な要素であり、失ってはいけない「Xperiaらしさ」の1つだと考えています。

ソニー Xperia Xperiaらしさを象徴するSIM・microSDスロットトレイ。ユーザーニーズの強い外部ストレージ対応を継続している

―― 今回、SIMフリーモデルでも初めてミリ波に対応しました。こちらも価格に反映されやすいですが、なぜ対応したのでしょうか。

池氏 ミリ波はまだどこでもつながる状況ではありませんが、エンタテインメントを支える通信技術として、ソニーにとって非常に重要な領域です。スマートフォン単体の採算だけでなく、グループ全体の技術的なレバレッジを考慮して取り組んでいます。「ネットワークビジュアライザー」という通信状況を視覚化するアプリも搭載し、ミリ波に対応したモデルを使っている実感や満足度を高めていただけるようにしています。通信技術の進化も、引き続きクリエイターやお客さまに寄り添うサービスの要として大切にしていきます。

ソニー Xperia 側面フレームに配置されたミリ波対応アンテナのアンテナエリア SIMフリーモデルでも待望のミリ波通信に対応を果たした
ソニー Xperia 通信状態を視覚的に確認できるネットワークビジュアライザーでは、ミリ波の接続状況をリアルタイムに把握できる

5シリーズの新型が不在――Xperiaは終わるのか、ソニーの考えは

―― 近年、1シリーズの価格高騰もあり、かつてあった「5」シリーズのような、1と10の「中間を埋める10万円クラスのモデル」を求める声も根強くあります。こうしたミドルハイやお手頃なハイエンドモデルの開発は検討されていないのでしょうか。

池氏 ラインアップが絞られていることは、われわれも理解しています。一般の市場動向やお客さまの支払い傾向、主要用途などは非常に頻度高く調査しており、その価格帯に一定のニーズや規模があることも承知しています。ただ、現状のXperiaとしては、最もXperiaらしさを体現したフラグシップの1シリーズと、日常使いでソニーらしさを最もコスパよく体験できる10シリーズの2本柱に集約することが、市場の要望に対して一番効率よく応えられる体制だと考えており、現時点では新たな中間ラインアップの追加という判断には至っていません。

 一方で、1シリーズを少しでも手にとっていただきやすくするために、ソニーストアでの下取り優待や、各キャリア様の端末購入プログラム、購入キャンペーンなどもフルに用意しています。これらを活用すれば、2年前のモデルから下取りに出すことで実質10万円強で購入できる仕組みも整えていますので、そうした買いやすさの工夫も含めて価値をお伝えしていきたいと考えています。

―― 一部SNSなどでは、いまだに「ソニーはXperiaをやめてしまうのではないか」といったうわさがささやかれることがあります。そうした不安を持つファンの方に、今後も安心して買い続けてよいという安心材料や、スマホを続ける意義についてお聞かせください。

北澤氏 スマートフォンをはじめとするモバイル端末にとどまらず、ソニーが長年培ってきた「通信技術」そのものが、グループ全体にとって極めて重要な事業であると考えています。現在、この通信技術はイメージング領域など多様な分野において、高速・低遅延での映像伝送を実現する要となっています。 ソニーのミッションである「テクノロジーの力で未来のエンタテインメントをクリエイターと共創する」のもと、特にイメージングの領域と通信技術の連携を強化・加速させることで、お客さまやクリエイターに寄り添うサービスを提供し続けています。モバイルビジネスは、そうしたソニーの最先端通信技術を展開し、磨き上げるための要であるため、非常に大切にしています。

2026年8月10日訂正: 北澤氏の発言内において「ソニーグループのミッション」と記載していた箇所は、正しくは「ソニーのミッション」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。

取材を終えて:ファンの声と独自の体験価値、そして「通信」の未来を追求するフラグシップ

 価格高騰が進む市場で、Xperia 1 VIIIはイヤフォンジャックやmicroSDスロットなど、ファンが求める体験価値を愚直に研ぎ澄ませている。さらに5シリーズに関しても現状の1シリーズと10シリーズの2本柱への集約による効率化や、グループを支える「最先端の通信インフラ」としての役割などが伝わってきた。

 単にファンの声に応えるだけでなく、確固たるポリシーと技術的戦略があるからこそ、Xperiaは他社にこびない独自の進化を続けられるのだと感じた。

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