世界を変える5G

インフラシェアリングから「周波数シェア」の時代へ ミリ波を落札したJTOWERの次なる戦略:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2026年08月22日 10時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

屋外ニーズが顕在化、シェアリング範囲も拡大

 JTOWERにはキャリアからどのような要望が寄せられているのか。田中氏は、「例えば関東、関西の鉄道沿線のトラフィック対応や、施設、工場地帯、テーマパーク、あとは公演などの施設オーナーからの対策ニーズも増えている」と話す。「昔だと、われわれがシェアリング用の鉄塔を建てたいと要望しても、『いやいや、私たちでやりますから』と断られることが多かったが、最近はむしろ新設の要望をいただくようになった」のは、JTOWERにとって追い風といえる。

JTOWER 屋外でシェアリングを行う事例も、徐々に増えてきているという

 こうした事例の1つとして、JTOWERは21日に長野県松本市と上高地の通信環境整備に関する協定を締結したと発表した。2027年の開山期からのサービス開始を予定しているという。田中氏によると、JTOWERに松本市を紹介したのも、キャリアだったという。「ここはシェアリングでやった方がいいんじゃないか、ということで松本市をご紹介いただき、対策に至った」(同)。

JTOWER 長野県松本市と協定を締結。この話も、キャリアからの紹介がきっかけだ

 また、上記の鉄道沿線対策のように、都市部の屋外でのインフラシェアリングもこの1年でキャリアからのニーズが出てきたという。この場合、「そこはわれわれがやり、まず1社から始めて、他のキャリアが対策したいというときに、アンテナをシェアするモデルを用いている」(同)という。

 都市部の鉄道沿線は、近隣のビルの屋上などの高い場所にアンテナを設置し、路線をカバーすることが多い。一方で、耐荷重の制限に加え、「アンテナを離隔しなければいけない」(同)といった制約もあり、4社全てのアンテナは設置できないケースも多い。このような場合にも、アンテナをシェアできるJTOWERの強みが生きてくる。

 シェアリングする場所の拡大に加え、技術的にはシェアリングする範囲も広げている。もともと、4Gのときには建物内にアンテナと中継装置を設置し、その先に各キャリアのベースバンドユニットをつなげて分岐させる方式や、屋外の鉄塔だけをシェアする方式が主流だった。これに対し、JTOWERは、Open RANに対応したRU(Radio Unit)を開発し、現在、試験を実施している。

JTOWER 設置する施設や場所だけでなく、キャリアとシェアリングする領域も徐々に拡大している

 これが導入されれば、ビル内に設置するのはJTOWERのRUだけで済むようになり、設置場所の面積を削減できる他、省電力にもつながる。RUまでを各キャリアでシェアしつつ、そこから先は離れた場所に置かれたCU(Central Unit)やDU(Distributed Unit)に接続し、各社のコアネットワークに抜けていくという構成だ。塩沢氏によると、「現在、キャリアとの接続導入に向け、着々とインタフェースの仕様を含めた協議を行っている」という。

JTOWER 右のラックがOpen RAN対応のRU。その技術を解説する塩沢氏

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