JTOWERにはキャリアからどのような要望が寄せられているのか。田中氏は、「例えば関東、関西の鉄道沿線のトラフィック対応や、施設、工場地帯、テーマパーク、あとは公演などの施設オーナーからの対策ニーズも増えている」と話す。「昔だと、われわれがシェアリング用の鉄塔を建てたいと要望しても、『いやいや、私たちでやりますから』と断られることが多かったが、最近はむしろ新設の要望をいただくようになった」のは、JTOWERにとって追い風といえる。
こうした事例の1つとして、JTOWERは21日に長野県松本市と上高地の通信環境整備に関する協定を締結したと発表した。2027年の開山期からのサービス開始を予定しているという。田中氏によると、JTOWERに松本市を紹介したのも、キャリアだったという。「ここはシェアリングでやった方がいいんじゃないか、ということで松本市をご紹介いただき、対策に至った」(同)。
また、上記の鉄道沿線対策のように、都市部の屋外でのインフラシェアリングもこの1年でキャリアからのニーズが出てきたという。この場合、「そこはわれわれがやり、まず1社から始めて、他のキャリアが対策したいというときに、アンテナをシェアするモデルを用いている」(同)という。
都市部の鉄道沿線は、近隣のビルの屋上などの高い場所にアンテナを設置し、路線をカバーすることが多い。一方で、耐荷重の制限に加え、「アンテナを離隔しなければいけない」(同)といった制約もあり、4社全てのアンテナは設置できないケースも多い。このような場合にも、アンテナをシェアできるJTOWERの強みが生きてくる。
シェアリングする場所の拡大に加え、技術的にはシェアリングする範囲も広げている。もともと、4Gのときには建物内にアンテナと中継装置を設置し、その先に各キャリアのベースバンドユニットをつなげて分岐させる方式や、屋外の鉄塔だけをシェアする方式が主流だった。これに対し、JTOWERは、Open RANに対応したRU(Radio Unit)を開発し、現在、試験を実施している。
これが導入されれば、ビル内に設置するのはJTOWERのRUだけで済むようになり、設置場所の面積を削減できる他、省電力にもつながる。RUまでを各キャリアでシェアしつつ、そこから先は離れた場所に置かれたCU(Central Unit)やDU(Distributed Unit)に接続し、各社のコアネットワークに抜けていくという構成だ。塩沢氏によると、「現在、キャリアとの接続導入に向け、着々とインタフェースの仕様を含めた協議を行っている」という。
5G向け26GHz帯の「電波オークション」の結果が判明 「全国枠」はドコモが62.88億円で落札 「地域枠」はJTOWERとハイテクインターが落札
JTOWER、ドコモから取得した鉄塔でキャリア4社の共用開始 オープンRAN対応の5G共用無線機も発表
5Gが変えたエリア競争の在り方 JTOWERの“インフラシェアリング”が支持されている理由
iPhoneでもミリ波の恩恵を ソフトバンクが模索する「ミリ波×Wi-Fi」という新解法
ドコモら、大容量ミリ波通信の実証に成功 複数の高速移動車両で安定通信が可能にCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.