JTOWERがは6月6日、通信事業者から取得した通信鉄塔において、4キャリアによるタワーシェアリングの運用を初めて開始すると発表した。沖縄県の鉄塔にて、各キャリアの準備が整い次第、順次運用をスタートさせる予定だ。
タワーシェアリングとは、通信事業者が個別に通信鉄塔を建設・保有するのではなく、1つの鉄塔を複数のキャリアが共同で利用する仕組みのこと。これにより、通信事業者は設備投資や運用保守にかかるコストを大幅に削減できるメリットがある。
複数のキャリアが同じ鉄塔を利用することで、迅速な基地局整備が可能になり、結果として通信エリアの拡大や、災害時の復旧力強化にもつながる。個別に鉄塔を建設する回数が減るため、工事回数や資材の消費が抑えられ、環境への負荷が軽減される。また、鉄塔の乱立を防ぐことで、景観保護にも貢献する。
JTOWERは2020年から屋外タワーシェアリング事業に本格参入している。自社での鉄塔建設に加え、NTTドコモ、NTT東日本、NTT西日本などから既存の通信鉄塔を譲り受ける「カーブアウト」を積極的に推進してきた。2025年3月時点で、約7400本の通信鉄塔を運用している。
近年、通信業界では、過去に敷設された通信鉄塔の老朽化対策や大規模災害への対応など、基地局インフラの安定運用と維持コストが大きな課題となっている。既存インフラの共同利用は、これらの課題を解決する有効な手段として期待されている。
あわせて、JTOWERは国内で初めてとなるオープンRAN対応の5G Sub6帯域共用無線機の開発を完了した。2025年度からは携帯キャリア4社との相互接続確認を進め、準備が整ったキャリアから順次利用を開始する。
これまで、通信インフラの共用は、アンテナや中継装置のシェアリングが一般的であり、基地局設備の中核となる無線機は、各携帯キャリアが個別に用意し、共用設備に接続する必要があった。今回JTOWERが開発した新しい共用無線機は、異なるベンダーの機器やシステムとの接続を可能にする「オープンRAN」に準拠している。
JTOWERの共用設備は、アンテナや中継装置だけでなく、無線機もシェアリングできるようになる。これにより、設置スペースの削減、設備費・工事費の削減、消費電力の削減、といったメリットが期待される。
5Gが変えたエリア競争の在り方 JTOWERの“インフラシェアリング”が支持されている理由
KDDIとJTOWER、通信インフラの安定運用と効率的な維持管理に向けて検討 通信鉄塔の整理統合へ
ドコモとJTOWER、インフラシェアリング推進に向け既存通信鉄塔を最大1552基譲渡
ドコモとJTOWER、最大6002基の通信鉄塔をインフラシェアリングへ活用
ドコモとJTOWER、インフラシェアリングで連携強化 5Gエリアの早期拡大へCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.