Mate XT 2で新たに加わったのが「プライバシーディスプレイ」だ。独立したデュアルピクセル構造を採用しており、機能を有効にすると狭視野角側のピクセルだけが点灯する。正面からは通常通り見えるが、斜めから見ると画面が黒くつぶれて読めなくなる仕組みだ。
ソフトウェア処理ではなく、パネル自体でのぞき見を防ぐ実装は、折りたたみスマートフォンでは初となる。
機能の切り替えは、外向きパネルのダブルタップか、側面の制御キーで行える。仕組みとしては「Galaxy S26 Ultra」が採用したものに近い。
10型のパネルを新幹線や機内で広げる場面を想像すると、これは分かりやすく実用的な機能だ。大画面化とのぞき見のリスクは表裏一体であり、三つ折りという形態に対する回答として筋が通っている。ただし、この機能を利用できるのは16GB+1TBのプライバシーディスプレイ版のみで、価格は2万4999元(約57万円)となる。なお、本体下部のUSBポート側から見た場合はのぞき見防止が効かないので注意が必要だ。
面白いのは、のぞき見対策がパネル側だけで完結していない点だ。Mate XT 2は片側のパネルだけを90度に折った状態でも使えるため、ファーウェイ自身が、立てたパネルを物理的な目隠しとして使う方法を提案している。
これはヒンジが任意の角度で止まるMate XT 2ならではの使い方で、同じG型でもヒンジの角度を保持できないGalaxy Z TriFoldには不可能な芸当だ。ハードウェアによるのぞき見防止と、折り方による物理的な遮蔽(しゃへい)。同じ課題に二段構えで応えている点に、G型では後発となったファーウェイの独自の設計思想を感じた。
もう1つの新機能がECG(心電図)解析だ。展開した状態で本体両側のフレームを握り、30秒間計測すると心電図レポートが生成される。フレーム自体を電極として使う設計だ。
特筆すべきは、この機能が中国の国家薬品監督管理局(NMPA)から第二類医療機器登録証を取得している点だ。スマートウォッチでは珍しくない機能だが、スマートフォン単体でこの認証を通してきたことには正直驚いた。
ここまで画面と新機能を中心に見てきたが、Mate XT 2はそれ以外の性能も高い。
SoCには、独自設計の「Kirin 9050 Pro」を世界で初めて搭載した。このチップで注目すべきは、ファーウェイが2026年5月に提唱した「τ(タウ)スケーリング」を実際の製品に導入した点だ。
これは、トランジスタを微細化して数を増やすムーアの法則的なアプローチではなく、信号が伝わるまでの時間τを短縮することで性能を伸ばす考え方だ。回路を縦方向に積み上げる「LogicFolding」アーキテクチャによって実装している。
米国の制裁によってEUV露光装置を使えず、製造プロセスの微細化が難しい状況に対する、設計側からの答えといえる。ファーウェイは同一プロセスのままトランジスタ密度を55%高めたとしており、商用製品での実証はこのKirin 9050 Proが初となる。
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2606/01/news090.html
性能面では、ファーウェイは「自社史上最強のスマートフォン向けチップ」と表現しており、Mate XTs(Kirin 9020)比で総合性能が42%向上したという。CPUはシングルコアのピーク性能が24%、マルチコアの並列性能が52%向上したとしている。GPUはリアルタイムレイトレーシングに対応し、レンダリング性能は142%向上したという。
NPUはダヴィンチアーキテクチャを採用し、業界で初めて、総パラメーター数300億(30B)、アクティブパラメーター数20億(2B)のMoE型フルモーダルモデルを端末上で実行できるとうたう。オンデバイスAIを用いた機能は試せなかったが、NPU性能も従来モデルから大きく進化しているという。
オンデバイスでのAI処理を前提としているためか、メモリは全構成で16GBだ。ストレージは256GB/512GB/1TB/2TBを用意し、microSDによる拡張には対応しない。OSはHarmonyOS 7を採用する。
実際に使ってみても、動作はかなり快適だ。プリインストールされているゲームだけでは性能を試し切れなかったが、Kirin 9010を搭載するMate XTと比べても、動作は明確に改善されている。
通信回りでは天通衛星通話と北斗衛星メッセージに対応し、衛星ページングの成功率が42%、衛星の捕捉速度が40%向上したという。携帯電話の電波が届かないエリアでも、通話やメッセージの送信が可能だ。放熱には大型のベイパーチャンバー(VC)とグラフェンを、ヒンジをまたぐ形で配置する構造を採用し、ゲーム時の温度上昇を2.5℃抑えたとしている。
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