「iPhoneじゃなくてもいい」と思わせたAndroidの躍進、生活を変えた「b-mobileSIM」:ITmediaスタッフが選ぶ、2010年の“注目ケータイ&トピック”(ライターmemn0ck編)
今年は日本での携帯電話市場の風向きが大きく変わった1年だと言えるだろう。最も大きいのは各通信事業者がスマートフォンへの移行をねらって新機種を投入してきたことだ。タブレットやモバイルWi-Fiルーターなどの非音声機種も登場した。そんな1年を振り返り、筆者が気に入った機種を紹介していこう。
「Nexus One」で幕を開けた2010年のAndroid
まず一番に挙げておきたいのは、やはりAndroidの躍進だろう。国内でも、4月に「Xperia(SO-01B)」「HTC Desire X06HT」、7月に「IS01」「LYNX SH-10B」、9月に「HTC Desire X06HTII」、10月に「HTC Desire HD 001HT」「GALAXY S(SC-02B)」、11月に「IS03」「GALAXY Tab(SC-01C)」、12月に「LYNX SH-03C」「GALAPAGOS 003SH」「REGZA Phone T-01C」「HTC Aria(E31HT)」「DELL Streak 001DL」などが発売されている。「SIRIUSα IS06」(12月23日発売)と「Libero 003Z」(12月24日発売)を加えると、2010年は計16機種ものAndroid端末が日本で投入されたことになる。
そんな中で最も注目したのは、年明け早々に発表、発売されたGoogleブランドの「Nexus One」だ。発売時から当時の最新プラットフォーム「Android 2.1(Eclair)」を搭載し、直後に「Android 2.2(Froyo)」へバージョンアップされた。国内の年末モデルもこれらの2.1もしくは2.2を採用していることもあり、2010年のAndroidの礎となったモデルといっても過言ではないだろう。
一方、ソフトバンクモバイルは7月に「iPhone 4」を発売したが、1世代前の「iPhone 3GS」の完成度が高かっただけに、インパクトに欠けた印象を受けた。ホワイト狙いだった筆者はいまだにiPhone 4は購入していないこともあり、個人的には2010年のiPhoneの印象は薄かった。
このiPhoneの代わりとして十分に使えるなと思わせたのが、Nexus Oneだ。国内モデルの中では、X06HTと言い換えてもいいだろう。まだiPhoneと比べてユーザーインタフェースが洗練されていない部分もあるが、機能的には十分に追いつき、個人的には一部追い越した感もある。Android 2.3 (Gingerbread)も発表され、来年もますますAndroidから目が離せない年になりそうだ。
2010年1月に発売されたGoogleブランドのAndroidスマートフォン「Nexus One」(中央)と、今年発売されたAndroidスマートフォンやAndroidタブレットたち。個人的に端に写っている「HTC Desire Z」を勝手に「Nexus Two」だと思い込んでいる(笑)。Nexus Oneは、部品供給の問題で販売停止になりつつも、Googleブランド第2弾「Nexus S」も海外で発売された
これならいけると確信できた「F-01C」と「jigtwi」の組み合わせ
スマートフォンが盛り上がる中で、“ガラケー”もとい“フィーチャーフォン”も魅力的な機種が多かった。中でも、ここ数年ずっと愛用している富士通製モデルは完成度がさらに高くなっている。
最新モデルということで「F-01C」を挙げたが、筆者は「F-06B」を利用している。F-06Bは、MOAP(S)の共通プラットフォーム「FOMA端末用オペレータパック」第1弾モデルということで、いまひとつな部分もあったが、F-01Cではそういった部分がかなり解消され、使いやすくなっている。ただ、今年は機種そのものよりも、ドコモマーケット(iアプリ版)やiアプリなどにより、「ケータイでもここまでできる」と示してくれた「jigtwi」との組み合わせを選びたい。
iPhoneの登場以来、スマートフォンの勢いが増しているが、国内のフィーチャーフォンの機能やサービスは、スマートフォンよりも優れている部分も多い。筆者は、これまでにもインタフェースの見せ方さえうまくまとめれば、スマートフォンよりも日本人にとって使いやすいデバイスになると思っているが、その1つが「jigtwi」で具現化されたといえる。
ウィルコム復活なるか? 「HONEY BEE 4」と「だれとでも定額」の可能性
今年の大きなトピックの1つは「ウィルコム倒産」も挙げられる。再建への道のりは省くとして、ようやく年末に再建方針が認められ、再出発のかじが切られた。その切り札が「だれとでも定額」と「HONEY BEE 4」だったわけだ。HONEY BEEシリーズは初代から注目している機種で、シリーズを重ねるごとに洗練され、開発リソースが苦しい中、さまざまな工夫が見られる。
今回もアウトカメラだけでなくインカメラでもムービー撮影ができるようになっているなど、面白い試みがなされている。一瞬「あれ? ウィルコムの070定額や誰とでも定額でテレビ電話もできちゃうの?」と思ったが、それはなかったようだ……。
ライフスタイルを変えた日本通信「b-mobileSIM」
日本通信「b-mobileSIM」のパッケージ。上下300Kbpsと低速な代わりに、月額利用料が約2000円強というリーズナブルな価格で利用できる。SIMロックフリー端末またはNTTドコモの機種で利用できる
筆者が生活をする上で最も影響を受けたサービスは、日本通信「b-mobileSIM」だ。筆者は長らく日本通信のサービスを利用してきたが、同社がずっと提唱してきた“通信電池”が一般にも浸透した製品だったのではないだろうか。
もちろん、iPhoneを広く安定したNTTドコモのネットワークで利用できる「b-microSIM プラチナサービス」も大きなトピックだったが、個人的にはその前に発売された、格安データ通信プリペイドサービスのb-mobileSIMの方が、生活意識を変えてくれるほどインパクトが大きかった。ちょうど今年は、SIMロック解除の議論も多数なされ、日本通信が大きくクローズアップされた形となった。
このように、今年は携帯電話市場で非常に大きなターニングポイントがいくつもあった。フィーチャーフォンからスマートフォンへの流れ、スマートフォンへ対抗しようとするフィーチャーフォンの流れ、新生ウィルコムのリスタート、SIMロック解除論争……。
ソフトバンクの孫社長がご執心な「竜馬伝」の坂本竜馬の言葉「人の世に道は一つということはない。道は百も千も万もある」を借りると、「デバイスの世に道は一つということはない。道は百も千も万もある」と言える。単一のプラットフォームや機種だけではつまらないので、2011年もさまざまな機種が発売されることを期待しているぜよ。
関連キーワード
Android | スマートフォン | iPhone | HTC Desire X06HT | b-mobileSIM | SIMカード | ウィルコム | b-mobile | 日本通信 | Nexus One | F-01C | HONEY BEE(WX331K) | iアプリ | MOAP | F-06B | HONEY BEE 4 | SIMロック | SIMロックフリー | HTC Desire HD 001HT | だれとでも定額 | Android 2.2 | Android 2.3 | ドコモマーケット | Galaxy S | iPhone 4 | SIRIUSα IS06 | Nexus S | Samsung Galaxy S | Samsung GALAXY Tab | Xperia(SO-01B) | DELL Streak 001DL | GALAPAGOS 003SH | Libero 003Z | エイビット | Android 2.1 | 通信事業者 | F-04B | HTC Aria | HTC Desire HD | HTC Desire Z | iPhone 3GS | IS01 | IS03 | LYNX 3D SH-03C | LYNX SH-10B | 孫正義 | REGZA Phone T-01C | HTC Desire X06HTII
関連記事
- Google、Android 2.1搭載の“スーパーフォン”「Nexus One」を発表
Googleが1月5日(現地時間)、自身が端末の開発に深く関わり、Android OSの性能を最大限に引き出したスマートフォン「Nexus One」を発表した。米国では即日販売を開始している。 - Snapdragon搭載でサクサク? YouTube動画で見るNexus One
Googleが発表した最新のAndroid端末「Nexus One」は、Android OSが持つ性能を現時点で最大限まで引き出した端末として注目に値する。気になるその外観や操作感は、YouTubeに公開されている公式動画でチェックできる。 - 購入リポート:高度3000メートルで「Nexus One」を買ってきました
Googleが自社ブランドで自らAndroidケータイを発売する――。2009年末から、IT業界は話題騒然となっていた。この“Googleフォン”をぜひとも入手したいと思い、年明け早々からドタバタ劇を繰り広げたあるライターの物語。 - ウィルコム、「HONEY BEE 4」「新ウィルコム定額プランS」「だれとでも定額」で再出発
ウィルコムが12月1日、会社更生計画の認可決定を受けて新たな端末と料金プラン、オプションサービスを発表。既存の料金プランの集約や新規受け付け終了など、新生ウィルコムの概要を明らかにした。 - ネットワークも増強する:常識を打ち破る新プランで3カ月以内の純増を目指す――新生ウィルコムが始動
月額980円で他社ケータイや固定電話との通話料が無料になる「だれとでも定額」を発表したウィルコム。同サービスはウィルコム再生の一手となり得るのか。そしてソフトバンクグループとのシナジー効果とは――。 - 写真で見る「HONEY BEE 4」
「だれとでも定額」の提供開始日と同日に発売されたウィルコムの「HONEY BEE 4」。おなじみのポップなストレート形状はそのままに、キーの押し心地やカメラ機能、便利機能を強化した。 - 2011年に登場する?:Wi-Fiルーター内蔵、腕時計型、超小型――ウィルコムが提案する“次のPHS”
「だれとでも定額」や「HONEY BEE 4」の発表会で、ウィルコムは2011年春以降に発売を予定しているモデルや、商品化は未定のコンセプトモデルも展示していた。その一部を紹介しよう。 - 日本通信、ドコモ網のSIMカードを単体販売――SIMロックフリー端末向けに
日本通信がSIMロックフリーの端末向けに、ドコモの3G網に対応するSIMカードを単体販売する。2万9000円で1年間、メールやWeb閲覧などのパケット通信が使い放題になる。 - 日本通信がiPhone 4向けmicro SIM発表 FOMA網「フル活用」&テザリング対応
日本通信がSIMフリーのiPhone 4に対応するmicro SIM「talking b-microSIMプラチナサービス」を発表。FOMAネットワークを「フル活用」できるとしており、テザリング利用にも対応している。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.