「ワイヤレスジャパン2012」(6月1日まで、東京ビッグサイト)で、KDDIが「通信」に関わる3つの新技術を参考出展している。スマートフォンに大容量コンテンツを配信する技術や、異なる無線規格を組み合わせて“超”高速通信を実現する無線技術などが展示され、会場の注目を集めていた。
「NFC×Wi-Fi連携システム」は、近距離無線通信技術のNFCとWi-Fiを組み合わせてスマートフォンにコンテンツを配信する技術。具体的には、NFCタグを取り付けたポスターなどにNFC対応スマートフォンを近づけると、指定のWi-Fiアクセスポイント(AP)に自動で接続。AP経由で自動でサーバにコンテンツをリクエストし、動画や音楽などをストリーミング再生する――という仕組みだ。
無線APに接続する場合、通常はSSIDやWEPキーなどによる認証が必要。だが同システムではNFCによってAPの認証情報を自動取得するため、AP接続に伴うユーザーの負担を軽減するとしている。
会場では、音楽バンドのポスターを使ったデモが披露された。バンドメンバー4人のうち任意のメンバーの顔にスマートフォンをかざすと、スマートフォンがポスター内のNFCタグと通信してAPと自動接続。バンドメンバーによって異なる動画コンテンツが表示される仕組みになっていた。
同技術は今年7月〜9月末にかけて「サンリオピューロランド」(東京都多摩市)での試験利用が予定されているほか、今後コンテンツベンダーなどとの協業を通じて「今夏以降随時」(説明員)本格展開していくとしている。
「リンクアグリゲーション無線技術」は、3GやWiMAX、LTE、Wi-Fiなど異なる規格の無線をつなぎ合わせてスマートフォンで利用できるようにする技術。通信の安定化が見込めるほか、ダウンロード速度を屋内(静止時)で平均2.4倍、屋外(移動時)で平均2.2倍高速化するとしている。
同様の技術は従来からあったものの、これまでは「ネットワーク側に特別な装置やアプリケーションを導入する必要があった」(説明員)。新技術では、スマートフォン側に専用アプリをインストールするだけで利用できるようにしたという。
新技術は総務省からの受託案件として開発した。商用化の時期は未定だが、技術的には一定の完成度に達しており「現在は課金方法などを含めて社内で検討中」「遠くない未来に提供できると思う」(説明員)としている。現時点ではAndroidのみに対応する。
「HTML5を使った車載インフォテインメント」は、スマートフォンと車の車載ディスプレイをWi-Fi接続し、スマートフォン内部のWebアプリケーションやコンテンツなどを車載ディスプレイで利用できるようにする技術。HTML5に対応するWebブラウザを搭載した車載ディスプレイで使える。
スマートフォンの地図アプリや「LISMO WAVE」などのインターネットラジオを車載ディスプレイで利用できるようになる。スマートフォンのローカルフォルダに保存した音楽コンテンツやWebアプリケーションなども利用でき、「トンネルや山間部などの電波がつながりにくい場所でも途切れることなく利用できる」(説明員)としている。
また、ユーザーは自分のスマートフォンを車載ディスプレイにつなげることで「あらゆる車を自分のマイカーのように利用できる」メリットもあるという。例えば1台のクルマを家族で共有する場合も、接続したスマートフォンによって異なるコンテンツを車載ディスプレイで利用できるようになる。
商用化の有無や時期は未定。説明員によれば、現時点でHTML5対応のWebブラウザを搭載した車載ディスプレイは販売されておらず「いくつかの車載機メーカーやカーメーカーと商談を行っている状況」としている。
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