まず、システム全体のパフォーマンスを示すSYSmark2002 Ratingだが、AK86-Lと比較して4ポイントも上回っている。個別の結果を見てみると、Internet Content CreationではAK86-Lに2ポイント負けているものの、Office Productivityでは8ポイントも優っている。
Office ProductivityがAK86-Lよりも優れている原因として、ディスクアクセスのパフォーマンスが大きく影響していることが考えられる。WinBench99 Ver.2.0のDiskWinMarkでは、BusinessDisk WinMarkもHigh-End Disk WinMarkともに、AK86-Lを大きく引き離している。この結果は、nForce3のIDEコントローラの性能が高いことを示しているといえるだろう。
そのほかのベンチマークでは、MK89-LとAK86-Lでそれほど大きな差は出ておらず、ほぼ等しい性能と見ることができる。強いて言えば、3DMark2001 SecondEditionと3DMark03のスコアで、AK86-Lが上回っていることから、K8T800のほうがAGP周りのパフォーマンスに関して高性能と考えることもできる。ただしその差は小さい。 全体的なパフォーマンスとしてはSYSMark2002の結果が示すように、MK89はmicroATXながら、パフォーマンスを重視したマザーボードだと言えるだろう。
パフォーマンスではAK86-Lに勝利を収めたものの、パワーユーザーが重視するオーバークロック関連の設定では、従来のmicroATXマザーボードと同様、自由度が少ないメニュー構成となっている。
設定できる項目が少ないため、最近では当たり前となっている「Frequency & Voltage Setting」も独立したメニュータグが存在しない。わずかにFSBの設定が「Advanced Chipset Features」に用意されているだけだ。
FSBの設定に関しては、200MHzから250MHzまで1MHz単位で設定可能。しかし先ほど述べたように、残念ながらVcoreやメモリ電圧の設定ができないので、CPUの性能をギリギリまでチューニングしたいという志向のユーザーには向かないだろう。
ただし、CPUやシステム温度を監視して、ファンの回転数を動的にコントロールできる「Smart Fan Control」や、システムを以前の状態に素早く戻すことが可能な「Ez-Restore」など、サイレントPCの実現や高度なセキュリティを意識した、AOpenならではのBIOS機能はMK89でもサポートされている。
また、「Advanced Chipset Features」には、あまり一般的でないLDT関連の設定が用意されている。この項目は、CPUとチップセット間のバス帯域を設定するオプションで、具体的にはハイパートランスポートのモードを指定する。
BIOSのデフォルトでは、LDT Speedが2xに設定されているが、これを3xに変更することでわずかながらもパフォーマンスがアップする。実際に測定したところ、PCMark04が3747から3777に、3DMark03が1511から1580に、3DMark2001 SEが14045から14289へとアップしている。
数値を見てもらっても分かるように、この設定変更はそれなりに効果がある。この評価作業中でもシステムが不安定になることもなかったので、「microATXといえどパフォーマンスには妥協しない」というユーザーは、ぜひとも「LDT Speed」を「3x」で設定しておきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.