Pentium M搭載ノートのライバルとなるか――Mebius MURAMASA PC-MM2-5NE(3/3 ページ)

» 2004年01月22日 20時00分 公開
[平澤寿康,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

標準バッテリーで3.5時間と長時間駆動を実現

 PC-MM2は、標準バッテリーで約3.5時間の駆動が可能だ。PC-MM2の標準バッテリー容量は19.98Whと、一般的なミニニートの標準バッテリーよりも容量が少ないが、それでも3.5時間駆動を実現している。これは、省電力機能「LongRun」と、PC-MM2の持つ省電力切り替えスイッチ「MOBILEスイッチ」を利用することにより実現している。

 MOBILEスイッチは、キーボードの右上に用意されているスイッチで、「MOBILEモード」と「NORMALモード」が用意されており、MOBILEモードでは液晶の輝度やCPUクロックを制御しバッテリ駆動時間をアップするようになっている。

キーボード右上に用意されている「MOBILEスイッチ」

 オプションとして用意されている中容量と大容量のバッテリーを利用した場合、中容量バッテリーで約6時間、大容量バッテリーで約11時間という、さらなる長時間駆動が可能だ。

EfficeonでWindowsの操作感はどう変わったのか

 PC-MM2を利用する上で最も気になるのは、CrusoeからEfficeonに変わったことで体感性能がどうなったのか、という部分だろう。

 メーカーの発表によれば、従来と比べて140%の向上が見られるということだ。確かに、Crusoe搭載マシンのような、Windows操作時のもたつきは感じなくなっっており、かなりきびきびと動作しているという印象を受ける。

 しかし、インテル製CPUと比較すると、やはり若干のもたつきを感じてしまうのも事実だ。アプリケーション起動時などに、1テンポ起動が遅れる、といったような印象を受けた。ベンチマークテスト結果から見ても、Hyper Transportの効果もあってかMemory Scoreの値はよいのだが、CPUやグラフィック系が弱いために、もたつきがあるとも考えられる。

PCMark2002のベンチマークテスト結果
3DMark2001SEのベンチマークテスト結果

 つまり、従来のCrusoe搭載ノートユーザーから見れば、かなりのパワーアップが感じられると思われるもの、Pentium M搭載ノートユーザーから見ると、同等の性能が発揮されているとは思えないかもしれない。

 Efficeonは今後90ナノメートルプロセスルールでの製品が登場することになっている。このときには、LongRunもバージョンアップして「LongRun2」となる(関連記事参照)。

 LongRun2では、動作クロックだけでなく、待機状態で問題になる「Vt」(しきい電圧)と呼ばれる電圧を制御することでリーク電流を減らすため、消費電力の低減が実現できるという。リーク電流はCPUの消費電力が増加する原因であり、リーク電流の制御はCPUメーカーにとって急務とも言える課題となっている。

 IBMやMotorola、AMDは、「SOI」(Silicon On Insulator)という方法を採用している。これはトランジスタとシリコンウェハの間に絶縁層を設けてリーク電流が流れるのを阻止する方法で、4分の1程度にリーク電流を抑えられる。

 また、インテルが取り組んでいるのは「DST」(Depleted Substrate Transistor)という方法で、絶縁体の上にトランジスタを作成することで、リーク電流を100分の1程度に抑えようというものだ。

 このような省電力技術の中でもTransmetaのLongRun2は先端を走っており、今後はより高いバッテリー駆動時間が実現できるようになるだろう。そしてさらに性能が向上すれば、Pentium Mの強力なライバルになる可能性を秘めている。しかし問題なのは、現状のEfficeonにはLongRun2が搭載されていない、ということだ。

 このタイプのノートPCを欲しいと思う人は、「携帯性」(軽さ)と「長時間駆動」がキーポイントになる。これを考えていくと、それほど多く選択肢があるわけではない。

 ただしPC-MM2は、実売価格が20万円を切っており、ミニノートとしてコストパフォーマンスは非常に高いと言ってよいだろう。Pentium M搭載ノートと比較すると、性能的に若干劣ると感じるかもしれないが、クレードル経由での利用など、他社にない特徴も備えている。手軽に持ち運んで使うモバイルノートを探している人に選択候補の1台としておすすめしたい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月29日 更新
  1. ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現 (2024年03月28日)
  2. Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる (2024年03月27日)
  3. ダイソーで330円の「手になじむワイヤレスマウス」を試す 名前通りの持ちやすさは“お値段以上”だが難点も (2024年03月27日)
  4. 「ThinkPad」2024年モデルは何が変わった? 見どころをチェック! (2024年03月26日)
  5. ダイソーで550円で売っている「充電式ワイヤレスマウス」が意外と優秀 平たいボディーは携帯性抜群! (2024年03月25日)
  6. 次期永続ライセンス版の「Microsoft Office 2024」が2024年後半提供開始/macOS Sonoma 14.4のアップグレードでJavaがクラッシュ (2024年03月24日)
  7. 日本HP、個人/法人向けノート「Envy」「HP EliteBook」「HP ZBook」にCore Ultra搭載の新モデルを一挙投入 (2024年03月28日)
  8. サンワ、Windows Helloに対応したUSB Type-C指紋認証センサー (2024年03月27日)
  9. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  10. レノボ、Ryzen Threadripper PRO 7000 WXシリーズを搭載したタワー型ワークステーション (2024年03月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー