レビュー
» 2004年07月07日 16時07分 公開

音の移動に猫も振り向いた――擬似5.1ch対応のノート向けUSBスピーカー「Nita」 (2/2)

[岩城俊介,ITmedia]
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民生用5.1chのDVD視聴環境と擬似5.1ch環境の差を検証

 気になるのは、民生用5.1chのDVD視聴環境と擬似5.1ch環境の差である。

 あくまで私的にだが、5.1ch環境で聞くとその差が分かりやすいソフトとして、「マトリックス」「トップガン」という有名映画と、もう一つお気に入りである「ノッティングヒルの恋人」をチョイスした。民生5.1chでは下記のように聞こえる場面だ。

 「マトリックス」は、チャプター30、1時間46分付近の、エージェント・ジョーンズが、ネオ役扮するキアヌ・リーブスに向けて、デザートイーグルの大口径弾丸を連射するが、ネオがえび反りでよける有名な場面だ。場面回転を伴う複数の弾丸軌跡音の移り変わり、最後に弾丸が目の前に向かってくる。

 「トップガン」は、チャプター3、6分付近の、2機のF-14トムキャットと2機のミグ28が、正面から時速1600キロ同士でニアミスする場面だ。すれ違う際の「キュィィィィン」という音は右前から後ろへ、また、すれ違うそのミグ28の2機は機体1機分ほどの高度差で飛行しており、その分だけ2機の音は微妙に上下にずれて聞こえる。

 「ノッティングヒルの恋人」は、チャプター26、1時間34分付近の、いったん別れた"ダメ男"ウイリアム・タッカー役のヒューグラントと、映画スター、アナ・スコット役のジュリア・ロバーツが、アナの映画ロケ地で再会する場面だ。ここでは、上方奥で風に吹かれた葉の重なる音と鳥のさえずり、馬車の走る音が遠くで聞こえるといった、いくつかの特徴ある音がさまざまな方向から聞こえる。

 結果は、右から左へ、前から後ろへといった単純な音移動は実感することができた。なお、PC画面を見つめていた前述の飼い猫が、音の移動と一緒に後ろを振り返り、何かを探すようなしぐさをしたことも、ついでに付け加えておこう。

photo 筆者環境におけるベターセッティング。エコーが効きすぎるのを嫌い、音場を「ジェネリック」あるいは「室内」に、センタースピーカーを近づけて、フロント左右スピーカーをやや離した感じとした

 ただし、スピーカーシフター機能で6本のスピーカー位置などを調整しながら何度か聞いてみたのだが、残念ながら上記のような微妙な感じは民生5.1chシステムと同等には再現できなかった。また、リビングルーム、講堂、格納庫、ホール、森などが用意される音場環境、Dance、Rock、RAP、Vocalなどがプリセットで用意されるイコライザーを有効にすると、どうも不自然なエコーがかかったり、音量が揺らいだりする傾向があるのが気になった。

 もう一つ残念なのは、AC'97オーディオの標準設定メニューや、よくあるオーディオ環境ソフトと同じような、使い道が少なく“映画的ではない音場”しか用意されていないことである(採石場や石敷き廊下を再現してどうするというのだ……)。

 手持ちのAVアンプでは、Dolby Digital、Dolby Prologic IIなどのデフォルト項目のほかに、SCI-FI(Science Fiction)、ADVENTURE、MONO MOVIE、SPECTACLE、TV SPORTS、ROCK CONCERT、CONCERT HALLなどが用意されているが、これらのほかに、有名映画館の音場などを(なんとなくでも)用意してくれると、気分が乗ってくる気がするのだが。

付属クリップにより、ディスプレイ上部に挟むだけで設置できる手軽さ

 ディスプレイ上部に、1センチの幅のものに挟めるクリップ付きのNitaは今回、私の日本IBM「ThinkPad X40」用として使おうとしたが、実は……クリップに挟むことができなかった。ThinkPad X40は、ディスプレイ部分こそは薄いが、上面ふちが逆L字状となっており、幅が1.4センチほどと、やや厚いためである。

 しかし、一応大丈夫だ。このクリップ部は、本体下部を軸に180度ほど回転し、上下向きの調節が行えるようになっている。本体下部のフチとディスプレイ上面のフチとを、クリップの回転機構を利用して挟むようにすることで固定できた。この方法を使えば、ディスプレイ部分が厚い機種にも(無理やり気味だが)対応させることができるかもしれない。

photo ThinkPad X40の場合は、クリップの回転機構により挟んで設置することができる

 というわけで、何人かのITmedia記者のPCを例に設置を試してみた。

photo AK記者のアップルコンピュータ「iBook G4」の場合。設置はしっくりきたが、iBook G4のホワイト筐体とNitaのシルバーがちょっと合わないかも(音再生のみであれば、MacOS X搭載のこの機種でも使用できた)
photo I記者の東芝「dynabook C8」の場合。こちらも設置はぴったり。DVDドライブ搭載の2スピンドル機とあって、特におすすめできそうだ
photo YK記者の松下電器産業「Let'snote R1」の場合。コンパクトなR1にはやや頭でっかちと感じるかも。また、ディスプレイラッチにより、やや左にオフセットして設置しなければならない
photo G記者の富士通「FMV-LOOX」の場合。ワイドディスプレイ搭載のLOOXにはちょうどよいサイズのようで、なかなか似合っている。
photo S記者のソニー「バイオノートSR」の場合。今回試したPCのなかで最も薄いディスプレイ上面幅サイズを持つPCであったが、うまくクリッピングされた
photo ライターT氏のエプソンダイレクト「EDiCube」の場合。14.1インチ液晶に設置すると、本体がコンパクト過ぎてちょっと物足りなさを感じる

photo ……そしてN記者の場合。もちろん内緒で撮影した

日本語版の製品名は「盗んだバイクで走り出す」……!?

 Nitaの擬似5.1ch再生機能をどのように利用し、どの程度の性能を期待するかによるが、もちろんPC内蔵のスピーカーと比べれば、大きな差が分かるほど効果を実感できるに違いない。

 映画DVD再生に加えて音楽CDやMP3ファイルなどの再生には、コンパクトなサイズに関わらず、かなり快適な音楽再生環境が出来上がる。なお、設置のシチュエーションと本体サイズから、ディスプレイ部上面幅が1センチ未満の、12.1インチ液晶搭載のDVDドライブ搭載2スピンドル機にぴったりのようだ。

 なお、14.1インチ以上のディスプレイを持つノートPCに設置すると、やや本体が短く、物足りない感じであったが、今後、スピーカー部分が横にスライドできるタイプも考えているという話を聞いた。これらのノートPC使用ユーザーやデスクトップPCユーザーは、こちらにも期待するとよいだろう。

 さらに蛇足だが、このNitaの日本語版名は「盗んだバイクで走り出す」という命名案もあったという。狙いすぎ、ということで採用はされなかったようだが、ちゃっかり「価格」に反映されていた。

 また、そもそもOZAKIというメーカー名が、あのゴルフの"ジャンボ尾崎"からきているという噂もあり、第1弾が「ジャンボ」、第2弾が「ジェット」、第3弾が「ジョー」という話もあったとのこと。ソリッドアライアンスのことなので、本気で付けかねないところが怖いのだが、次期ないし追加モデルにも期待したいところである。

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