録画に必須の大容量ストレージをIntel 925Xで構築する今年の夏は「PCで全部録る!」ことにした──外伝(2/3 ページ)

» 2004年09月14日 17時20分 公開
[寺崎基生,ITmedia]

Intel 925Xなら、チップセットレベルでセキュアなRAID機能を手軽にサポート

 インテルの最新チップセットIntel 925X/915。LGA775対応CPUやDDR2への対応、PCI Expressの採用など、多数の話題を持つチップセットだが、ストレージ系の機能も従来のチップセットで有していた機能から進化している。

 サウスブリッジのICH6は、Serial ATAを4ポートサポートと2ポートだったICH5から2倍に増加した(ただし、従来のUltra ATA/100は1ポート2デバイスサポートと減少)。ICH6の上位バージョンであるICH6Rでは、RAID機能もサポート。「インテル マトリックス ストレージ テクノロジ」(以下、IMST)によって、RAID 0/1/マトリックスRAIDが利用可能だ。

 マトリックスRAIDとは、ICH6Rが初めて搭載した新機能で、2台のHDDでRAID 0とRAID 1を共存させることができる機能。「RAID 0とRAID 1を共存させる」と聞くと、RAID 0+1を想像しがちだが、マトリックスRAIDとRAID 0+1はまったく別ものだ。RAID 0+1は、2台のHDDでストライピングが構成されたアレイを2組用意し、この組み合わせをRAID 0でミラーリングしたもの。つまり、最終的には4台のHDDがひとつのボリュームとして認識されることになる。

 一方、マトリックスRAIDは、2台のHDDをそれぞれ仕切り(容量は任意)、その一部でストライピングを構成し、残りの仕切りをミラーリングで利用するという方式。つまり、2台にHDDで構成されたマトリックスRAIDには、二つのボリュームが構成されることになる。

 さて、マトリックスRAIDはどのような局面で有効に利用できるものだろうか。もし、ユーザーがシステム用HDD以外に4台のHDDをデータエリアとして利用できるのなら、マトリックスRAIDを使う意味はない。2台でRAID 0、もう2台でRAID 1を構築すればいいのである。この方法なら、従来のRAIDコントローラで実現できる。こう考えると、マトリックスRAIDは、2台だけのHDDが組み込まれているPCで利用価値が見出されることになる。

 Intel 925X/915チップセットを搭載するマザーボードでは、Serial ATAで4台のHDDが接続可能だ。一方、Ultra ATA/100は1ポートしかなく、従来のIDE HDDを利用するとすれば光学ドライブとポートを共有することになる。パフォーマンスを気にしないのならいいが、少しでもパフォーマンスを犠牲にしたくないという人は、システムドライブもSerial ATAにすべきだろう。

マトリックスRAIDの利用方法

 さて、マトリックスRAIDをどのように利用すると便利だろうか? TV録画のデータストレージに利用するとして考えてみよう。

 まず、RAID 0のストライピングだが、2台のHDDを使って大容量化できるというメリットがある。200GバイトのHDDを2台利用し、75%をRAID 0に割り当てたとすれば、300Gバイトのデータエリアが確保できる。この場合、パフォーマンスも向上するため、録画中にほかの作業を行っても安心だ。

 問題としては安全性の低下が挙げられる。2台で一つのボリュームを構成し、データを分解して交互に記録する方式であるため、片方のHDDが故障すればデータはすべて消失してしまう。HDDが2台になれば故障率も2倍になるため、安全性は低下してしまうのだ。

 一方、RAID 1のミラーリングでは、2台のHDDにまったく同じデータを記録していく。片方のHDDが故障してももう1台のHDDにデータが残される。2台のHDDが同時に故障する確率はかなり低いので、データの安全性は格段に向上するという理屈だ。ただし、ユーザーが認識できるHDDの容量は、実際にデバイスが持っている容量のの半分になってしまうため、コスト的には不利となる。

 マトリックスRAIDでは、ストライピングとミラーリングが共存できるため、データによって使い分けることが可能だ。録画したファイルをそのまま溜めていくような、どちらかといえばあまり安全性を必要としないデータはストライピングボリュームに置くのがいいだろう。編集や再エンコードする場合でも、ディスクアクセスが速いため快適に作業がおこなえる。大事な映像データなど、絶対になくなって欲しくないデータはミラーリングボリュームに保存しておくと安心だ。

マトリックスRAIDの構築方法とそのメリット/デメリット

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