10Dの弱点解決と大幅パワーアップでライバル機は存在しない――EOS 20D(1/3 ページ)

» 2004年09月21日 08時00分 公開
[山田彰一,ITmedia]

「EOS 10D」(以下、10D)が発売されたのが約1年半前。まだ、それしか時が経っていないのかと思うのだが、もはや随分と昔のことのように感じる。発売後のEOS 10Dのライバル機といえば、ニコンの「D100」がその代表であった。

 10D vs. D100では、トータルバランスで10Dが上回っている点も多かったが、見劣りする部分もあった。代表的なところではカメラ部分、操作性において、起動時間がD100のように瞬時ではなかったことが挙げられる。書き込みスピードがやや遅く、書き込み中には画像が見られなかった。またバッテリーもしばしば消耗の速さを感じた。

 今回発売されたこの「EOS 20D」(以下、20D)は、さまざまな10Dの問題が解決されているだけでなく、800万画素へのパワーアップをはじめ、このクラスでのライバル機の存在が見当たらない、傑出したカメラへと進化した。発売前の評価機を試用することができたので、作例を中心にお届けしよう。

 なお、後ほど掲載する動体連写AFテスト以外、全カット同時発売の「EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USM」を使用し、パラメーター2、オートホワイトバランスで撮影していることをご了承頂きたい。

キヤノンから発売された「EOS 20D」。装着しているレンズは、同時発売の「EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USM」

 まずはなんと言っても、起動時間の問題が解決されたことは大きい。10D最大の弱点とも言われた起動時間。10Dではシャッターチャンスを逃さないため、オートパワーオフを長い時間に設定することを強いられたこともあった。そしてバッテリーへの負担が増大するという悪循環があったが、20Dでは起動0.2秒。つまり瞬時撮影可能になった。

 次に挙げられるのは、書き込みスピードの大幅アップだ。10Dに比べ、カタログスペックではRAW連写が6コマにダウンしたのを気にする向きもあろうが、実際は書き込みスピードは大幅にアップされており、書き込み中でも画像が見られるようになったこと(削除も可能)、さらにシャッター半押し状態でも書き込み作業が行われるようになったことで、書き込み待ちのストレスは大幅に改善された。

 なお、同じAPS-Cサイズで600万画素から800万画素へのアップは、解像感、ダイナミックレンジにどう影響したのだろうか。筆者の感覚では、ダイナミックレンジは10Dとほぼ同程度、少なくとも実際の撮影で気がつくほどのものではない。そして驚いたのは、20Dの800万画素の解像感である。

 今回20D、10Dに加えて「EOS-1D MarkII」の3機種を使い、同一条件で比較してみたが、10Dとは全然違い、EOS-1D MarkIIに迫る緻密さであった。

 また、20Dでは連写とAFの向上が図られている。10Dは3コマ/秒で20Dは5コマ/秒。実際の局面ではAF精度の向上とあいまって、連写したときの感触が全く変わる。また、静物に対するシングルAFもかなりの向上が感じられる。

 シャッターラグとブラックアウトでは、両方とも、使った感触として、短くなったのが分かる。

 ボディバランスだが、10Dはやや横長で、片手で持つ時間が長いと、結構右手の指などに結構負担がかかった。20Dではぐっとバランスもよくなっている。

 また、20Dで始めて搭載された「マルチコントローラー」だが、試用した期間は2日間と短く、まだ慣れていないせいで手になじんでいないが、片手だけでの操作をよく行う人にとってはとてもありがたい機能だろう。

横長が短くなって、持ちやすくなった。ダイヤルの上が「マルチコントローラー」

 オートホワイトバランス(AWB)だが、「優秀すぎるAWB」と言われているほど、どんな光源、ミックス光下でもそつがない。そして新しく搭載された「ホワイトバランスブラケティング」は、1コマ撮影でアンバー←→ブルー、とマゼンタ←→グリーンを縦横軸の表から選んだ点でブラケティング撮影できる機能で面白い。JPEGで、撮影後のレタッチをしない場合には力を発揮しそうだ。

こんなに楽しいレンズだったとは――「EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USM」

 20DとEF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMは実に楽しい組み合わせだ。85ミリ側がF5.6と多少暗いが、手ぶれ防止機能はよく効くので、2段スローシャッターでもOK。夜景を0.3秒、手持ちでの撮影も可能だった。

 もちろん、F2.8のレンズのようにぼかしを表現するのは無理があるが、このレンズは20Dに装着して、プログラムオート&AWBで気ままにスナップしていくと実に楽しい。それだけに10Dに装着できないのは残念だ。

EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USM

それでもあえて言う「20Dこうなればもっとよいのに……」

 全体的には満足のいく出来となっている20Dだが、あえて不満を挙げていくとすれば、以下のような点になるだろう。

 まずはRAWのファイルサイズもっと小さくしてほしいことだ。800万画素ということもあって、RAWのファイルサイズが8.7Mバイトとなり、RAW+JPEGだと1Gバイトのメディアでも100枚も撮れなかったりする。

 ファイルサイズが理由でRAWをあきらめ、JPEGに走るユーザーもいるのではないだろうか。RAWのサイズ選択や圧縮技術で、半分の4Mバイトくらいを望みたい。

 また、いまはまだ慣れないマルチコントローラーであるが、今後大変有用になっていく可能性がある。ぜひとも、この進化と、バッテリーグリップをつけても操作できるようにしてもらいたい。

 なお、露出補正のリセットがセットボタンでできないものだろうか。また前後ダイヤルの機能の入れ替えができるようになってほしい。

 このほかには、よく言われるがスポット測光がほしいのと、粒状感が欲しいときなどに対するモードがあるとよいと思う。加えてファインダー視野率は、もう少し上がってもよいのではないだろうか。

トータルでは絶賛に値する20D

 今回何人かのプロにも聞いてみたが、一様に大変高い評価である。もう買う決意をしているユーザーも多いであろう(もちろん購入した方もいるだろう)。

 10Dの問題をことごとく解決した20D。800万画素の解像感、優秀なAWB、高感度での低ノイズ、レタッチしやすい素直な描写、キヤノンの豊富なレンズ群、ストロボシステムなど、まさにプロからハイアマチュア、さらにデジタル一眼ビギナーまで幅広く、強く勧められる機種である。

 ライバル機は存在しない……それが20Dだと思う。


山田彰一氏プロフィール:日大芸術写真科卒業後、出版社の社員カメラマンを経て、フリーカメラマンとして独立。写真集「現代美術家の肖像」(阿部出版)ほか、人物写真などで活躍中

20D、作例

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