再びDVDリッピングについて考える(2/2 ページ)

» 2004年12月28日 17時00分 公開
[姉歯康,ITmedia]
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トランスコードで容量が削減できる「PANDORA DVD Copy X」

 何かよい方法はないかと考え、やはりチマチマした作業はパソコンにやらせようという結論に達した。そこでMacでも使えるDVDコピー用のソフトを探したところ、ホロンの「PANDORA DVD Copy X with Dragon Burn」(以下、DVD Copy X)というソフトがよいのではないかということになった。

ほとんどのPC用DVDドライブをサポートした片面2層DVD+R対応ライティングエンジン「Dragon Burn」をバンドルしたDVDバックアップソフト「PANDORA DVD Copy X with Dragon Burn」

 このソフトは単なるバックアップソフトではなく、MPEG-2を高速にトランスコードして容量を落とせる。複数のDVDを1枚のDVDに収めることができるのだ。ここで言うトランスコードは、再圧縮とは違う。おそらくは、同じくホロンの「Hyper DVD Author」などで使われているさまざまな方法(たとえばBフレームのデータ量を0にするなど)により、高速に処理できるようになっているのだ。

DVD Copy Xのトランスコード画面

 試しに145Mバイト(3分10秒)のファイルをトランスコードしてみたところ、ほぼ半分の73Mバイトに落とすのに要した時間は、私のPowerBook G4(867MHz)で1分38秒であった。実時間の半分程度で済んだことになる。サイズをできるだけ小さくしようという試みに対しては、3分20秒かけて31Mバイトまで落とすことができた。

 トランスコード後の画質をチェックしたところ、31Mバイトの方はブロック歪みだらけであったが、73Mバイトの方はオリジナルからそれほど見劣りしなかった。おそらく、いくつかのアルゴリズムが用意されていて、圧縮率が高くなれば使われるアルゴリズムも増えるということになっているのだろう。

 このペースで作業できるとすれば、2時間モノのDVDを半分の容量に減らすために要する時間は1時間ということになる。ホロンによれば、2GHzのPowerMac G5なら20分で済む。延々と2時間再生しながら再圧縮するよりもはるかに早い。その間、レコーダで他の番組も録画できる。うむ。しばらくこの方法でいこうと思う。

 「そんなに苦労するんだったら、初めからチューナと録画機能が付いたパソコンを買え!」と言われそうだが、残念ながらMacにはそんな機種はないのだ。

DVDのプロテクト機能はなぜあるか……

 ところでこのDVD Copy X、単に高速にMPEG-2をトランスコードするためのソフトではない。メニューや字幕、マルチアングルなど、あらゆる機能を含めてバックアップできるというのが特長である。

 だがもちろん、コピープロテクトを外す機能は付いていない。ほかの多くのDVDコピーソフトと同じく、「ほとんどの市販DVDタイトルのバックアップはできない」ということになる。あとは使う側の問題だが、おそらく、コピープロテクトを解除するソフトを使ってDVD Copy Xでバックアップを取ろうとする人も多いだろう。

 この「プロテクト外し」が法に触れる可能性があるわけだ。「個人で活用する限りにおいては、外す行為そのものには問題がない。それを使ったコンテンツを不正に活用することのみが問題なのだ」という意見もある。理屈としては賛成したいのだが、プロテクトはその不正活用を防止するために存在しているものなのである。

「せめてバラバラにして映像を楽しみたい」、「いちいちメニューを出したくない」、「DVDディスク丸ごとでもいいから、ハードディスクに入れて快適に楽しみたい」、「DVDの出し入れが面倒なので1枚にまとめたい」。これらはすべて、私自身もよく思うことだ。

 が、「良い使い方」、「悪い使い方」などを厳密に定義していくのは、実はとても難しい作業なのだ。良心的なユーザーのために道を準備すると、すぐにその道を悪用する人が出てくる。また、悪気なく違法行為を行う人もたくさんいる……。いろいろ考えていくと、アーティスト、メーカー、販売会社などにとっていちばんラクなのは「とにかくコピーさせないこと」ということになってしまうのだ。ここによい解決方法があるのかどうか、結局のところ、私にもわからない……。

 ……と言いつつ、自分もネット上で見つけた、おそらく著作権的にはマズいであろうPaul Rogers + Queenのライブ映像を見て喜んでいる。「これってマズいんだよな」と思いつつも、ロック界No.1ボーカリストの圧倒的な力量を見せつけられると、ついつい友人にも知らせてしまったりしている。これでは私も加担者だ。何も言う資格がない……。

 ということで、資格のない私の連載は今回でオシマイとさせていただく。長い間、お付き合いいただき、ありがとうございました。

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