パワフルでスタイリッシュなVALUESTAR新シリーズ──NEC「VALUESTAR SR VR770/BD」

» 2005年01月06日 11時15分 公開
[寺崎基生,ITmedia]

Pentium 4/3GHzと250GバイトHDDで処理能力も記憶容量も十分

 VALUESTAR SRシリーズは、大型の液晶ディスプレイと本体が一体となった、デザイン重視志向PCのハイエンドモデルという位置づけになる。VALUESTARでデザインを重視したモデルには、同じ液晶ディスプレイ一体型モデルのVALUESTAR Sシリーズがあるが、SRシリーズはその上位モデルとなる。

新ラインアップ「VALUESTAR SR」の上位モデル「VR770/BD」が今回の評価機だ

 SシリーズとSRシリーズの違いは、SシリーズがPentium MやCeleron MといったノートPC向けCPUを搭載していたのに対し、SRシリーズではよりパワフルなPentium 4搭載モデルを用意するなど、パフォーマンスも考慮した構成になっているところだ。

 今回試用したVR770/BDは、動作クロック3GHzのPrescottコアPentium 4 530を搭載している。マザーボードはNEC製のオリジナルで、チップセットはIntel 915G。グラフィックスはチップセット内蔵のIntel GMA 900を利用しており、標準で512Mバイト搭載するメインメモリから128Mバイトがビデオメモリに割り当てられている。

 評価機に搭載されていたHDDは、Serial ATA対応のWesternDigital製「Cavier WD2500JD」だった。このデバイスは8Mバイトのキャッシュメモリを搭載する7200rpmの高性能モデルである。

 光学ドライブは(なぜかNEC製ではなく)LG電子のGSA-4120B。DVD±R/RW、DVD-RAMに対応したDVDスーパーマルチドライブで、DVD+Rでは最大12倍速書き込みが可能。さらにDVD+R DLにも対応するなど、すべての現役光学メディアに対応した便利なドライブである。

 筐体のベースとなる部分に電源ユニットと光学ドライブ、HDDが納められており、液晶ディスプレイの背面には、マザーボードと拡張カードが配置されている。メンテナンスの作業性を考えると、マザーボードを露出させるために相当数のネジを取り外す必要があり、気軽には行えない。

右側面には各種カードスロットにUSB、IEEE 1394などが用意されいている

左側面にはPCIスロットのブラケットにモデム、LAN、USBのコネクタが用意されている

正面には電源ボタン、輝度、ナイトモードスイッチなどを配置。デザイナーによるとAV機器を意識して、操作スイッチがはっきりと分かるようなメリハリをつけたデザインを施したらしい

 ただ、PCIスロットは標準状態ですでにすべてが埋まっておる。メモリスロットも同様。つまり、カスタマイズする余裕はあまり残されておらず、実際にマザーボードにアクセスして作業を行う場面はかなり少ないだろう。

 うまいことに、メモリスロットへのアクセスだけは、ネジ2本を取り外すだけでできるのでさほど面倒ではない。HDDや光学ドライブに至っては増設するドライブベイが存在しない。つまり、このモデルの場合、購入したままのデフォルト仕様で使うのがお薦めということになる。パワーアップや容量アップは考えないほうがいい。

 OSはWindows XP HomeEditionが導入されている。デフォルトでSP2が適用された状態になっている。プレインストールされている主なアプリケーションには、Microsoft Office Home、ハガキ作成ソフト、駅すぱあとなどがある。

 キーボード及びマウスはコードレス式が採用されておりセッティングは簡単である。電源コードやLANケーブルなどはすべて筐体の側面に接続するようになっているので、壁面まで一杯に近づけても設置できる。ワイヤレスのキーボードとマウスとあわせて、設置場所の自由度はかなり高いといえるだろう。

SmartVisionも機能拡張、新開発のチューナーを搭載したキャプチャーカードを搭載

 VALUESTAR SRの大きな特徴として、新開発のテレビチューナーユニットを実装したキャプチャーカードが挙げられる。さらに、PCを起動せずともTV番組だけを視聴することも可能だ。この場合、付属するリモコンの電源ボタンや、キーボードのテレビボタンを押すことで起動する、

VALUESTAR SRのキーボードとリモコン。キーボードとマウスはワイヤレスになっている。キーボードとリモコンにはインスタント機能に使う起動ボタンがついており、電源オフの状態からでも短時間でTVの視聴ができるようになった

 VALUESTAR SRが搭載しているキャプチャーカードは、市販されているNECの高画質キャプチャーカード「SmartVision HG2/R」によく似たものだ。コントロールソフトは、SmartVision HG2/Rと同じ「SmartVision Ver.2.4」であり、設定できるオプションなども共通だ。ところが、VALUESTAR SRの拡張カードを実際に見てみると、チップの構成がSmartViosn HG2/Rとは大幅に異なっているのが分かる。

 SmartVision HG2/Rでは、MPEGエンコードチップの「NEC μPD61051」、GRTの「μPD64031A」、3DY/C分離回路チップの「μPD64083」といった3チップ構成になっている。ところが、VR770/BDのキャプチャーカードは、MPEGエンコーダの「μPD61153」とGRTの「μPD64031A」の2チップ構成。このうち「μPD61153」は新型のチップで、この中に3DY/C分離回路を内蔵しているのだ。

 お馴染みのSmartVision VER.2.4には、おまかせ機能が搭載されており、キーワードによる自動録画機能が利用できる。また、通常の録画予約に関しては、ADAMS EPG+を利用した独自の番組表で行うようになっているが、これが、とても手軽に予約設定を行えるすぐれものである。

10フィートUIを容易にするMediaGarage

 VR770/BDでTVを楽しむアプリケーションとして、先に紹介したSmartVision Ver.2.4のほかにも、「MediaGarage」が用意されている。MediaGarageを起動すると、デフォルトで全画面表示になり、かなり大きめのアイコンで操作できるようになっている。

MediaGarageのメニュー画面

 MediaGarageの操作は、リモコンですべてサポートしており、大きなアイコンと合わせて、離れた場所からでも容易に操作できるように考慮されている。Windows MCEの10フィートUIのような雰囲気で使いやすい。なお、Windowsを起動せずにTV番組だけを視聴する場合にも、このMediaGarageと同じインタフェースが利用される。

 VR770/BDは、前回のレビューで試用した日本hpのCompaq Business Desktop dx6100 ST カスタムメイドTVモデルとは違って、液晶ディスプレイにTVチューナーを搭載していない。そのため、TV番組だけを視聴しているときでも、PCに組み込んだキャプチャーカードで取り込んだ映像を利用することになる。

 実際にはWindows XPのエンデベットバージョンを立ち上げて、そのうえでMediaGarageを動かしているわけだが、それゆえに番組が表示されるまでに10秒程度の時間を必要とする。たしかにWindows XPの起動に比べれば短いが、やはり、ちょっと気になるタイムラグではあった。

視聴と録画を分けて考えると使いやすい

 上記の通り、TV関連のアプリケーションが、SmartVision Ver.2.4とMediaGarageの二つ存在する。これらをどのように使い分けるかが、VALUESTAR SRの使い勝手に影響する。筆者が試したところでは、リアルタイムでTV番組を視聴したり、録画された映像ファイルの再生で済ませる場合は、リモコンを使ってMediaGarageで楽しむのが短時間で起動することもあって容易に使えた。

 一方で、録画の予約をMediaGarageで行うことも可能だが、実際の操作性を考えるとやはり番組表から選ぶことができるSmartVision Ver.2.4が使いやすい。この場合、おまかせ録画も設定可能であるので、使いやすさから言えば、どうしてもSmartVisionを選択することになるだろう。

 VR770/BDが搭載する19インチの大型液晶は、書斎などのTVとして使っても十分な大きさであり、あまりPCらしくないデザインは、リビングに設置してもまったく違和感がないだろう。改良された液晶の画質は十分高いレベルなので、PCとテレビを1台にまとめたいユーザーには是非お勧めしたいモデルだ。

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