さて、それぞれのタイトルでゲームベンチマークを回し、そのパフォーマンスをAthlon 64 FX-55+NVIDIA SLIシステムとPentium 4 ExtremeEdition/3.46GHz基幹システムとで比較してみよう。
なお、Colin McRae Rally 04はベンチマークモードを持っていないため、条件をそろえた数値的な比較ではなく、実際にfrapsを走らせてfpsを表示させつつ、筆者が感じた点について言及させていただく。
ベンチマークシステム環境その1 | |
CPU | Athlon 64 FX-55 |
マザーボード | ASUS A8N-SLI Deluxe |
メモリ | PC3200/512MB×2ch |
HDD | ST3160023AS |
グラフィックスカード | GeForce 6600 GT&NVIDIA SLI |
OS | Windows XP Professional +SP2 |
ベンチマークシステム環境その2 | |
CPU | Pentium 4 Extreme Edition/3.46GHz |
マザーボード | Intel D925XECV2 |
メモリ | DDR2-533 512MB×2ch |
HDD | ST3160023AS |
グラフィックスカード | RADEON X700Pro |
OS | Windows XP Professional +SP1 |
まずはhalf-life 2の結果から見ていこう。前回のDOOM 3のような劇的な性能差は出ていないものの、それでも約10〜50%の性能差を見ることができる。実際のゲームで動かすことの多い1024×768ドットの環境で遊ぶ分にはアンチエイリアシングや異方性フィルタリングをフルにかけても存分に戦うことができる。
映画を見るかのような気分に浸れるhalf-life 2では、こういったオプションをバッチリかけないと、逆に興ざめしてしまう。PCゲームではプレーヤーごとに環境が違う、というのは当たり前だが、ゲームクリエイターが見せたいものを、プレーヤーの環境で忠実に再現できないというのは単なるゲームではなく「作品」と観点からすれば問題があるではないだろうか。
「おれはhalf-life 2を、DOOM 3を、FarCryを遊びきったぜい!」と言い切りたいなら、それなりの環境を用意してゲームに臨みたいものだ。
一方、Colin McRae Rally 04だが、実際に遊んでみると環境による大きな違いはない。唯一、差異が認められるとすれば雪や雨が降る、林間コースの場合だろう。Pentium 4基幹システムの場合、平均的に30fps前後で表示される一方、FPSが落ちきったところではfpsが20強しか出ないこともあった。一方で、Athlon 64 FX-55+NVIDIA SLIシステムは平均的に40fps弱、fpsが落ちても25以下にはならなかった。
数値だけを見ると、さほど大きな差ではないように思われるかもしれない。しかし、実際に遊んでみると30fps前後を境に、車の運転のしやすさが段違いに変わったのは印象的だった。適切な位置でカーブを曲がり始め、適切な角度を維持してカーブを抜け、適切な位置でカウンターを当てて車体を立て直す。こういったラリーゲームにおける基本的な運転が非常にやりやすいのだ。
そして、アンチエイリアシングや異方性フィルタリングをフルにかけたおかげで、カーブがどのように曲がっているのか、カーブから遠い時点で認識できるので、その後の対処がしやすかったのも付け加えておきたい。
先に紹介したように、Colin McRae Rally 04はインターネット経由での対戦に対応している。PCゲームにおいて、レースゲームはその通信量が多いことで一二を争うジャンルであったりするのだが、こういった処理をうまくこなすという点ではグラフィックスカードよりもむしろ、CPUによる処理能力が効いてくるのではないかと思われる。
そういった点では、Colin McRae Rally 04をAthlon 64 FX-55+SLIシステムで遊ぶことには「綺麗な画面でみんなと遊ぶ」ということを実現するという点で大きな意義を持つことができるだろう。
さて、2回にわたって実際のPCゲームを使ってAthlon 64 FX-55+NVIDIA SLIシステムの実力を検証してきたわけだが、今後PCI-Expressのグラフィックカードがメインになっていくことが疑いのない昨今、日々処理パワーの要求を向上させていくPCゲームに対して、少ない投資でハイパワーを手に入れることができるPCI-Express環境を今から構築していくのは十分メリットがあると言えるだろう。
FPS黎明期、プレーヤー達は回線速度と帯域幅を求めてISDNは128kbpsで運用し、どこそこのプロバイダが速ければ皆がこぞってそちらへ移り、fpsが上がらないからとVoodoo2を二枚差しのSLIにしてPCの処理速度を上げていった。
その恩恵が与れたときの感動というのは、PC全体の平均性能が上がり、そこそこの速度でゲームが遊べるようになった今ではあまり味わえないのかもしれない。しかし、最新のゲームを最高のグラフィックスオプションの状態で、かつ、高いfpsで遊ぼうとすれば、PC側にも高い処理能力が求められる現実は変わらない。
ヘビーPCゲーマーよ「そこそこの処理能力」に甘んずることなく、ハイパワーな環境で戦いに勝機を見出すべし! 貧弱なシステムで苦しんで戦うのではなく、真のツワモノとなりたければ、武器(つまりはシステム)も最強の得物を手にしなければならない。武芸者もPCゲーマーもその道理は同じなのだ。
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