ということで、今回この記事にあわせたわけではないが、筆者が中国で滞在する家にPCが1台必要になり、日本でも話題のLenovo製デスクトップPCを購入することになった。
Lenovoのラインアップから今回購入するのは家庭用デスクトップ「家悦」(円夢)シリーズの最上位機種。同社の17インチ液晶ディスプレイ付属機種の中で一番安い製品を選んでみた。
カタログスペックは実にシンプルで、タワー型ケースにCPUがSempron 2200+、メモリ容量PC3200/256MBにHDD容量40Gバイト、グラフィックスカードはなし、DVD-ROMドライブに、OSはなんとDOS(!)、小さなステレオスピーカー、それに17インチの液晶ディスイプレイがついて4999元(1元=13円換算で6万5000円)。
17インチのディスプレイが付いて6万5000円とは日本の格安PCと比べてもずいぶんと安く感じるが、これでも「家悦」(円夢)シリーズの最上位機種。このシリーズの最廉価機種では2999元(同じく3万9000円)というから驚きだ(その過激な安さから、中国でも「農民PC」と呼ばれて消費者にはあまり受け入れられなかったのだが)。
ただ、安いっといっても、CPUにSempronを採用しているあたり、よく日本のメディアで「第3世界の安価PC」のキーワードとして使われることも多い「C3」と「Linux」の組み合わせは、Lenovoの「戦略的価格」機種でも採用されていない。Lenovoの擁する多数のモデルの中で、わずか数機種にC3やLinuxを採用しているが、ほとんどの機種は「Sempron+DOS」というタッグで構成されているのだ。
今回紹介する「コスト重視PC」以外にも、Lenovoはデジタルホーム向け「天逸」や、ハイスペックを追求するゲーマーを意識した「蜂行」など、多くのモデルをリリースしている。
新Lenovoでは、ノートPCを旧IBMで、デスクトップPCを旧Lenovoで生産すると報じられているが、今までのIBM製デスクトップPCのラインアップでカバーしきれていない、Lenovoの超格安PCや、デジタルホーム向けPCなどは、これから世界にむけて出荷され、日本にも上陸するかもしれない。
ちなみに、Lenovoに限らず中国のPCには、日本で流行のテレビ録画に対応したPCはおろか、CD-RWドライブすら搭載しない機種がほとんどだ。中国人ユーザーの多くがPCに求めているのは「ビデオCDやDVD-Videoが再生できて」「インターネットに接続できて」「ゲームがそれなりに遊べる」ということ。
だから、日本ではごく普通にできる「録画した番組を2層式DVD+RWに保存する」ということは2の次、3の次なのだ。こういう機能が必要な場合は、別個にドライブを購入するしなければならない。
Lenovoのラインアップでは、その多くがDOSモデルであることを述べた。Lenovoに「なぜDOSなのか?」と質問したある記者に彼らは「本体は提供したから、あとはユーザーが自分で決めること」と答えたという。
中国においてDOSモデルは別にLenovoに限った話ではなく、ほかの地元PCメーカーや、ヒューレット・パッカード、デルでも出荷している。ユニークなのは日本製のPCで、そんな中国においても、日本のメーカー製PCは、あくまでWindows XPをプリインストールした製品だけを販売している。
話がそれた。こんな中国では、PC本体を購入したままでは、DOSしか使えないので、このままでできることはたかが知れている(DOSのプログラムランチャーとかあって、ある程度DOSでも使い物になるというウルトラCでもあればいいが、それはこの記事後編で検証するのでお楽しみに)。
DOSでもDVD-ROMドライブの認識はCONIG.SYSを書き換えることで可能だが、それでも、DVD-Videoなんか見られるはずがない。まず、それ以前にグラフィックスドライバがないわ、HDDのパーテーションが切れる上限は2Gバイト×4の8Gバイトだわ、最近のインテル製CPUはハイパースレッディングを使用しているわ、で、DOSのままでハードウェアスペックを100%発揮するのは不可能。
というわけで、絶対的に別途Windows XPの調達が必要不可欠。Windows XPをインストールするだけなら、中国の街なかに、それこそ日本のレンタルビデオ屋並みに繁殖している海賊版CD屋で入手する誘惑にかられるが、これは違法なので中国滞在の日本人はやめておいたほうがいい。
しかし問題なのは、正規版のWindows XPなど「海賊版でない」ソフトのパッケージを扱っている販売店が非常に少ないこと。ある都市では、正規版のWindows XPを扱う店が一件もない、ということもあるので、日本で前もって購入しておき、それを中国で使うのが無難だ。
それでも、「あえて中国で購入する」というならば、PC本体を購入するときにOEM版も一緒に依頼するのが確実だろう。それでもすべての販売店が在庫を持っているわけではない。仮にWindows XPぐらいならなんとかなったとしても、商用ソフトとなるといよいよ購入が難しい。やはり、日本で必要なソフトを購入するのが賢明だろう。
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