ここで取り上げるパーソナルワークステーションHP Workstation xw4200/CTは、同社の直販チャンネルHP Directplus専用のモデルで、最小構成で88,830円から購入可能という抜群のコストパフォーマンスと、多彩なカスタマイズメニューを誇る。改めて指摘するまでもなく、本機は国内で生産が行なわれており、仕様のカスタマイズに対応したCTO生産ながら標準で5営業日の納品を実現している。
そもそも、ワークステーションとは科学技術計算やCAD/CAM、グラフィックスデザインといった特定の業務に特化した高性能なコンピューターのことで、いわゆるパソコン=パーソナルコンピューターとは一線を画した性能を持っているのが特徴だ。OSは主にUNIX系で、独自のアーキテクチャーを採用したものが多く、専用設計のマザーボードや拡張カード、周辺機器が用意されているものも珍しくなかった。それゆえ非常に高価で、一昔前ならばワークステーションといえば高嶺の花というイメージがあった。また、システムの安定性が特に重用視される点もパソコンとは異なる部分といえる。
一方でWindows 95の登場以降、パソコンの性能向上は著しく、年々ワークステーションとの差が縮まってきているのも事実だ。汎用のパーツを使えば、安価で高い性能の製品を提供できるのだから、ある意味必然ともいえるだろう。
このHP Workstation xw4200/CTは、同社のワークステーション製品ではエントリーモデルに位置づけられる。単にエントリーとはいっても、採用されるチップセットはハイエンドのデスクトップPCで使われるIntel 925X Expressであり、メモリーにはECC付きのDDR2 SDRAM(PC2-4300)が実装されるなど、デスクトップPCとは明らかに異なる仕様となる。メモリーエラーの検出と訂正機能を備えたECCメモリーは、それだけコスト高にはなるが、致命的なシステム障害に発展する可能性が高いメモリーエラーを回避できるのがメリットだ。
同社のデスクトップPCシリーズでは、最上位モデルでもチップセットがメモリーアクセスの最適化機能を持たないIntel 915G Express、メモリーがDDR400 SDRAMであることを考えると、細かいながらも明確に性能差がつけられているのがわかるだろう。ATXサイズのマザーボードを採用していることもあり、PCI Express x16×1、PCI Express x1×2、PCI×4と拡張スロットも豊富にある。
評価機のプロセッサーは、CTOメニューで最も動作クロックが控えめのPentium 4/2.80GHzだったが、ほかにも3.0/3.4F/3.6F/3.8F GHzから選択できる。いずれもFSB 800MHzをサポートしたのPrescottコアで、特に末尾にFが付くプロセッサーは、64ビット拡張テクノロジーのEM64T(Extended Memory 64 Technology)に対応している。これにより、64ビット環境下では、4Gバイト(32ビットのフラットアドレッシングの制限)を超えるメモリーアドレス空間が扱えるようになり、32ビットを超えるデータ長の演算性能が向上する。もっとも、本機の場合は925Xチップセットの制約で最大メモリー容量は4Gバイトまでとなるが、個人ユースでは大きな問題にはならないはずだ。このあたりの処理能力をシビアに求めるならば、デュアルOpteronプロセッサー対応の最上位機xw9300か、デュアルXeonプロセッサー(Noconaコア)対応のハイエンド機xw8200や、ミッドレンジ機xw6200の導入を検討したい。
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