連載第4回のペット編では、動物の目線で撮ってみよう、室内は暗いので手ブレに気をつけよう、という技術以前の話が中心だった。今回はもうちょっと細かい技術編である。
まずは露出だ。カメラはどれもそうなんだけれども、できるだけ同じ明るさの写真を撮ろうとしてCCDに当たる光の量を調整する。当たる光が多すぎると真っ白になるし少なすぎると真っ黒だ。そのため、カメラはレンズを通して入ってくる光を測って(測光という)、白いところが多いとカメラは「明るすぎる」と判断して暗めに撮ろうとするし、黒いところが多いと「暗すぎる」と判断して明るめに撮ろうとするのだ。白は光をたくさん反射するから結果としてカメラにたくさんの光が入り、逆に黒は反射しないからカメラにあまり光が入らないというわけ。
どのくらい白いところが多いとどうなるかはカメラによって違うんだけれども、一般的な傾向としてはそうだ。
人物撮影でも背景が青空だと画面全体が明るくなるので、カメラはちょっと暗めに撮ろうとして、肝心の人物が暗くなっちゃう。いわゆる逆光状態だ。もっと極端な話、白い壁をバックに白い服を着た人を撮ったときと、暗い壁をバックに黒い服を着た人を撮ったときでは、写った顔の明るさが全然違う。撮る人から見れば「顔をちょうどいい明るさで撮りたい」と思うんだけど、カメラはそこまでは分からないから、どうしても全体で見ちゃうわけだ。
ペットの場合もかなり重要だ。愛らしいペットをアップで撮りたい、と思ったとき、それが白いペットだと暗めに、黒いペットだと明るめに撮れるからである。特に深刻なのは黒いペットの場合。室内で黒いペットを撮ると、カメラは必要以上に明るく撮ろうとするため、シャッタースピードが必要以上に遅くなり、すごく手ブレしやすくなるのだ。それに、無理に明るく撮ると黒い毛がいい感じに出ない。
そこで、黒いペットのときは少しマイナスの露出補正をかけてやる。すると黒が締まっていい感じになる。
逆に白いペットのときは、少しプラスの露出補正をしてやるといい。
これは、うちの猫が舌をしまい忘れたまま洗濯物の上で寝てたので思わず撮影したもの。でもやや暗めだったので+0.7の露出補正をかけて撮り直したものだ。
こういう逆光っぽいケースでは、スローシンクロでストロボを焚くのもいい。
どのくらいうまくいくかはカメラによりけりだが、逆光っぽさをいかしつつ正面にもちょっと光が当たってくれた。
他にも露出補正の例を挙げてみよう。これは猫用ベッドに無理矢理入って、ともえ状に寝ている二匹である。
このように、全体に白が基調の時はプラスの露出補正をかけると効果的。
白いペットの時はホワイトバランスもチェック。
照明の色に影響されやすいのが白いペットの特徴。だから、部屋の照明やデジカメのオートホワイトバランス機能の効き具合によっては赤くなったり青くなったりしがちだ。そういうときはさっと色を合わせてしまうといい。
下の2枚は、突然の来客に猫が驚いてどこかへ消えたと思ったら、洗濯機の中に隠れてました、という図。オートで撮ったら照明の色のせいで赤っぽくなってしまったので、ホワイトバランスを白熱灯にセットして撮り直し。
でも、わざと照明の赤みをそのまま使いたいこともある。
これは無理に白くすると雰囲気がなくなってしまうだろう。
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