オフィスのペーパーレス化をさらに推進。e-文書法対応の新モデルScanSnap「fi-5110EOX3」登場(2/2 ページ)

» 2005年06月01日 00時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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 e-文書法とは、e-Japan戦略II(政府のIT戦略本部が2003年7月に策定したIT利活用のための方策)に盛り込まれた重点項目のひとつで、これまで民間企業に「紙による保存」を義務付けていた財務や税務関連の書類を、特定の条件を満たせばデジタルデータとして保存する事を認めるというものだ。e-文書法は通称名で、正しくは「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案」および「同法施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」という。

 周知の通り、企業における書類のデジタル化については、これまでも電子帳簿保存法など個別法が存在したが、e-文書法はそれらを整理し、複数省庁にまたがって電子データの正当性を認めている。また、紙で作成された書類のスキャニングデータも、e-文書法が定める要件を満たせば「原本と見なす」ことができるようになった。

 と、法律論ではややこしいが、ScanSnapでの対応は簡単明瞭だ。本体に新たに設けられた「e-スキャン」ボタンを押すだけ。これによってe-文書法が定める読み取り条件を満たした形(財務省令に基づく)で書類をPDF化してくれる。

左の緑色がユーザー設定でPDF取り込みを行う「スキャン」ボタン、右の灰色がe-文書法の規定で取り込む「e-スキャン」ボタンだ
「e-スキャン」ボタンを押すと、自動的に財務省令に基づいた読み取り設定に変更され、e-文書法モードでスキャニングできる

 e-文書法では、契約書や領収書、請求書、見積書といった国税関係帳簿書類の電子保存に関して、可視性・真正性の確保を求めている。このため電子文書には、e-文書法品質でスキャンするだけでなく、認定事業者が発行するタイムスタンプの貼付や、特定認証サービス機関発行の電子証明書(デジタルID)による電子署名が必要になる。

真正性を確保するためには、電子文書に電子署名とタイムスタンプを付ける必要がある。電子署名はAcrobatのツールバーにある「署名」で貼付できる(デジタルIDの取得および初期設定が必要)

 これらに対応するため、PFUはfi-5110EOX3の発売に合わせて、同製品に100スタンプ分の「PFUタイムスタンプサービス」利用権を同梱したほか、使用権を使い切った後は同社オンラインストアで1000スタンプの利用権を1万500円(税込み)で追加購入できるようにした。

PFUではe-文書法で有効なタイムスタンプサービスを提供中だ。また、同製品には100回分のタイムスタンプが利用できる「利用権」とID/パスワードが記載された紙が同梱されている

 PFUのタイムスタンプは「PFUタイムスタンプfor Adobe Acrobat」というプラグインソフトと同時に使用すると、「e-スキャン」ボタンで取り込んだ電子書類をAcrobatで表示させた状態で「PFUタイムスタンプ」のボタンを押すことで利用できる。なお、PFUタイムスタンプの利用にあたっては、特定の認証サービス機関が発行したデジタルIDか、Windows証明書ストアによる自己署名形式のSelf-SignデジタルIDが必要になる。

PFUタイムスタンプを貼付すると、このように電子文書にタイムスタンプの印影が埋め込まれる。今回はWindows証明書ストアによる電子署名を使ったので、本人性確認が「?」になっている。e-文書法で財務書類の真正性を確保するためには、特定の認証サービス機関が発行するデジタルIDが別途必要になる

 これまで企業内でのScanSnapの活用は、紙資料のPDF化や名刺のデジタル化がメインであった。それだけでも大きなメリットがあったわけだが、今回、e-文書法に対応したことで、さらにオフィスのペーパーレス化に貢献することになる。財務部門はもちろん、大量の見積書や契約書を取り扱う営業部門などでも、ペーパーレス化による保管コストの削減、管理・検索が容易になることによる生産性の向上が期待できるだろう。

 ScanSnapシリーズは以前から、ビジネス利用におけるPCの生産性を大幅に向上させる効果があった。今回のモデルチェンジでe-文書法に対応したことで、その活用領域がさらに拡大した。ペーパーレス化による生産性向上やコスト削減を後押しするツールとして、fi-5110EOX3は最適な1台と言えるだろう。

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