高倍率デジカメでどうしてもうまく行かない遠くにいる鳥の写真はフィールドスコープに限る。フィールドスコープとデジカメを組み合わせて撮る方法を、通称「デジスコ」と言う。フィールドスコープは、ニコン、ペンタックス、ビクセン、興和(コーワ)などが出しており、自然観察派には欠かせないアイテムだ。簡単にいえば、アウトドア用望遠鏡。倍率が非常に高い(普通、20〜30倍)ので三脚がないと難しい。
デジカメでの撮影用に使うなら「EDレンズ」など高画質なレンズを採用したタイプにすること。肉眼ではきれいに見えても、撮影に耐えうる画質かどうかは別なのだ。
今回は興和の「プロミナー」という商品をお借りして使ってみた。「TSN-664」というEDレンズタイプの手頃な製品だ。本体価格は8万2000円だが、量販店では6万円台で買える。これに接眼レンズをセットにして使う。接眼レンズによって倍率が変わるのだ。20倍程度が扱いやすくていい。
さらに、デジカメを装着するアダプターと三脚が必要だ。
今回はコンパクトデジカメでも使えるという「ユニバーサルカメラアダプター TSN-DA4」に挑戦した。対応デジカメが多く、さらに開閉式なので、まず肉眼でチェックしてから、カメラをつけて撮る、という使い方が出来るのがよさそう。さらに別売りでレリーズもつけられる(手でシャッターを押すと手ブレするので、レリーズがあると便利なのだ)。全部合わせて実売で15万円くらいか。
それがこの写真。
今回は普通のコンパクトデジカメでできないか、という視点で組んでみたが(それでも最近多い屈曲光学系の薄型コンパクトはダメ。オーソドックスな沈胴レンズのものがいい)、コンバージョンレンズアダプターを装着できる機種ならもっと手軽にデジカメを「TSN-DA1」に直接つけられる。
今回のユニバーサルカメラアダプターだとスコープとカメラのレンズの位置が合わないといけないのでセッティングは少し面倒である。慎重にやらないとダメ。
ピントはまず肉眼で見てスコープのピントを手動で合わせ、あとはデジカメのAFに任せる。ピントが合わないときは、カメラの位置を見直したりマクロモードにしてみたりするのがいい。ピントの合う範囲がすごく狭いのでピント合わせは慎重に。
カメラは望遠側にすること。そうしないと周辺にケラレ(黒い影)が出ちゃうからだ。望遠側にしてもセッティングがずれるとケラレが出るので注意したい。
では、このプロミナーを使うとどのくらい大きく撮れるのか。スケジュールの都合上、今にも雨が降りそうな曇天下だったので光量が足りなくて全体にどんよりしているが、勘弁してください。晴れた日に撮りたかったのだけどこればかりはしょうがない。
こんなに違う。実はすごく遠くにいるカルガモのヒナを撮ったのだが、12倍ズームでも全然届かないのだ。
ちなみに、手前にいる黒い鳥はバンである。くちばしや足がきれいな鳥だ。
ちょっと暗かったので少し露出補正をかけてある。天候が悪くてかなり暗かったのと、シャッタースピードを確保したかったので、ISO400に増感した。感度が高いデジカメだとこういうとき有利。でもフィールドスコープは意外と明るさを確保できるので、晴れていればISO50でも十分撮影できる。
こういう超望遠撮影で難しいのはAF。かなりシビアなのでちゃんと被写体を中央に入れて何枚も撮るのがいい。
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