中国の大衆的PCゲーム事情(1/2 ページ)

» 2005年07月19日 12時50分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

テレビゲームよりPCありき

 中国の一般的な所得の人々にとって、コンシューマーゲーム機はいかんしがたいほどの高価格。そこでコンシューマーゲーム機を購入する代わりに、一人っ子政策真っ只中の愛しき我が子の教育がため、PCを導入する家庭が続々と増えている。

 その昔、ファミコンが「100in1カートリッジ」がきっかけで広く普及したように、また最近では、mp3プレーヤーや電子辞書がやたらと多機能化したり、多くのメーカーが十数in1を売りにしたカードリーダーを発売するように、中国人にはとにかく「1つのものに何でもかんでも詰め込んだ」多機能でコストパフォーマンスの高いモノが好まれる。

 そのため、いろんなことができるPCもここ数年で広く普及した。ちなみに家庭内で求められる「PCでできるいろんなこと」は日本において「インターネット、テレビ録画、デジカメ画像の保存、家計簿、年賀状作成」となるが、中国では「チャット、DVDにVCDの鑑賞、ゲーム、ビジネス」なのだ。

 さて、中国では「いろいろできるPC」をいったん導入してしまえば、ゲームソフトはタダ同然ということになってしまう。正規版のソフトはどこで売られているかすらわからない一方で、コピーCD屋では100円もしない価格(日本人にとっては500円くらいのチャーハン一杯程度の価格感覚)で、違法なゲームソフトが売られている。

 売られているのは、エミュレータやら、欧米のPCゲームやら、日本のPCゲームを独自に中国語化したPCゲームやら、中国語化すらしておらず中国語OSでは文字化けが激しくストーリーすら読めない18禁ソフトやら。そして中国産のゲームでさえも、例にもれず違法コピーされて売られている。

というわけで、コピー屋のワゴンセールを漁る人々

販売メーカーの騙しと消費者の困惑

 破格の値段で売られるこれらのパッケージは、CD-Rをビニールに入れ、それをゲームのタイトルが印刷された封筒のような形状の厚紙に放り込んだだけのもの。店によっては、プラスチックのCDケースに入ったもうちょっとまともなパッケージや、日本のPCゲームのような大きくてしっかりしたパッケージも売られているが、実を言うと、こちらもホンモノとニセモノが混ざっている状態で一般消費者が判別するのは不可能に近い。消費者が「海賊版を買うまい」と「まともなパッケージ」を購入しても、海賊版をつかまされる可能性が大きいのだ。

大きい箱パッケージのソフトでも海賊版あり,要注意!

 例として、簡易パッケージながら正規版を謳い、価格も中国人に手ごろな10元からラインアップを用意している「芝麻開門」という、中国では有名なブランドを紹介しよう。このブランドは中国の電脳街はもちろん、本屋などでも販売されている信頼あるブランド。

 至極まっとうなソフトもラインアップにあるが、一方で日本の音楽がmp3ファイルで何十曲も詰め込まれたCDや、何十本もソフトが付いたエミュレータや、日本のテレビアニメなど、どうみても日本人から見れば「ブラック」なものもある。

 この芝麻開門を提供している北京正普科技発展有限公司では「芝麻開門」以外にも日本のPCソフトのように、まともにパッケージされたものもあるが、オリジナルを制作した日本のゲーム会社何社かに確認したところ、中国での販売は一切許可していないところがほとんど。つまりNGである可能性が強い。

 この芝麻開門は一例に過ぎないが、とにかく中国人にとってはそれが本物かどうか、パッケージがまともかどうか以外に判断できる材料がない。そもそも怪しげなコピーCD屋から購入する消費者にも問題はあるが、それ以上に違法コピーを消費者も知らないうちに蔓延させた販売側の責任はそれ以上に大きい。

スーパーの広告にも普通に芝麻開門が掲載されている

芝麻開門のソフトの一例。ほとんどの日本のソフトウエアが許諾を与えていないというが

オンラインゲームで伸びる中国ゲーム産業

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