CrossFireはNVIDAI SLIと同じ「複数のGPUを連動して1枚の絵を手分けしてすばやく描画する」技術だ。しかし「同じ」マルチGPU技術でありながら、それを実現する手法は大分異なる。
見た目でも分かる違いは複数のGPUの組み合わせかた。NVIDA SLIは「nForce4 SLI」搭載マザーに用意された2つのPCI Express x16スロットに同じ種類のGPUを搭載した「同じ製品」を2枚組み合わせる必要がある。2枚のグラフィックスカードはPCI Express x16(実際にはx8の2本の組み合わせ)とグラフィックスカードの基板に取り付けられたブリッジチップを使って描画データのやり取りを行う。
対するCrossFireは、チップセット「RADEON XPRESS CrossFire Edition for AMD」(従来RD480と呼ばれてきたAMD製CPUに対応するチップセット)、もしくは「RADEON XPRESS CrossFire Edition for Intel」(従来RD400と呼ばれてきたインテル製CPUに対応するチップセット)搭載マザーに用意された2つのPCI Express X16スロットに2枚のグラフィックスカードを差す。
と、2本のPCI Expressに2枚のグラフィックスカードを差すところまではNVIDIA SLIと同じだが、CrossFireでは1枚めのグラフィックスカードにCrossFireコントローラを実装した「CrossFire Edition」を用意しなければならない。CrossFire EditionはRADEON X850ファミリーや同X800ファミリーといったハイエンドGPUラインアップで用意される。このCrossFire Editionを「マスター」として機能させ、もう1枚は「スレーブ」として動作させるのがCrossFireの特徴だ。スレーブとして動作させるグラフィックスカードは従来の製品でかまわない。
今回のテストではマザーボードにギガバイトの「GA-K8AMVP Pro」を試用した。RADEON XPRESS 200 CrossFire Edition for AMDと組み合わせるサウスブリッジチップとしてULiのM1573を実装する
今回試用したグラフィックスカードのギガバイト「GV-RC85T256D-B」はRADEON X850XT CrossFire Editionを搭載。テストではこれに従来タイプのRADEON X850XTを組み合わせた。Catalystが表示する「GV-RC85T256D-B」のコアクロックは520MHz、同じくメモリクロックは540MHzNVIDIA SLIではソリッドなブリッジチップをマザーボード側で用意して2枚のグラフィックスカードをつないでいたが、CrossFireではフレキシブルなケーブルを使って2枚のカードを接続する。
マスター側のカードには、この接続ケーブル専用のコネクタが用意されている。このコネクタ側から2本のケーブルが伸びていて、一方はスレーブ側カードのDVIコネクタに、もう一方はディスプレイのケーブルと接続する。
CrossFire Editonには接続ケーブル専用のコネクタが用意される。この画像にある右のコネクタはよくあるDVI-Iで、左側のコネクタがケーブル専用のもの。この角度から見るとクーラーユニットの「厚さ」も分かる
分かりやすいようにマザーから外して接続コネクタを取り付ける。左のCrossFire Editionにある専用コネクタと接続したら右においてあるスレーブ側カードのDVI-Iにも接続。画面下に伸びているコネクタにディスプレイから来ているDVD-Iを接続するCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.