機能面での最大の特徴はデジタル放送への対応を一気に充実させたことだ。
デジタル放送でもペイパービューなどに多い、コピー禁止番組は録画できないが、主流のコピーワンス放送──1度のみ録画を許可された番組の録画は行え、付属ソフトである「Magic Player」で再生できる。
録画された番組はMPEGファイルの一般的な拡張子「mpg」で保存されるが、コピーワンス番組を録画した場合には再生可能なのは「Magic Player」だけとなる。WindowsMediaPlayerなどで再生しようとすると、最初の数秒間だけが再生されるが(CGMS-A信号検出までの時間で、暗号化されていない部分)、すぐに再生が乱れる。HDDには独自の方法で暗号化されて保存される仕組みだからだ。
さて、本機のさらなる特徴としては、その録画したコピーワンス番組をDVD-RW、DVD-RAMといったCPRM対応メディアにDVD-VRフォーマットでムーブできることだ。
付属のDVDオーサリングソフトであるサイバーリンク製「PowerProducer 3 CPRM for I-O DATA」では、本機でデジタル放送を録画した「暗号化されたMPEGファイル」の読み込みが可能で、CPRM対応メディアにDVD-VRフォーマットで書き出すことができる。DVDメディアへの書き込みが終了するとHDD上の録画ファイルは削除されるようになっており、DVDレコーダーと同様にムーブする形態となる。なお録画クオリティ自体は720×480ピクセル(D1)のSDクオリティとなるが、DVDメディアに書き込めば再生機器はCPRMメディア対応のものが必須となるだけで、この条件は家庭用DVDレコーダーなどでも同じ。少なくともPCでデジタル放送を録画するデメリットは大幅に薄れたことになるといえる。
なお当然だが、デジタル放送の録画番組に関するエクスポート機能は「PowerProducer 3 CPRM for I-O DATA」以外には行えない。携帯電話などで再生可能なMPEG-4ファイルなどへの変換が行える「GV Encoder」も利用できない。もっとも現状のルールではMPEG-4ファイルなどへ変換する場合でもオリジナルファイルを削除することになるので、あえてサポートする必要性は薄いということなのだろうか。もちろん携帯ビデオプレーヤー機器も普及してきていることだし、このあたりはアップデータなどで対応されるかもしれない。
さて、デジタル放送を録画したMPEGファイルや番組情報が記録されたファイルは、PC内で自由にコピーすることこそはできる。しかしオリジナルの情報が別管理されているため、そのMPEGファイルの取り扱いは事実上できなくなる。
たとえば関連ファイルを丸ごと別HDDにコピーしたファイルを「PowerProducer 3 CPRM for I-O DATA」でDVDメディアへムーブ作業をしてみる。この場合、オリジナルのMPEGファイルは形としては残るが、暗号化情報が失われるためそのファイルはもはや再生できないという感じである。まぁ当然だが、PCだからといって簡単に複製を作ることはできない。恒久的に保存しておきたい番組はさっさとDVDメディアに記録しておくのが正解だろうし、これが可能になっただけでもPCでデジタル放送を録画する意味が増えたといえる。
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