コピーワンス放送録画/DVDムーブも行える、“現在の”スタンダードTVカード──「GV-MVP/RX3」TVキャプチャーカード(4/4 ページ)

» 2005年11月10日 18時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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画質、音質面でのメリットが大きいデジタル放送の録画

 地上波とBS放送が、アナログ放送とデジタル放送で事実上サイマルなことを考慮すると、何かしらの苦労をしてまでデジタル放送をPCで録画するメリットを感じないという人も多いだろうし、筆者も同様に思う部分はある。

 しかしコピーワンスというデメリットを考慮しても、デジタル放送の方がよいなと思える部分は確かにある。たとえ録画そのものがSDクオリティであっても、デジタル放送を録画した方が間違いなく画質はよいし、音質に関しては画質以上に違いが大きい。

 そもそも地上アナログ放送は、放送波自体が解像度的に720×480ピクセルに満たないわけだから、1920×1080ピクセルで放送されるデジタル放送の録画とは解像度の点で差が出るのは当然だ。もちろん画質の面でその差を強く感じるのは番組自体がHD収録されている場合なのだが、民放キー局の自社からのスタジオ放送はすでにほとんどがHD収録(もしくはHDでの生放送)に移行しているし、ドラマなども再放送を除けばHD収録の番組もかなり多くなってきている。

 最近の人気ドラマなどは、放送終了後に即座にDVD化されることも多いが、これらを購入することを思えばコピーワンスという制限もあまり気にならならなくなるかもしれない。少なくともデジタル放送を最高画質で録画すれば、市販されるDVD-Videoと大きく画質が変わるとは思えないし、音質に関しても同様だからだ。

 そう思えば、多少の手間をかけてもコピーワンス放送を録画してDVDに保存するメリットはけっこう大きいと思えてくる。現在のデジタル放送におけるコピーコントロールに関しては複数回のコピーを可能にするといった緩和の動きも出ているわけだが、実際に緩和され対応する家庭用AV機器が登場する時まで、リーズナブルに導入できる本機などにてデジタル放送の録画の手段を繋ぐという考え方も悪くはないだろう。

トレンドの機能をそつなく抑えたTVチューナーカード

 本製品の魅力は確かにデジタル放送への本格対応だ。しかも旧モデルからの改善点も多い。旧モデルはどちらかといえば発色で見せる雰囲気で、標準や長時間モードでも録画品質は悪くなかったのだがソフトフォーカスな印象もあり、高画質モードでの画質向上が今ひとつの感もあった。

 対して、チューナー/MPEGエンコーダ共に変更されたこともあり、比較的シャープな印象の画質になったと感じる。XCode II搭載の「GV-MVP/GX」(レビュー参照)ほどではないが、低ビットレートと高解像度の両立も実現しており、2Mbps程度のビットレートで720×480ピクセルでの録画品質も悪くない。

 また付属ソフトの1つである「GV Encoder」も改良が進んでおり、初期バージョンと比較すると「指定ファイルサイズで分割して出力」「PSPで再生可能なフォーマットで出力」といった機能も追加がされ、ますます便利になった。予約録画終了後に自動的に変換といった使い方も可能で、深夜に録画し、朝、メモリカードなどにコピーして通勤中や昼休みなどに携帯電話や携帯ビデオプレーヤーなどで楽しむといった使い方も可能になっている。

photo 「GV Encoder」。複数の動画ファイルを登録して一気に変換作業を行うこともできる
photo PSPで再生可能なフォーマットへの動画変換機能も追加され、4段階の画質設定ができる。出力されるファイルサイズの上限を設定し、分割出力、ビットレートを自動設定して上限サイズに収めるといった機能も備える

 高画質化回路もそつなく搭載しており、強力なおまかせ録画機能も旧モデルから継承している。現在トレンドとなっているの機能はほぼおさえており、さらにデジタル放送の録画とDVD-VRという汎用フォーマットでのDVDメディアの出力が可能になった点は魅力として大きい。

 なお先に触れた通り、デジタル放送録画への使用感の配慮やスポーツ中継延長対応などまだまだ改善して欲しい部分はあるが、現時点のTVキャプチャーカードとして魅力の大きな製品であるといえそうだ。

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