中国大手検索サイトの著作権侵害裁判と中国ユーザーの反応山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)

» 2005年11月21日 16時04分 公開
[山谷剛史,ITmedia]
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中国人の著作権問題の本音とは

 百度mp3検索サービスが違法であった、という判決は、中国のWebサービス利用者を驚かせた。百度のmp3検索サービスの利用者を中心に、このニュースに関する特設掲示板などで意見を述べている。そのほとんどの意見は判決を不服とし、百度を支持するものだ。そして、その不服にもいくつかの種類かあるようだ。

 その内容を紹介しよう。

「それなら全世界の検索サービスが違法の疑いがある」

「この判決が通るなら、WindowsやOfficeやAdobeがアップロードされている場所を検索できるGoogleもマイクロソフトに訴えられるべきだ」

 これらは、おそらく判決文をよく読まずに書き込んだのだろう。Googleやほかの検索サイトも同罪なのに、なんで百度だけ?という書き込みが一番多かった。

「百度の唯一のアドバンテージがmp3捜索なのに、それがなくなったらなんのとりえもない」

「実際、百度は“mp3捜索”に尽きる。仕事の資料探しに誰がこれを使うの?」

 mp3捜索がなければ百度は使い物にならぬ、百度の検索結果はGoogleよりよろしくない、という意見もあった。確かに百度の検索結果とGoogleのそれは異なり、Googleの検索結果は、検索ワードに関するヒット数の多そうなポータルサイトがでるが、百度はそうではない。このような意見が出てくるのは、百度をよく使っている筆者としてもそれほど不思議なことではない。

「わかった。正規版しかないとしよう。でも欲しい曲がなければどうすればいい?」

「一昔前の曲が聞きたくなったときに、その曲が売ってないならどうする?」

 iTMSなど合法な音楽配信がなく、正規版のCDを売っている店がほとんどなく、正規版を売っていても、その値段は海賊版の何十倍もしてしまう、まさに中国ならではの意見だ。正規版が滅多に売ってないのだから、流通している音楽CDのほとんどが海賊版という現状を如実に表している。

 この悩みは中国における音楽流通の現実を知っているとごもっとも、とも思えてくる。だからこそ、こんな意見が登場する。

「mp3捜索サービスは止めず、百度は著作権を所有する企業にダウンロードに対する代償を支払えばいい」

 百度のmp3捜索サービスがなくなっては困る。その代わりに、百度は各レコード会社に著作権料を支払うべきという意見は「判決賛成意見」の中で多数を占めた。しかし「レコード会社自身が音楽有料ダウンロードサイトを立ち上げるべき」という意見はいくら探しても見当たらなかった。そういったWebサービスがない環境で、iPod自身が単なるブルジョワなmp3プレーヤーになっている中国ではいたしかたないところか。

 以上のように、少数ながら判決を支持する人もいた。例えば以下の意見。

「私は裁判官を支持する。著作権所持者はどの経路でその著作を提供するかを選べる。ただ、自身が著作物をソフトを使ってmp3として生成した場合は、この限りではないだろう」

 筆者のまわりにいる「百度mp3捜索サービスを利用しない人々」の意見も聞いてみた。彼らは以下の意見に代表されるように、いまの中国における状況では著作権侵害はやむを得ないと思っている。

「この問題のサービスがどんなものかよくわからないけれど、著作権侵害は良くない。しかし、PCユーザーはネットを利用して音楽を入手している。mp3が禁止になるなら中国で音楽を得る方法がなくなってしまう。CDもニセモノばかり。今の環境では解決する方法がない」

 音楽の流通は正規版と海賊版の値段格差が大きく、有料音楽ダウンロードサービスもない。百度をバッシングするだけでなく、訴えていた各レコード会社は正規版コンテンツの大幅な値下げをしたり、自身で有料音楽ダウンロードサービスを立ち上げて、誰もが「正規の音楽」を気軽に買える環境を整えるべきではないだろうか。

 日本のiTMSで1曲150円という価格設定ならば、中国では1曲15円で食いついてくると思うのだが。そうすれば百度mp3捜索のようなグレーなサービスは必要ないのだから。

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