正当進化……それとも退化? 新型TeraStationを試す(3/4 ページ)

» 2006年02月06日 10時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

ためしにドライブを引っこ抜いてみた

 ビジネス用途として利用するのであれば、よほどの事情がない限りはRAID 5モードで使用することになるだろう。RAID 5は3台以上のHDDで構成するシステムで、細切れにしたデータとそのパリティを各ドライブに分散して書き込みを行う。つまり、2台以上同時に故障しない限りはデータがロストすることはないうえに、3台構成で全体容量の67%、4台構成だと75%が利用できるバランスのとれたシステムだ。

 ミラーリングを行うRAID 1(利用効率50%)、4台のドライブとして見える通常モード(利用効率100%)、1台のドライブとして見えるスパニングモード(利用効率100%)も選択可能だが、あえてこの製品を買うのであればほとんど選択肢にならない。

 前モデルの場合は、RAID 5では負荷が高く、コマ落ちのない多チャンネル同時録画を実現するためにスパニングモードを選ぶ、という状況もあったが、そもそもLink de 録!!に対応していないTS-TGL/R5では信頼性を落とすばかりでメリットは少ない。また、RAID 1では利用効率が悪く、通常モードではテラバイトを誇るTeraStationのメリットがない(実際、TS-TGL/R5はRAID 5での利用を前提としている節があり、定期的に全データ読込みチェック、不良クラスタの自動修復を行うRAIDメンテナンス機能が搭載されている)

 一方、万が一ドライブが故障してしまった場合に重要になるのは、いかに迅速に復旧できるかだ。そこで、RAID 5での運用時にHDDが故障してしまった場合を想定して、実際にドライブを1台外した状態で起動してみた。すると、TS-TGL/R5の起動後に警告ブザーが鳴り、前面の液晶パネルに該当アレイの故障を示す警告が表示された。ちなみに、この状態でもNASとして利用可能だが、冗長性がないため、書き込みを伴う操作は避けたほうがいいだろう。

ディスクエラー画面 RAID 5構成では1台分が冗長となるので、1台故障した状態でも利用は可能だが、早急に対応が必要だ
エラー時の本体液晶ディスプレイの様子 HDDが故障すると該当ドライブのFAILランプが点灯し、冗長性のないDEGRADE MODE(縮退モード)で動作していることが示される

 シャットダウン後にドライブをもう1度接続し、再び起動すると、RAID 5の再構築を促すメッセージが表示される。ここで交換したドライブを指定すれば再構築と修復が開始される。再構築はRAID 5を構成するアレイの1台として新しいドライブを使用するように設定することで、それほど時間はかからないが、その間、共有ドライブとしての利用はできない。一方、修復は既存のドライブからパリティやデータを計算し、新しいドライブに書き込むことで、その間の利用は可能だが、完了までには6時間以上かかる。

RAID再構築その1 故障したドライブを交換し、RAIDの再構成を行う。ここで警告される消去されるデータは交換した新しいドライブのこと。今までのデータは残っているので安心しよう
RAID再構築その2 RAIDの再構成中はファイルサーバの利用はできないが、それほど時間はかからない
RAID修復 RAID修復中の画面。修復には6時間程度かかるが、その間も利用することはできる

ジャンボフレームの効果は絶大

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