中国におけるソフトウェアビジネスを金山軟件に聞く山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)

» 2006年02月07日 15時00分 公開
[山谷剛史,ITmedia]
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日本市場の反応とキングソフトのリリース予定

 キングソフトは中国本社から日本市場への浸透をどのようにやるようにいわれているのだろうか?

 「中国本社は日本市場のスタンスを、完全に私達日本側に任せています。日本側から提案して拒否されたことはないですね」(広沢氏)

 広沢氏は金山軟件が日本に製品を投入することにした理由として「まず、著作権に関するモラルがしっかりしているということ。次に平たく言うとお金持ちな国であるということ。最後に漢字文化であること」(広沢氏)を答えている。

 日本でキングソフト日本支社を立ち上げ、同社は「キングソフト インターネットセキュリティ」100万本無償キャンペーンを行った。新たなフリーウェアの登場に飛びつくヘビーユーザーがキングソフトを試していたが、彼らの反応はどうだったのだろうか?

 「サポートページのフォームから質問やバグ報告ができますが、我々のレスポンスが早い、という評価をいただいています。日中は社員や外注スタッフが対応しますが、リリース直後は社長自身が夜中に質問メールに答えていました。このときは、夜に質問メールを送ったのに、すぐ返信がきた! とユーザーも驚いたそうです」

 「レンタルサーバのナスカさんに助け合い掲示板を設定していただいたおかげで、キングソフトのサポートやユーザー同士が助け合っています。その掲示板で上級者が我々のサポートの手厚さを評価してくれたときは、うれしいかったですね」(キングソフト広報 綿引恭子氏)

 「1000万人に対応するサポート体制ができる大企業と、立ち上がったばかりのソフトウェアベンダーとでは規模が違います。ユーザーサポートが我々のアドバンテージになるように努力していきたいと考えています。そのため、例えば電話を使ったサポートを導入するとセンターと繋がらないケースも起きるので、将来も引き続きメールベースのサポートを考えています」(広沢氏)

 海外のソフトのローカライズ、となるとすぐに思いつくのが「マニュアルやメニューの日本語化」だ。しかし、中国のソフトを日本語化するだけは、中国にはない、日本独自の「習慣」に対応できない。キングソフトにも製品リリース後に、ユーザーから日本独自仕様のリクエストが多く寄せられた。

 「単なる日本語化でなく、日本にあって中国にない習慣があるなら、本社の開発部隊に要求して日本語版だけのバージョンアップを行います。例えば、圧縮のLZH形式ですね。中国ではまったく普及していませんが、日本ではスタンダードなので、リリース後にユーザーの要望を受けて対応しました」(綿引氏)

 広沢氏は、このほかにも、金山軟件の業務で中国と日本のIT文化の違いを感じることがあったという。

 「中国では海賊版が当たり前にある状況なので店頭販売は期待できないですが、日本ではヘビーユーザーが意外と店頭販売で購入してくれる。日本ではパッケージ販売をもっとやりたいですね。」(広沢氏)

500円で5ライセンス、おまけにミニゲーム5本入りのパッケージ版インターネットセキュリティ2006

 大々的なキャンペーンで日本市場に橋頭堡を築いたキングソフトは今後どんな製品を予定しているのだろうか。

 「今年の新製品予定として、9月にキングソフトインターネットセキュリティ2007を日中同時にリリース、年内にはWPSオフィスのリリースを予定しています。価格については、前者はこれ以上下げようがないため、980円を維持する予定です。後者は価格は未定ですが、マイクロソフトの半額以下、ソースネクストのスタースイートより高額にするつもりです。中国ではWindows版とLinux版がありますが、翻訳およびQ&Aの関係上、まずはWindows版のみとなるでしょう」

 他製品、例えば同社の辞書ソフトや、オンラインゲームの日本語版については予定はあるのだろうか?

 「辞書ソフトや翻訳ソフト、オンラインゲームの日本市場投入は当面予定ありません。日本における翻訳ソフト市場が小さいことと、金山軟件がこれをWebサービスに移行中のため、プログラムの日本語化にあまりリソースをさけないためです。日本で翻訳のWebサービスをやる可能性についても、いろいろなポータルサイトがすでに提供しているので、いまさらという感もあります。オンラインゲームの日本語化の予定も今のところはありません」(広沢氏)

 最後にキングソフトの目標を広沢氏は次のように語っている。

「まもなくインターネットセキュリティは100万ダウンロードを達成します。ただ、これは無料なので、100万のユーザーが有料アップデートしてくれるのが次の目標ですね」

キングソフト日本支社社長の広沢一郎氏(左)と広報の綿引恭子氏(右)
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