最後に消費電力といわゆるワット性能(電力あたりの性能、パフォーマンス/ワット)を計測していきたい。前回のレビュー記事と同じように、Windowsが起動した状態で何もさせていないアイドル時と、エンコード時、3Dベンチマーク実行時のそれぞれで計測している。なお、消費電力はシステム全体の値だが、CPUとマザーボード、メモリ以外はすべて同じパーツを利用しているので、それぞれの値の差はCPUとチップセット、メモリの違いと考えてよい。
新しいCステップになり、Pentium XEの消費電力が大幅に改善されていることがグラフからもすぐに分かる。新しいステッピングではC1Eが有効になることでアイドル時の消費電力が改善されることはもともと期待されていたが、エンコード時や3Dゲームベンチにおける省電力性能も大幅に改善されているのに注目したい。
次に、ワット性能を見ていく。これは、上記のグラフのうちエンコード時と3Dベンチマーク時のベンチマーク結果を消費電力で割り、それに100を掛けることで100ワットあたりに得られるベンチマークスコアを算出したものだ。
エンコード時に関してはAthlon 64 FX-60が依然として高いワット性能を実現しており、デュアルコア系のAthlon 64 X2がこれに続いている。しかし、3DMark05に関しては消費電力が低下したPentium 4 XEがこれを上回った。Pentium XE 965で省電力性能が若干の改善されたのがここからも見て取れるだろう。
以上のように、Pentium XE 965がインテル系として最強のCPUとなるのはベンチマークの結果からも明らかだろう。Athlon 64系と比較しても、従来のように大きく引き離されることもなく、互角に近い結果となってきているのではないだろうか。ただし、すでに述べたように、コストパフォーマンスに関してはかなり厳しい状況なので、あくまでコストにはこだわらずひたすら性能を追い求めたいというユーザーのための選択肢と言える。
性能以上に、Cステップの導入によってもたらされた実利用環境での消費電力の低下は特筆に値する。熱設計消費電力と呼ばれるTDPの値こそ130ワットと従来と変わっていないが、実利用環境においてできるだけ省電力を行う“C1E”が有効になったことで、実際にアプリケーションが動作しているときの消費電力が従来のBステップを採用したPentium XE 955に比べて下がっているのは高く評価したい。
今後、PreslerコアのCPUもCステップのコアに順次切り替わっていくことになるので、PreslerコアのPentium Dの購入を考えているユーザーで消費電力が気になる場合は、Cステップの製品を待ってみるのもいいだろう。
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