世界シェアNo.1のデルが考えるスタンダードノートPCとは!?――「Inspiron 630m」ダイレクトPC最前線

» 2006年03月30日 09時30分 公開
[兼子忍&ダイレクトPC取材班,ITmedia]
スタンダードノートPCの「Inspiron 630m」

 ノートPCを買うときに1つの指標となるのが液晶ディスプレイのサイズだ。具体的には、14.1インチ以上ならデスクトップPCの代替機として使う据え置きノート、13.3インチ以下なら屋外にも持ち出して使うモバイルノートといった具合に分類できるだろう。しかし、今回紹介するInspiron 630mは一口に据え置き、モバイルと分類するのが少々ためらわれる。14.1インチのワイド液晶を搭載しながら、6セルバッテリー装着時で重量が約2.5キロ、約4.5時間の駆動が可能(9セルバッテリー搭載時は約7時間/いずれもPentium M搭載モデルの場合)と、必要に応じて持ち出して使えるのがその理由だ。

 常時携帯するPCとしてはさすがに重量オーバーだが、普段は机上に置いて使いつつ、いざというときにオフィスや自宅から外に連れ出す程度なら許容範囲内といえるのではないだろうか。本体サイズも330(幅)×244(奥行き)×38(高さ)ミリ(6セルバッテリ装着時)と、でこぼこがなくちょっと大きめのカバンを用意すれば、本機をすっぽりと収納して持ち運べる。なお、本機のキャッチコピーは「スタンダードモバイル」だが、さすがに日本ではモバイルというのははばかられる。あくまで車社会が前提の米国での話だろう。ちなみに余談だが、米国で本機と同じボディを採用したXPS M140のキャッチコピーは「Unprecedented Mobility & Performance」だ。

価格と性能のバランスが取れた「Sonoma」世代のプラットフォームを採用

 本機のプラットフォームは、チップセットにIntel 915GM Expressを採用したSonoma世代のものだ。Intel Coreを搭載した最新のNapaプラットフォームに比べれば性能面で見劣りするものの、一般家庭やオフィスで使うノートPCとしては十分に実用的なパフォーマンスを得られる。BTOメニューではCPUにPentium MとCeleron Mを選べるが、バッテリーの駆動時間を少しでも優先するならば、拡張版SpeedStepテクノロジをサポートしたPentium Mをおすすめしたい。

 液晶ディスプレイはサイズが14.1インチ、解像度が1280×800ドットに固定されるもののBTOメニューには表面に光沢処理を施したTrueLife液晶と、非光沢タイプの2つが用意されている。プライベートで使うなら、DVD-Videoなどの映像コンテンツを鮮やかな表示で楽しめるTrueLife液晶を、ビジネス用途で使用する機会が多いなら非光沢液晶と、利用シーンに応じて選ぶとよいだろう。今回は非光沢タイプを試用したが、視野角は左右80度で上下も広くないため、正対して使うのがベターと言える。

14.1インチのワイド液晶ディスプレイは光沢/非光沢から選べる。評価機のキーボードは英語配列だったが(左)、日本語配列も差額なしで選択可能だ。9セルバッテリーを装着すると、駆動時間が約7時間(Pentium M搭載モデルの場合)に増える半面、重量が約2.65キロに増え、バッテリーが背面に20ミリほど出っ張る(右)。ACアダプタはInspiron 710mと共通で、サイズが27.5(幅)×138(奥行き)×57.5(高さ)ミリ、重量が約350グラムと大柄だ

使い勝手や拡張性は満足できる内容

 さて、実際の使用感について見ていこう。Pentium M 740(1.73GHz)と1Gバイトのメモリを備えた評価機で、CPUやグラフィックスに高い負荷を与えた状態を作り出した。その結果、冷却ファンの風切り音は、ほぼ無音に近いアイドリング状態からわずかに増大したが、生活雑音に紛れる程度にとどまっており、耳障りな騒音は感じなかった。長時間使用すると、パームレストとキーボードの左側で温度が上昇するが、操作中に不快感を覚えるほどではなく、おおむね不満のないレベルにあると言える。もっとも吸気口が底面にあるので、机以外の場所で使うときは気を配りたいところだ。

 キーボードは、主要キーのピッチが19ミリ、ストロークが2.5ミリと余裕を持たせた配列だ。さらに、キーボードユニットを支える土台にも十分な剛性があり、キートップのぐらつきも少なく、長い文書を作成するときもストレスを感じることはないだろう。日本語のほか英語配列のキーボードを選べるのもポイントだが、どちらの場合もアプリケーションキーが最上段の左端に並ぶのはいただけない(WordやExcelといったオフィスソフトで利用する機会が多いので)。

 本体手前には音量調整とDVD-Video/音楽CDの再生操作ボタンが搭載される。インスタント機能には非対応で、アプリケーション起動用のワンタッチボタンは持たないが、Synaptics製の多機能ドライバを使って、タッチパッドの四隅に任意のアプリケーションを起動するよう設定すれば、ワンタッチボタンに近い操作感が得られる。

 端子類は、USB 2.0を背面と右側面に2基ずつ配置し、周辺機器によって接続する位置を使い分けられる。また左側面には4ピンのIEEE1394と5種類のメディアに対応したメモリカードスロットを備え、家庭内で使うメインマシンとして使いやすい構成だ。Expressカードスロットを搭載して将来的な拡張性に配慮しているのも評価できる。半面、PCカードスロットは省略されており、手持ちのPCカードが利用できない点には注意が必要だ。

主要なコネクタは両側面にあり、配置にも不満はない(左)。排気口は左側面奥に、音量調整とDVD-Video/音楽CDの再生操作ボタンが前面に並ぶ。増設用のメモリスロットやHDDベイ、Mini PCIスロットには底面から簡単にアクセス可能だ(右)。プライマリのメモリスロットはキーボード直下にある。写真のバッテリーは9セルタイプだ

あらゆるシーンで使えるハイパフォーマンス構成がおすすめ

 昨今、14インチクラスのワイド液晶ディスプレイ搭載ノートPCは人気の高いカテゴリーだが、本機はA4ノートPCならではの良好な操作性とともに、機動性と長時間のバッテリー駆動も可能なのが特徴だ。それゆえ、BTOではこれらのメリットを引き立てるパーツを選びたいところ。つまり、CPUを筆頭にできるだけ高性能なパーツを選ぶのがベストといえるだろう。

 ちなみに、CPUはPentium M 750(1.86GHz)/同740(1.73GHz)/Celeron M 380(1.60GHz)/同370(1.50GHz)から、メモリは2048/1024/512/256Mバイトから、HDDは120/100/80/60Gバイトから、光学ドライブはDVDスーパーマルチ/DVD±RW/コンボから選べる。グラフィックスが915GMチップセット内蔵コアにとどまるのは物足りないが、性能面で不満はない。

 購入費用は少々高くなるかもしれないが、オンライン専用の特別ディスカウントクーポン券を始めとした各種割引サービスを利用すれば、思った以上に安価に本機を入手できるはずだ。原稿執筆時は上記のクーポンなどを適用することにより、最小構成時で9万円を下回る価格で販売されていた。BTOメニューでは購入前にパーツ自由に選べるので、まずは理想のパーツを使った構成を組み上げ、予算を見ながら微調整していくとよいだろう。


18万円でパフォーマンス重視の1台を組み上げる

 ここでは予算を18万円に設定し、デスクトップPCの代替機として使うことを想定した。CPUは価格と性能のバランスがよいPentium M 740(1.73GHz)をチョイス。拡張版SpeedStepテクノロジによりバッテリーライフを延長できる点でも魅力である。これにより、室内でのちょっとした移動でもACアダプタを気にする必要がないのがうれしい。DVD-Videoの視聴を考えて、液晶ディスプレイには鮮やかな発色が得られる光沢タイプのTrueLife液晶を選んだが、液晶パネルへの映り込みが気になるならば非光沢タイプ(マイナス2000円)を選ぶのが無難だ。なお、Bluetooth+EDRモジュールはわずか2000円の追加投資で増設可能だ。別途Bluetooth接続のマウスを用意すれば、机上でケーブルに悩まされることがなくなるため、使い勝手を考えれば必ず加えておきたいオプションといえる。

BTO内容 項目
CPU Pentium M 740(1.73GHz)
メモリ 1GB(512MB×2/PC2-4200)
グラフィックス チップセット内蔵(Intel 915GM)
HDD 100GB(2.5インチ/5400rpm)
光学ドライブ DVDスーパーマルチ(DVD+R DL対応)
液晶ディスプレイ TrueLife(光沢タイプ)
無線LAN Intel Pro/Wireless 2915ABG(IEEE802.11a/g/b)
キーボード 日本語配列
バッテリー 6セル
そのほか Bluetooth内蔵
OS Windows XP Home Edition(SP2)
価格 18万3015円(クーポンは非適用)
価格は2006年3月30日現在



とにかく安価なビジネス仕様のモデルを手に入れる――ダイレクトPC取材班のオススメBTO

 スタンダードに位置付けられるだけに、突飛なBTOメニューは用意されていないが、別途USB接続のTVチューナーを選べば、OSをWindows XP Media Center Edition 2005にすることも可能と、ユニークな側面を備えたのがInspiron 630mだ(さすがにViiv対応することはできないが)。今回はOSにWindows XP Professionalを選び、キーボードをスペースバーが長い英語配列にした以外は、ほぼ最小構成に近い内容だ。それでもスペックはなかなかパワフルであり、ビジネス用途では十分過ぎるほどと言える。クーポンなどを適用しなくても13万円以下で買えるが、特別ディスカウントを上手に利用すれば、この構成でも10万円前後で購入できるのがミソだ。

BTO内容 項目
CPU Celeron M 370(1.50GHz)
メモリ 512MB(256MB×2/PC2-4200)
グラフィックス チップセット内蔵(Intel 915GM)
HDD 100GB(2.5インチ/5400rpm)
光学ドライブ DVD±RW(DVD+R DL対応)
液晶ディスプレイ 非光沢タイプ
無線LAN Intel Pro/Wireless 2200BG(IEEE802.11g/b)
キーボード 英語配列
バッテリ 6セル
そのほか
OS Windows XP Professional(SP2)
価格 12万6525円
価格は2006年3月30日現在


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