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» 2006年05月29日 12時59分 公開

きょうは「nForce 590 SLI」でうわさの“EPP”を試してみた (2/4)

[笠原一輝,ITmedia]

SPDの拡張規格「EPP」で手軽にメモリをオーバークロック

 もう1つの注目すべき機能が、NVIDIAとメモリモジュールメーカーのCorsairが協力して策定した「EPP」(Enhanced Performance Profile)と呼ばれる仕組みに対応していることだ。

 PCで利用するメモリモジュール、つまりDIMMにはSPD(Serial Presence Detect)と呼ばれるROMが搭載されている。SPDにはメモリが動作する仕様(例えばDRAM内部でメモリを読み出すタイミングの1つである「CASレイテンシ」の設定)が記録されていて、起動時にこのSPDのデータをマザーボードが読みだすことでメモリが正しく動作するようにパラメータが設定される。

 SPDに記録されているパラメータは、PCが必ず動作するようにある程度のマージンが(かなりの余裕をもって)設けられている。このパラーメータ、例えば前出のCASレイテンシをもっと短い時間に設定すれば、メモリからCPUにデータを読み込む時間が早くなり、結果的にPCの処理能力が向上する可能性がある。

 以前からこのようなメモリのチューニングに挑戦するパワーユーザーは少なくない。しかし、このような項目を設定するにはユーザーがDRAMのパラメータについて正しい知識を持っている必要がある。例えば、「tRAS」「tCAS」といった専門用語の意味が分からないユーザーはメモリのチューニングはしないほうがいい。

 そこで、NVIDIAとCorsairは、このSPDのデータを拡張して新たに「EPP」という仕様を作った。このEPPはSPDの上位互換で、従来のように安定して動作するパラメータとは別にちょっとオーバークロック気味のパラメータも用意している。ユーザーは、通常のSPDのパラメータを利用するのかEPPの拡張パラメータを利用するかをBIOSセットアップで選択できる。EPPのパラメータを選べばメモリについて詳しい知識がなくとも手軽にチューニングできるようになるのだ。

 EPPを利用するには、メモリモジュールもマザーボード側もこの拡張仕様に対応している必要がある。nForce 500シリーズのチップセットそのものはこのEPPに対応しているが、この機能を使うか使わないかはマザーボードベンダの選択に任されているのでEPPを利用したいユーザーはマザーボードを購入するときにこの仕様はチェックしておきたい。なお、EPPに対応したメモリは今後Corsairから発売される予定になっているが、日本で発売されるかどうかは今のところ未定だ。

SPDの拡張仕様としてEPPを定義している。EPPによってメモリの詳しい知識がなくても簡単にメモリチューニングが可能になる
Corsiarが2つのEPP対応メモリを発売。日本での販売は今のところ未定

サウスにあるのは2つのギガビットと10つのUSB 2.0と6つのSATAポート

 nForce 590 SLIは、ノースブリッジに相当するSPPとサウスブリッジに相当するMCPから構成されている。このうち、MCPに実装されているサウスブリッジの機能は従来のnForce4から拡張されている。

 nForce4でもギガビットイーサネットが標準で搭載されていたが、nForce 500シリーズではそれが2ポートに拡張された。この拡張された2つのギガビットイーサネットは、ルータのような使い方以外にNVIDIAが“Teaming”と呼ぶ機能として利用できる。この機能は、2つのギガビットイーサネットをソフトウェア的に1つと見せかけて、ロードバランシング(パケットをそれぞれのポートに振り分けて帯域を効率よく利用する)やフェイルセーフ(1つの回線が使えなくなっても、もう1つの回線で通信を続けること)の用途に使えるのだ。

 最近ではPCにDLNA対応のメディアサーバなどをインストールして利用することも増えているが、近い将来にHD解像度のコンテンツをホームネットワークに公開することになると、ネットワーク回線にかかる負荷は非常に大きくなる。そういうときにこのようなロードバランシングの機能を上手く使えば、より快適に利用できる可能性は高い。このほかにも、ネットワーク対戦をサポートしたゲームでゲームのパケットを優先的に送信するようにする「FirstPacket」やギガビット転送を行っているときにCPUへの負荷を低減する「TCPオフロード」などの機能も実装されている。

 Serial ATAのポート数も従来の4ポートから6ポートへと拡張された。上位モデルではRAID5に対応しているので6台のHDDを使ったRAID5構成も可能になっている。ただし、Ultra ATA/133に関しては1チャネルのみのサポートなので基本的には光学ドライブを接続することになるだろう。

 このほかにも、nForce 4で見送られていたHDオーディオの対応や8から10に増やされたUSBポートなどの改良も加えられている。

Teaming機能では2つのギガビットイーサネットを1つに見せかけることでロードバランシングによる負荷の分散が可能になる
NVIDIAのFirstPacketを利用するとゲームのパケットをほかのパケットに優先して送ることができる

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