BMWボディを水冷で走らせる──日本HPのモンスターマシン「HP Z800 Workstation」を試す:デュアルXeon搭載(1/3 ページ)
日本HPのパーソナルワークステーション「Zシリーズ」に水冷モデルが加わった。その最上位モデル「Z800 水冷モデル」の実力を見ていこう。
冷却方法を選択できるワークステーション
「HP Z800 Workstation」は、日本ヒューレット・パッカード(HP)のパーソナル・ワークステーションシリーズの最上位モデルだ。2基のXeonプロセッサに1万5000rpmの高速HDDに代表される強力なハードウェアスペック、メンテナンス性に優れ、機能的なシャシー、水冷も選べる強力な冷却システムなど、普通のPCとはひと味もふた味も違った豪華絢爛(けんらん)なモンスターマシンとなっている。
今回は最上位モデルの「Z800 水冷モデル」を掲載したが、これまで掲載した空冷モデルなどは下の関連記事を参照してほしい。
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高級スポーツカーを連想させるゴージャスボディ
HP Z800 Workstationで、まず目を引くのがその重厚なボディだ。サイズは203(幅)×525(奥行き)×444(高さ)ミリ、標準構成の重量は約21キロという超重量級で、BMW Group DesignworksUSAとのコラボレーションで生まれたデザインも見逃せない。手持ち用ハンドル、吸気用スリット、強度アップのためのサイドカバーの段差などをデザインの一部として取り入れた大胆なフォルム、スチール製の頑強なシャシーにブラックの樹脂カバーとシルバーの肉厚アルミニウムのサイドカバーを組み合わせた重厚なたたずまいは、まるで高級スポーツカーのような雰囲気がある。
サイドカバーに設けられたノブを引くとロックが外れ、サイドカバーを外すことができるが、このノブも実に安定感のある造りで高級感がある。そして、サイドカバーを外すと、マザーボードを覆う上下に2分割されたフェアリングが姿を現す。エアフローをケース前面から背面へとスムーズに送り、PC内部のパーツを効率よく冷却するためのものだが、これもまた流線型のデザインとなっており、スポーツカーを連想させる。
信頼性を裏付ける冷却システムと高品質電源
このフェアリングに象徴されるように、本機の冷却への配慮は実に入念だ。背面に9センチ角のシステムファンを2基搭載するほか、HDDベイにも9センチ角のファンを2基、メモリスロット部分にも8センチ角のファンを2基搭載する。半導体チップも、電解コンデンサにしてもPCに使われている部品はおしなべて熱に弱く、安定動作および長寿命のために強力な冷却は不可欠だ。空調設備のトラブルなどによる室温の上昇などといった悪条件の可能性も想定すると、冷却が強力すぎて困るということはなく、これだけの冷却能力を備えているのは実に心強い。
さらに、CPUの冷却システムは搭載CPUによって「標準」「高性能」「水冷」と3種類のシステムが用意されている。評価機では水冷システムを採用しており、2つのCPUソケットに固定されたCPUジャケットと、背面のシステムファンの背後に装着されたラジエーターとの間で冷却液が循環する仕組みだ。上記のようにCPU冷却用以外にもたくさんのファンが搭載されているだけに無音にはなりえないが、それでも空冷よりはファンを減らすことができ、負荷時にも安定して冷却できるメリットがある。
高品質な電源ユニットを搭載している点も見逃せない。本製品が採用するDELTA Electronics製の1110ワットの電源ユニットは、高変換効率の証明である80 PLUS認証の中でも上位グレードである「80 PLUS SILVER」を取得しており、変換効率の高さは折り紙付きだ。変換効率が高いということは電源自体の発熱が低いということであり、また変換効率を高めるためには回路設計、高品質部品の使用が不可欠であり、信頼性の面でも実に頼もしい。出力は+12ボルト系は9系統ですべて18アンペアの出力があり、デュアルCPU/デュアルグラフィックスカードといったハイエンド構成にも余裕をもって対応できる。
この電源ユニットはシャシーの最上部に収まっており、側面に用意されたハンドルを使って、ブロックのように簡単に着脱が可能となっている。これだけでなく、HDD、光学ドライブなどもすべてレバー操作のみで着脱できるシャシーの構造は実にシステマティックで合理的だ。万が一ハードウェアにトラブルが起きた場合にも迅速なメンテナンスが可能で、長時間のダウンタイムが許されないシビアな用途にも対応できる。
次のページでは、多彩なBTOメニューを用意した内部システムをチェックする。
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