開発者が語る「VGN-UX50の思想」(2/3 ページ)

» 2006年06月01日 00時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

「ファンレスは最初から考えていなかった」(談)

 VGN-UX50はIntel Core Solo U1300という最新のCPUを搭載している。それに伴ないチップセットは3D描画機能をサポートするIntel GMA 950を内蔵したIntel 945GMを、メモリもDDR2-400MHzを512Mバイトオンボードで実装する。これらの最新で高性能のパーツは低消費電力タイプとはいえ発熱が多い。VGN-UX50の開発において熱設計や耐衝撃設計は「あとから大きな変更ができる部分ではないので」(鈴木氏)かなり早い段階からシミュレーションをして「どこになにを置くというのはきっちり決まって」(鈴木氏)いたという。

 「ファンレスは最初から考えていなかった」(鈴木氏)と、消費電力を重視する小型デバイスとしては、意外な方針でVGN-UX50の熱対策は進められている。その理由は「両手で握るようにして持つ」VGN-UX50の使い方にあった。「筐体のほとんどが手に触れる部分であるため、室温に対する温度上昇の許容範囲がノートPCに比べて相当低いのです。手に持ったときに涼しく冷たいと感じなければなりません。通常は外側に熱を伝えて中を冷やしますが、VGN-UX50では絶対にやってはいけない方法です。それをやったら熱くて持てなくなるのが分かっていたので、熱対策にファンは必須でした。とにかく外に伝えずに中の熱をファンに吸わせて一方向に出させるということがVGN-UX50における熱対策の最大のコンセプトです」(鈴木氏)

 VGN-UX50の内部を見るとCPUやチップセット、メモリ、HDDを詰め込んだユニットが1つの塊になっているのに気が付く。この「塊」はマグネシウム合金製のフレームに取り付けられ、そしてこのフレームは限られた接点で筐体に取り付けられている。発熱源である塊と筐体は直接接触していないのだ。開発スタッフはこの構造を「卵のパック」に例えて説明する。

 「卵のパックは外からの衝撃を和らげるために卵そのものを浮かせる中空構造になっています。卵が発熱する部分と考えてパックと接触するところをなるべく少なくする中空構造にして、熱が外に出てこないようにしています。CPUやチップセットが集まっている熱い部分と筐体の接触がなるべく必要最低限にすることで熱が伝わらないようにしているのです」(鈴木氏)

 ヒートパイプとアルミパネルを組み合わせたクーラーユニットも実装されている。鈴木氏によると「このアルミパネルは1人三役。1つは構造体で強度を保ちます。2つにこれ自体がファンを助けるヒートシンク。そしてCPUにヒートパイプをくっつける役目。今回はヒートパイプとアルミパネルの両方でCPUの熱を分担しながら放熱していきます」となっている。熱を拡散させるというのは筐体表面温度に影響しそうだが「卵の中の話なので、(拡散した熱が)外に出なければ問題ない」(鈴木氏)

 先ほども触れたように、VGN-UX50は予想される発熱量から最初からファンレスを選択肢から外していた。CPUにIntel Core Solo U1300を搭載しているこのミニノートPCにほかのCPUを採用するとファンレスは実現するのだろうか。

「現状でWindowsアプリを満足に動かせる性能を出せるCPUでは厳しいと思います。ポイントは、セット全体を包むモバイルグリップスタイルです。手で包み込むことをやめない限り、ほかのCPUを使ったとしてもハードルはかなり高いです」(鈴木氏)ということになる。

 スリットから出てくる排気は熱い。それも「内部に熱をこめないために頑張っているという状況なので、排気の熱を下げると筐体に熱がいってしまう」(鈴木氏)ためだ。「排気が熱い」は「筐体が熱い」につながるのではなく、逆に筐体を熱くしないために排気が熱くなっているわけだ。

CPUにチップセット、メモリ、そしてHDDを組み込んだこの「塊」がVGN-UX50の発熱源となる
VGN-UX50に組み込まれたクーラーユニットを構成するアルミのパネルとヒートパイプ内蔵ファン

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