第3回 内蔵グラフィックスでWindows Aeroは動くのか!?元麻布春男のWatchTower「Windows Vista編」(2/2 ページ)

» 2006年06月30日 08時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]
前のページへ 1|2       

Intel 945GでWindows Aeroに挑戦したところ……

統合チップセットでVista β2をテストした環境
マザーボード Intel D945GTP
CPU Pentium D 2.80GHz
メモリ 2Gバイト(DDR2-667)
グラフィックス チップセット内蔵(Intel 945G)
解像度 1600×1200ドット(32ビット)
HDD Maxtor MaxLine III SATA 250Gバイト

 さて、256MバイトのグラフィックスメモリでWindows Aeroが動くことが分かったとはいえ、Microsoftが発表している資料では、シングルディスプレイ時であれば128Mバイトでも動くことになっている。また、主流となっている安価なデスクトップPCやノートPCの現状を考えれば、チップセット内蔵グラフィックスコントローラでAeroが使えるのかどうかが気になる。そこで、右表のシステムを新たに作り、Vista β2をインストールしてみた。

 このシステムはIntelのグラフィックス内蔵チップセット、945Gをベースにしたもので、メインメモリから割り当て可能な最大量(128Mバイト)をグラフィックスに割り当てている。デスクトップPC向けには、間もなく次の世代のグラフィックスコアを搭載したG965チップセットが登場する見込みだが、945Gファミリはモバイル向けでは、次のMerom世代でもしばらく使われることになっている。モバイル向けよりグラフィックスコアクロックの高いデスクトップ向けの945GでWindows Aeroが使えないとなると、ノートPCでのWindows Aeroはかなり厳しいものになってしまう。

 心配しつつVista β2をインストールしてシステムを起動すると、何のことはなくWindows Aeroは有効になっていた。が、どこかおかしい。よく見ると、Aeroの特徴の1つである透明なボーダーが無効になっている。設定で透明を有効にするように変更しても、なぜか反映されない。また、どうかすると画面の下側1/8くらいの描画がおかしくなる現象も見られた。グラフィックスメモリが十分でないのかもしれない。

945GベースのシステムにVista β2をインストールした直後の画面(画面=左)。Aeroは有効になっているのに、窓枠は透明になっていない。また、画面の下で描画が乱れる場合がある(画面=右)

解決策は突然やってきた

 ところがこのような問題は突然解決した。Windows Updateを実施したところ、ボーダーは透明になり、描画エラーの発生率も大幅に低下した。どうやらWindows Updateにより新しいディスプレイドライバが提供されたようだ。この状態においてもパフォーマンス評価ツールによる評価(スコア)はまったく変わらないが、体感性能はアップした。これならAeroの使い心地もそれほど悪くない。チップセット内蔵グラフィックスでのWindows Aeroも、考えていたほど悲観する必要はないかもしれない。

統合チップセットでは当然のことながら評価も低い。Aeroを快適に使える目安は評価3だとされており、厳しい評価だ
今回適用したVista β2用のWindows Update一覧
Windows Updateを適用した後でも評価の数字は変わらないが、体感速度では改善が得られた。窓枠も透明になっている

上の評価でWindowsの開始が遅くなっている、と指摘された問題の詳細画面。デバイスドライバのデジタルサインはMicrosoftだし、いずれもOSの標準コンポーネントである
Windowsのシャットダウンが遅くなっている原因は、Windows Sidebarか? このようなWindows標準コンポーネントは、評価の対象から外すべきだと思うのだが
視覚パフォーマンスの問題。何が気に入らないのか今ひとつはっきりしない。(グラフィックス)メモリが不足している、ということは考えられるが、このように2つの異なった要因を指摘するのは望ましくないのではないだろうか

 前回と今回で、グラフィックスハードウェアの条件を変えて、Vista β2をとっかえひっかえインストールしてみたが、ディスプレイドライバのチューニングは、まだ現在進行形であることが実感できた。また、パフォーマンス評価ツールの値が、体感的な評価と一致しないケースが多いことも分かった。ただ、これはもう少しデバイスドライバの完成度が上がらないと、評点システムそのもののチューニングも難しい、ということのようにも思える。時間との戦いは、これから厳しさを増すことだろう。

最後にWindows XPでのIntel 945G搭載システムのベンチマークテストをまとめた。こちらはPCMark05だ
こちらは3DMark06(NoAA)の結果。2種類の画面解像度でテストを実施している
WinSAT.exeをWindows XPで動作させた値。こちらの詳細は前回の記事を参照してほしい

元麻布春男氏のプロフィール

フリーライター。IBM PC/AT互換機以前からPCの世界に入り、さまざまなメディアでPCに関する評論やレビュー、コラムなどを執筆。とくに技術面での造詣が深く、独特の切り口による分析記事は人気が高い。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー