「エアロソアラ」が天(井)を舞った日男たちの闘い(2/2 ページ)

» 2006年07月22日 00時48分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 藁にもすがる思いで、タカラトミーの専用サイトにアクセスする。ここには、エアロソアラマーケッター(要は販売担当者)のDr.氏田による「エアロソアラのフライト講座」が公開されている。画像や動画を豊富に使い、分かりやすくエアロソアラの飛ばし方を解説してくれるのだ。

 さらに、上級テクニックとして「8の字飛行」や「超低空飛行」、はたまた「仕事の合間にオフィスフライト」なんていう動画もあった。確かに上級テクニックだ。別の意味で。

 Dr.によると、リリース時は、機体が天井と床に並行になるようにして、なるべく高い位置から、やさしく、ゆっくり、かる〜く……。「フル充電した最初の段階で正しい軌道に乗せられるかどうかが長い時間、飛ばせるようになるポイント。せっかくフル充電したのにすぐに墜落してしまうと、電力を消費してしまい、再度充電しなければいけなくなってしまいます」(Dr.氏田氏)。

 また、長く飛ばすためには、消費電力を抑えることも重要だ。プロペラを動かすのはリリース直前。並行に飛ばすつもりなら、パワーコントロールのスライドスイッチは中央でいい。上昇/下降は「急に操作せず、ゆっくりと動かしてください」(Dr.氏田氏)。そして飛行中に旋回ボタンを押すときも「チョンチョン」と断続的にボタンを押す……。

 どうやら、大の大人が5人も寄ってたかって、ダメなことを全部やっていたらしい。というか、説明書にも同じことを書いてあったのだが、誰かが読んだと思って実は誰も目を通していなかったことが判明。前回に続き、ぐだぐだな連中である。

 とにかく、機体をリリースするコツを掴み、“チョンチョンコントロール”を身につけた後は、とりあえず“ゆっくり落ちていく”程度にまで上達し、左右の旋回もできるようになった。

photophoto 飛んでる、飛んでる

 それでもうまく飛ばせない機体には、チューニングを施す。たとえば、飛行機がすぐに急降下してしまう場合は尾翼の先端を少し上に曲げる。逆にふわふわして浮き上がり気味だったり、もう少し早く飛ばしたいときは尾翼を下に曲げるといいようだ。薄い尾翼を曲げるのは、かなりの勇気がいるが、エアロソアラマーケッターDr.氏田のいうことなので信じる。今のわれわれにとって、Dr.は神にも等しい存在だ。

photo ワイヤーはありません

 2時間に及ぶ練習とチューニングの結果、長いときは上空で2〜3周は旋回し、目的の場所に近いところへ着地させることができるようになった。ほんの数秒から十数秒のフライトに過ぎないが、会議室には歓喜の声が溢れた。外で誰かが聞いていたら、何か大きな経営課題が解決したとでも思ったかもしれない。

 ただ、展示会のデモンストレーションで見たような8の字旋回は未だできず、フル充電状態から電力が無くなるまで飛び続けることもできていない。予定では、A/Bチャンネルの2機を使い、飛行テクニックを競い合うはずだったのだが……。どうやら大人向けの玩具は、相応に敷居が高く出来ているらしい。

 残念ながら、われわれには時間が残されていなかった。会議室を予約していた時間が終わりに近づき、次の利用者たちが書類やノートパソコン片手にぼつぼつと現れ始めたからだ。見られる前に遊んでいた痕跡を消し、オフィスに戻らなければならない。ここままでは、われわれ自身が経営課題になってしまう。

 撤収。

「対象年齢15歳以上」の意味

 エアロソアラは、タカラトミーが「キッダルト」と呼ぶ大人向けの玩具商品だ。かつては高嶺の花だったラジコン飛行機を室内で手軽に楽しめる形にモディファイし、低価格で提供する。ただし、実際に飛行を体験した後、われわれはエアロソアラが「対象年齢15歳以上」になっている本当の理由が理解できた気がする。

 4機“大人買い”するのが大人ではない。はやる気持ちを抑え、ゆっくり的確に機体をリリースする心の余裕。墜落の恐怖と闘いつつ、微妙なラダー操作を行う自制心。そして壊れそうな尾翼にあえて折り目を付ける剛胆さと慎重さ。エアロソアラは、世間で「大人」と言われるようなキモチがないと遊べない玩具なのだ。

 それが理解できたとき、われわれは大人への第一歩を踏み出した。実年齢は既に対象年齢の倍以上であったが、そこにはあえて触れない。精神的に一皮むけ、新たなテクニックを身につけて、ワンルームの大空にエアロソアラを飛翔させるのだ。

 だから次は、上級テクニック「仕事の合間に(上司の目を盗んで)オフィスフライト」に挑戦してみようと思う。大人だし。

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