機能9――新ウィジェット“Web Clip”と開発ツール“Dashcode”
Spotlightと並び、Tigerで追加された目玉機能であるDashboardにも改良が加えられた。1つはDashboard上で動作する小さなアプリケーション「ウィジェット」の開発キットDashcodeの提供で、テンプレートやパーツのほか、JavaScriptをベースにした開発ツールキットなど、ウィジェットの開発をより容易にする支援ツールがまとめて提供される。
もう1つが新しいウィジェットとなるWeb Clipで、こちらはWebページの特定の領域のみを好きに切り出してDashboard上に貼り付けられる。切り出した領域はあくまでWebページの一部であり、元のページの情報がアップデートされると、Dashboard上のWeb Clipの内容もアップデートされる。用途はいろいろ考えられるが、1つは日々更新されるコラムやニュースヘッドラインを切り出して読んだり、WebカムをDashboard上に切り出して定点観測したりすることだ。アイデア次第では、ほかにもさまざまな用途が考えられるだろう。

Dashboardでの新機能DashcodeとWeb Clip(画面=左)。Dashcodeは、Dashboard用のウィジェット開発を容易にするテンプレート/パーツやJavaScript用のエディタ/デバッガなどの開発ツール群で構成される(画面=右)
Web Clip機能のデモ。Safari上のWebページを好きなサイズで切り抜いて、Dashboard上に貼り付けることができる(画面=左)。Web Clipの画面はあくまでWebページとして扱われ、元のページがアップデートされれば、それにあわせてDashboard上のクリップもDashboardを起動するたびにアップデートされる(画面=右)。ニュースヘッドラインやWebカムを使った定点観測などで有効な機能だ機能10――機能も遊びも充実の“iChat”
新機能の最後にデモされたのがiChatだ。iChat全体で言えば、複数のチャットウィンドウをタブ表示を使って1つにまとめるTabbed Chat機能のほか、仕事/プライベート用など複数のアカウントへの同時ログインといった部分で強化が図られている。特筆すべきはビデオチャット機能の強化で、カメラを使った“お遊び”が一層楽しめるものとなっている。とくにiMacやMacBookといった製品ではカメラ(iSight)が本体に標準で内蔵されており、iChatのビデオチャット機能を活用する機会も多い。
ビデオチャットの機能強化としては、Photo Booth Effect/iChat Theater/Backdropsの3つが挙げられる。Photo Booth Effectを使うことで、単にカメラに写った自分の姿をそのまま相手に送信するのではなく、ミラー効果やレンズ効果などのエフェクト処理を加えて流すなど、ちょっとした遊びが可能となった。またBackdropsを使うことで、自分のまわりの背景をくり抜き、写真や動画をインポーズ処理で合成することができる。Photo Booth Effectと同様に、「パリの街から中継中」といったお遊びが楽しめる。一方でiChat Theaterは、チャット相手とフォトアルバムやムービー、Keynoteのプレゼンテーションファイルといったデータをシェアしつつ、ビデオチャットを可能にする機能だ。用途としては、相手に写真を見せながら過去の旅行を回想したり、仕事で商談相手にプレゼンテーションファイルを見せながら説明を行ったりと、さまざまな場面が想像できる。


iChatもいくつかの部分で機能強化が行われている(写真=左)。複数アカウントへの同時ログインのほか(写真=中央)、チャットウィンドウを1つにまとめ、タブで相手を切り替えられる「Tabbed Chat」機能が追加された(写真=右)
ビジュアル面が大幅に強化されたビデオチャット(写真=左上)。Photo Boothによる数々のエフェクトをリアルタイムで送れるようになったほか(写真=右上)、フォトアルバムやKeynoteのプレゼンテーションなどを相手と共有しながらチャットを行うiChat Theater(写真=左下)、切り抜いた人物の背景にリアルタイムで写真やムービーをインポーズできるBackdrops(写真=右下)といったユニークな機能を搭載するLeopardのプレビュー版は、デベロッパー向けに即日配布が開始された。ジョブズ氏は「Leopardは来春リリース予定」とだけ述べ、キーノートを締めくくった。これが意味するのは、2007年1月にやはりサンフランシスコで開催されるMacWorldの時点ではまだLeopardがリリースされないということだ。MacWorldではいくつかの新製品発表が行われることになると思うが、そのタイミングで登場する製品に搭載されるのは現行のMac OS X“Tiger”である。
またLeopardの登場がWindows Vistaよりも後の時期になる可能性があり、具体的には2007年3〜5月ごろになると見られる。推測の域を出ないが、Boot Campや仮想化の部分でWindows Vista絡みの機能が実装されるため、発売時期をわざと春に設定したとも考えられる。買い控えを防ぐためにも、早い時期にLeopardをリリースしたほうがAppleにとってもメリットだと思われるからだ。Appleでは上記の10機能以外についてのLeopardに関するすべてのコメントを断っており、実際の発売までこのあたりの情報を確認する術はなさそうだ。
ちなみにLeopardは、Intel版MacとPowerPC版Macの両方のプラットフォームに対応する。米Appleワールドワイドソフトウェアプロダクトマーケティング担当シニアディレクターのブライアン・クロール(Brian Croll)氏によれば、Boot Camp以外のすべての機能で両プラットフォームをサポートしており、パフォーマンス以外での差異はない見込みだ。これでPowerPC版のMacユーザーも安心してLeopardを導入することができる。現在Appleでは、自社Webページ上でLeopardのアクティブデモを用意しており、もしこれら機能の動作を実際に見たければ、こちらのページを訪問してみるといいだろう。
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