デジカメ + 新型SELPHY = どこでもプリント――キヤノン「CP-730」(1/2 ページ)

» 2006年08月11日 10時21分 公開
[榊信康,ITmedia]

液晶モニターの大型化で操作性を改善

 キヤノンのコンパクトプリンタ「SELPHY」シリーズに「CP-730」が加わった。熱昇華型印刷方式を採用する同シリーズの最新モデルとして、より利便性を向上した新鋭機だ。

 本体を見てまず気が付くのは、液晶モニタのサイズが向上したこと。実際のサイズは2インチなので大きいと言ってしまうとやや語弊はあるが、コンパクトプリンタとしては頑張っているほうだ。先代のCP-710は液晶モニタのサイズが1.5インチ。ただでさえ狭い表示域に操作メニューまで入っており、サムネイルではどうにか内容の確認ができる程度だった。一方、CP-730のモニタは、サムネイルとメニューを混在する表示のほかに、サムネイルのみのフルスクリーン表示が行えるようになっている。以前は本体で画像のトリミングなどする気も起こらなかったことを思えば大きな進歩だ。

 このメニュー混在表示とフルスクリーン表示の切り替えは、液晶パネルの右側に用意されたDISPボタンで行う。どちらの表示でも、モードを維持したままコマが送れるので、印刷する画像の選別にも役に立つ。

 またトリミング専用ボタンも追加された。サムネイルのフルスクリーン表示時にTRIMボタンを押すと、直接トリミングモードへ移行する。ここで表示される枠を十字カーソルで移動し、中心点が決まったらDISPボタンで操作モードを切り替え、+−ボタンでサイズを、上下ボタンで縦位置/横位置を変更する。すべての操作が完了したら再度TRIMボタンを押せば、メニュー表示画面に戻る。

 このように操作系全般がより使いやすくなった。ただし、サムネイルのフルスクリーン表示は、元のサムネイルデータを引き伸ばして表示するだけだし、画像のズーム機能もないので、細部やフォーカスの確認にはやや辛いかもしれない。この辺りの機能を充実させるにはコストやサイズの増加が不可避なので、やむを得ないところなのだろう。

液晶モニタのサイズが2インチに大型化し、サムネイルの全画面表示も可能になった。また、DISP、TRIM、EFFECTの専用ボタンが新たに加わっている

色調補正機能を追加

 メニューには、MODE、LAYOUT、DATEの設定項目が用意されている。MODEは印刷モードと枚数指定を行う機能だ。表示しているコマを印刷する「シングル」、複数コマを指定して印刷する「セレクト」、全コマを印刷する「オール」、「DPOF」の4種類がある。LAYOUTはその名の通り、フチなし/フチありの選択や、ページあたりのコマ数(2/4/8)指定、インデックスなどのレイアウトを決定するときに使用する。DATEは日付の有無を指定するもので、有りの場合はM/D/Y、Y/M/D、D/M/Yから選択が可能だ。いずれも専用ボタンを備え、押下ごとに順次切り替わるようになっている。

 上記のメニュー項目はCP-710も搭載していたが、CP-730にはさらにマイカラーという新機能が加わった。マイカラーには、白黒(BW)、セピア(Se)、くっきりカラー(V)、すっきりカラー(N)の4種類があり、パネル右下のEFFECTボタンで切り替わる。もちろんエフェクトを使用しない(OFF)という選択も可能だ。この中で目を引くのは、くっきりカラーとすっきりカラーだろう。くっきりカラーはPIXUSシリーズでおなじみのVIVIDカラーだと考えてよい。このエフェクトを適用すると、コントラストを上げるためにかなりS字のきつい補正をかけるので、ハイライトやシャドーの諧調は削られる(その半面メリハリのある画像にはなる)。

 一方のすっきりカラーでは、無理に補正しない分インパクトには欠けるが、色彩が非常に落ち着いており、ハイライトからシャドーにかかる諧調も綺麗に描ける。OFFについては、くっきりとすっきりの中間に位置する印象だ。わずかにメリハリを与えているものの、破綻しない程度に抑えている。これまたPIXUSシリーズを例に出すと、プリンタドライバによる色補正を適用したような出力となる。大抵のデータはOFFだけで対応できるだろう(CP-710がそうだったのだから)。通常はOFFを使用して、ちょっと遊びたいような写真ではくっきりやすっきりを用いるとよい。

左からエフェクトオフ(画面=左)、くっきりカラー(画面=中央)、すっきりカラー(画面=右)で出力したサンプル。拡大画像は600dpiでスキャンした各サンプルの部分表示

 メニューからは外れるが、色補正についての話をもう少し。キヤノンによれば、CP-730からはSELPHYの色再現性を見直したという。スタンドアロンでの運用が前提となる製品なので、メリハリの調整は不可避だが、昇華型の特長である諧調性を引き出すような色設計にしたようだ。解像感もパキパキにするのではなく、より自然な調子になるように設定されている。露出補正のアルゴリズムも含んでいるようで、実際の試用ではある程度のオーバー/アンダーならば吸収して、見栄えを整えてくれるように感じた。

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