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» 2006年10月11日 11時11分 公開

北京と上海の科学館で中華ロボットに会う山谷剛史の「アジアン・アイティー」(1/2 ページ)

広い中国には各省に科学技術館がある。その中でも北京と上海のそれは中国最大級の規模。中華ロボットも展示されていうが、それってひょっとしてあれ?

[山谷剛史,ITmedia]

北京と上海の科学技術館に行ってみた

 2008年にオリンピックが開催される北京にある「中国科技館」と、2010年に万博が行われる上海にある「上海科技館」に行ってみた。

 中国科学技術館は、オリンピックが行われる北京市内北部の「オリンピック公園」の近くに位置する。その名称が“北京”科学技術館でなく“中国”科学技術館と国の名を冠することからも分かるように、この国の「キングオブ」科学技術館だ。開業は1988年で中国の同種施設の中では老舗になる。

 一方の上海科技館は上海の代名詞でもある丸いボールが特徴の塔「東方明珠塔」や超高層ビルが並ぶ上海の新開発地域の浦東新区に位置する。観光で訪れるなら地下鉄2号線に乗ればいい。ちょうど「上海科技館駅」の真上になる。建物は開発中の新しいエリアに建てられただけあって非常に大きく、未来的な外観が特徴的だ。

 入場料は中国科技館が30元(約450円)、上海科技館が60元(約900円)。上海科技館でいえばチャーハン10杯以上の価格と、経済力のある人だけを入場させているかのようなセレブな価格だ。しかし、いずれも入場者は多い。入場者の風貌からしても中国の経済格差が生んだ「富の階層」の人々が来場しているようだ。

 

 この「中国が誇る」科技館の両雄ではどんなものが出展されているのだろうか。

北京にある中国科学技術館
こちらは上海科学技術館

SONY狗

 ここでいう“狗”とは文字通り“犬”のこと。ソニー犬、つまりは2006年に惜しまれつつ製造を中止したAIBOが上海科技館で活躍している。上海科技館で観客に愛嬌をふりまくのは2001年に販売された廉価なAIBO「ERS310」シリーズだ。中国では、実用的な産業用ロボットこそ出荷するまでにこぎついているが、イマドキ流行のエンターテイメントロボットはこれからという状況だ。AIBOは中国各地のソニーショップで販売されているため、AIBOは中国で手に入れることができる最高峰のエンターテイメントロボットなのだ。

 上海科技館では毎日決まった時間にAIBOが放たれる。このときAIBOの専用ステージは沢山の観客でごった返す。AIBOは中国の限定された場所でしか販売されておらず、筆者の記憶する限りではCMなどメディアでも登場することはなかった。多くの観客にとって“未知との遭遇”に近い。

 ちなみに中国科技館ではAIBOにインスパイヤされたような中国広東省産のロボット犬が展示されている。このロボット犬も1日に何回かパフォーマンスを行っている。

中国で人気の“SONY狗”ショー
こちらはAIBOにインスパイアされた中国の狗ロボ

偽金の見分け方をなぜここで展示する

 中国科技館では、偽のお金を展示している。高額紙幣の100元(約1500円)札、50元(約750円)札から、果ては1元(約15円)札や1元コインまで、あらゆる偽札、偽コインが展示されている。なぜ科学館で偽金を展示するのか?

 日本では偽札が出回るのが確認されるとすぐ報道されるが、中国では偽札が日常茶飯事的に出回っているという背景がこの展示の背景にはある。かくいう筆者も何回か偽コインをつかまされたことがあるし、筆者の馴染みの日本料理屋の日本人店主は偽100元札で何度も苦い思いをさせられていると聞く。中国の店先で高額紙幣を手渡せば店員が念入りに偽札かどうかをチェックする姿を見ることができるだろう。そんな状況では、どんな商人であれ、中国で現金を扱うならば、偽金の見分け方を知ることが必須となる。

 中国全土の大都市から地方の小さな集落まで、銀行の店頭では偽札注意をうたったポスターが貼られている。そのポスターでも、単なる注意喚起に留まらず各紙幣の偽札の見分け方が細かく書かれている。とはいえ、銀行各支店毎にポスターで貼っていても、押収した偽札や偽コイン自身は展示されることは難しい。そんなわけでここでは偽札の現物を展示しているのである。

浸透する偽札の見分け方を展示
偽札コーナーで流通する偽コインも展示

栄光の有人宇宙船「神舟」と“中華”宇宙食

 中国科技館には中国初の有人ロケットである神舟5号の搭乗カプセルの実物が展示されている。ガラスケースの中にあるカプセルは、とにかくコンパクトな印象を受ける。カプセルは土色をしているが、一部が銀色の金属色となっていて、また本体の一部がヒビっぽいものが入っているなど“年季”を感じさせる。正面からは丸い窓が確認できる。

 実物が展示されているその横では、神舟5号の発射から着陸、そして帰還後のパレードにいたる写真が展示されている。そのうちの1枚には毛利衛氏を含む中国国外の宇宙飛行士がサインを書かれていた。

 上海科技館には中国で2度目の有人ロケットとなる神舟6号の先端部の実物の展示があるはずだったのだが、展示スペースはあれど、肝心の展示物がない。別の機会に行けばあるかもしれない。

 神舟5号は2003年10月に、神舟6号は2005年10月に打ち上げられそれぞれ成功した。発射と着陸後のシーンは比較的有名だが、実は着陸の仕方が不恰好だったということが中国人の中ではよく言われている。神舟5号打ち上げ成功後、搭乗者の楊利偉氏は中国のヒーローになった。多数のCMでその雄姿を見ることができる。

 そういう有人ロケットの実績のある中国では、もはや中国人宇宙飛行士の口にあう宇宙食が必須。上海科技館ではそんな中華仕様の宇宙食がガラスケースの中に展示されている。各宇宙食はおそらく1食分であるためか、それぞれが小さなパッケージとなっている。これらパッケージがガラスケースの手前から奥までいくつも展示されているため、手前のものしか確認できない。目視で確認できるものではチャーシュー、月餅(しかも数種類!)、鴨の内臓料理、野菜炒め、中華風漬物など中国らしい宇宙食のほか、ビスケットや干しりんごなど万国共通のメニューが確認できる。ちなみにそのお味はいかほどなのか。神舟5号帰還後中国メディアに質問された楊利偉氏は「おふくろの味に比べたら劣るよ」とコメントしている。

 上海科技館にはお土産屋や食堂があるが、そこでは宇宙食は販売されていない。残念。

入口入ってすぐのところに中華ロケット「神舟5号」の実物が
中国の宇宙食。チャーシューや月餅もある

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