AW9D-MAXに付いてきた「あれ」を使ってみるイマドキのイタモノ

» 2006年11月02日 08時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 日本では「思いっきりメジャー」ではないものの、abitのマザーボードはオーバークロック機能「μGuru」や別基板になったサウンドモジュール「AudioMAX」、基板に多数用意された装飾用LEDなどなど、そのユニークな性能はとくに「ギチギチにチューンナップ」するオーバークロックユーザーや日本ではまだまだ少数ながらLANパーティーイベントに集って「オレ様のパワフルなPCを見ろっ」とアピールするゲームユーザーに熱く支持されているマザーボードベンダーだ。

これが噂のIntel 975Xマザー「AW9D-MAX」だ。ノースとサウスから伸びる2本のヒートシンクが異彩を放つが、カラーリングはシンプルだ

 abitのIntel 975X搭載マザーに「AW9D-MAX」がある。9月中旬から日本で姿を見せ始めたこのハイエンドマザーボードはITmedia Shoppinngの価格情報を見ても分かるように、主要なパーツショップで(潤沢とはいえないまでも)取り扱っている。実売価格はほぼ3万円前後と、イマドキのマザーボードとしては安くないが、Intel 975Xを搭載したハイエンドマザーであることと、先ほど述べたような多種多様な機能を実装していることを考えると「価格に見合った遊べるマザー」といえる。

 その「遊べる機能」の最たるものがオーバークロック機能「μGuru」で、BIOSの「μGuru Utility」にある「OC Guru」でCPUのベースクロックからメモリクロック、PCI-Expressバスの動作クロック、CPU、メモリスロット、チップセットそれぞれ個別の電圧設定が行える。また、同じ項目にある「ABIT EQ」ではハードウェアモニタリング設定と基板に用意されたLEDのイルミネーションモードが指定できる。

 AW9D-MAXには基板に専用のインタフェース「GURU1」のピンヘッダが用意されているので、abitが以前から出荷しているμGuru用インタフェースパネル「μGuru Panel」「μGuru Clock」を接続してこれらの機能で取得される各種ステータスの表示や設定にも対応している。また、セットアップCDに収録されているユーティリティソフトを導入すればWindows上からこれらの設定が行えてしまう。このあたりがabitマザーがオーバークロックを至上の楽しみとするユーザーに重宝される理由である。

ハードウェアの状態監視とオーバークロックチューニングの機能を持ったユーティリティ「ABIT uGuru」は従来BIOSから行っていた設定をWindows上からできるようにした

 LGA775を搭載してCore2 DuoをはじめとするCoreマイクロアーキテクチャCPUに対応したIntel 975X搭載のAW9D-MAXはabitのインテルプラットフォームマザーでは最上位の製品となる。サウスブリッジはICH7Rを組み合わせており、ノースブリッジとサウスブリッジの冷却はabitマザーの特徴である「Silent OTES Technology」によって行われている。これは、ノース、サウスそれぞれのチップとレギュレータにヒートパイプで接続したヒートシンクを載せ、チップセットの熱をレギュレータヒートシンクに誘導して排出する仕掛けになっている。最初に登場したOTES Technologyではレギュレータヒートシンクにファンを組み込んで誘導された熱を強制的に排出していたが、Silent OTES Technologyではファンをなくして、CPUクーラーユニットで発生する気流で熱を排出する。

 ICH7Rはそれ自体で4ポートのSerial ATAにIntel HD Audio、Intel Matrix Storage Technologyをサポートするが、これ以外にAW9D-MAXではIEEE 1394コントローラ(TI製)、Serial ATA RAIDコントローラ(SiliconImage製))、ギガビットLANコントローラ(Realtek製)をオンボードで用意している。そのため、インタフェースもSerial ATAが計7ポート、ギガビットLANインタフェースが2つ、IEEE 1394用ヘッダピンも2つ実装している。これ以外にIDEコネクタとeSATAコネクタを1つずつ持つ。

 拡張スロットはIntel 975Xがサポートする2つのPCI-Express X8スロット(うち1つはPCI-Express X16として動作可能)と2つのPCI-Express X1スロット、1つのPCIスロットがある。Intel 975XはATI TechnologiesのマルチGPU「CrossFire」が利用できるが、AW9D-MAXもそのマニュアルでCrossFire Editionの導入について解説している。

 このように、インタフェース満載のAW9D-MAXだけあって、製品パッケージの構成も充実している。もともとパッケージのサイズも大きいのだが(そして、そのデザインも相当にインパクトがあるのだが)、その中に7本のSerial ATAケーブルやUSB 2.0、IEEE 1394インタフェース、AudioMAXの基板などがぎゅうぎゅうと詰まっている。

これがみんな気になる「abit Dual Graphic Link」

 その「同梱物」の1つに、Intel 975Xマザーでは見たことがない、しかし、PCゲームユーザーならよく見かけるブリッジコネクタが入っている。「abit Dual Graphic Link」とラベルが貼られたそれは「NVIDIA SLI」に対応するマザーボードでよく見かける“あれ”によく似た形状をしている。両端に「6、7、7、6」と4段に並んだ配線もそっくりだ。

 Intel 975Xマザーに関係なさそうなこのコネクタがAW9D-MAXに同梱されていると知って「うっしっし」となったユーザーもいた、と聞いている。彼らにとってなにが「うっしっし」だったのか。AW9D-MAXがパーツショップの店頭に並んだころと前後して来日したabitの関係者と「雑談」したことがあった。

「AW9D-MAXの“正体不明なコネクタ”が日本では評判になっていますよ」

「そうですね。はっはっは」

「あれは、なにに使えましたか」

「そうですね。はっはっは」

「あれは、うまく使えましたか」

「そうですね。はっはっは」

よせばいいのにやってしまいました

 その後、帰国した彼から「検証作業で使った」という非公式のドライバが送られてきた。多忙な合間を見つけてせっかく送ってくれたのだから、それで遊んでみるのが礼儀というものだろう。

 AW9D-MAXにCore2 Extreme X6800とPC2-6400 DDR2 SDRAMを1Gバイト×2を載せ、PCI-Express X16スロットには「GeForce 7900 GTX」を1枚組み込んだ。この状態で、ベンチマーク「3DMark御三家」「DOOM 3」「Quake 4」「F.E.A.R.」を「1600×1200ドット、4xAA、8xAniso」の条件(3Dmark06だけは、non AA、Trilinearに設定してる)で測定してみたのが以下の結果だ。

3DMark06 3DMark
3DMark05 3DMark
3DMark03 3DMark

DOOM 3
QUAKE 4
F.E.A.R.

 ForceWareは最新の「91.47」を適用している。さて、ここから空いているPCI-Express X8スロットに「GeForce 7900 GTXを1枚追加」して、同じベンチマークを取った。

3DMark06 3DMark
3DMark05 3DMark
3DMark03 3DMark

DOOM 3
QUAKE 4
F.E.A.R.

 ほとんど同じか、モノによっては単体構成を2枚差しの結果を下回っている。ここまでが「公式」のAW9D-MAXとGeForce 7900 GTXの2枚差しで出しうるパフォーマンスだ。ここで「多忙ななか、送ってもらったドライバ」を導入してみた。このドライバの正体は「ユーザーの手で変更が加えられた」一品で、同じものが、この夏あたりからネット上で出回っていた「らしい」。Intel 975XマザーでもGeForceの2枚差しが動いた、という報告もぽつぽつあるようだが、なんといっても非公式なブツであるから、「自己責任」というリスクを背負ってユーザーはこのユーザーカスタマイズのドライバを使うことになる。ただ、Intel 975Xマザーには2枚のGeForceグラフィックスカードを繋げるコネクタがついてこないのが普通であるから、AW9D-MAXが登場したとき、このあたりの事情を知るツウなユーザーが「うっしっし」となったわけだ。

 この、非公式なドライバを使って先ほどのベンチマークを行った結果が以下になる。

3DMark06 3DMark
3DMark05 3DMark
3DMark03 3DMark

DOOM 3
QUAKE 4
F.E.A.R.

 参考までに、「DOOM 3」「Quake 4」「F.E.A.R.」については、同じCPUとメモリを載せてnForce 490 SLI Intel Editonで測定した結果も並べてみた。数値だけを見るならばAW9D-MAXに差した2枚のGeForce 7900 GTXのパフォーマンスはnForce 4 SLI Intel Editionに構築したGeForce 7900 GTXのNVIDIA SLI構成にほぼ匹敵する。

 ただ、これはあくまでも非公式なドライバを使った結果であることは十分理解したいただきたい。ちなみに、abitのWebサイトで今回の作業で使った非公式ドライバを入手することはできない。ドライバの入手からその結果にいたるまですべてユーザーの「OWN RISK」であることを最後に強調しておきたい。

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