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無線LANを2倍に高速化、しかも簡単に――NEC「AtermWR8200N」レビュー(1/3 ページ)

» 2006年11月21日 17時35分 公開
[小山安博,ITmedia]

 NECアクセステクニカから、次世代無線LAN規格「IEEE802.11n」に対応した無線LANルータ「AtermWR8200N」が登場した。理論値で最大130Mbpsという高速無線LANの実力をチェックしてみよう。

photo IEEE802.11nのドラフトに準拠した高速無線LANルータ「AtermWR8200N」と対応カード「AtremWL130NC」

無線で100Mbpsオーバーの衝撃

 IEEE802.11nは、国際標準化策定中の無線LAN規格。同じ2.4GHz帯の電波を利用しながらも、広く利用されているIEEE802.11gが理論値で最大54Mbpsのところを、一気に倍の100Mbpsオーバーに高速化する規格だ。

 データを運ぶサブキャリア(搬送波)数を増やすほか、複数のアンテナ/送受信機を組み合わせてデータ送受信の帯域を広げる無線通信技術「MIMO」(Multiple Input Multiple Output)が導入されているのが特徴。

 2006年11月現在でも正式な規格策定完了しておらず、ドラフトの段階(正式な規格策定は2007年になると見込まれている)。しかし、すでにいくつか「ドラフト対応」と銘打ったIEEE802.11n製品が登場してはじめており、早々に高速無線LANが体験できる環境がそろい始めた。

 NECの「AtermWR8200N」は、同社初のIEEE802.11n対応無線LANルータ。規格としてはIEEE802.11nドラフト1.0に準拠しており、130Mbps(理論値)という高速なスループットを実現するほか、IEEE802.11b/gとの互換性も保たれている。

 送信アンテナ・受信アンテナともに3本構成で、2ストリームを受信する(2ストリーム3×3)。ストリーム数よりも多いアンテナによって、より安定し、障害物にも強く、より遠くまで電波の届く無線通信を実現したとしている。

 ところで、最近のノートPCはほぼ100%無線LANが内蔵されている。しかし、さすがにまだIEEE802.11n対応製品という非常に少数で、筆者の知る限りでは11月に発売された新しいMacBook Pro/MacBookがこっそりと対応チップ「Atheros AR5008」を搭載している程度。

 そういった現状のため、「IEEE802.11n対応」をうたう製品はほぼルータとカードのセットが用意されている。今回用意したAtremはもとより、コレガの「CG-WLBARGE」、バッファローの「AirStation NFINITI」といった製品はルータと対応カードをセットで用意しており、組み合わせることで高速通信を体感できる製品として市場へ投入されている。

無線も一発、簡単設定

 AtermWR8200N(以下 WR8200N)は、ホワイトの筐体に用意された可倒式の3本のアンテナが特徴的。本体サイズはやや大柄で、38(幅)×195(奥行き)×174(高さ)ミリ。付属スタンドを利用すれば壁掛けも可能だ。

photo 本体に立つ3つのアンテナで高速で安定したデータ受信を可能にしている。アンテナは可倒式で向きも変えられる

 背面にはWANポート×1、LANポート×4を装備。残念なことにいずれも10Base-T/100Base-TXのみで、ギガビットをサポートしない。無線部は2.4GHz帯を使う802.11b/g/nに対応し、802.11nを利用しない場合でも、802.11b/gルータとして使える。

photo 本体背面。LANポートの数は一般的だが、ギガビット未対応な点が痛い。ギガビットイーサネットは最近のPCには結構搭載されており、ギガビット対応であれば有線LAN環境をさらに高速化できたのだが

 無線LANのセキュリティ機能としてはSSID、64/128/152bitのWEP、WPA-PSK(TKIP/AES)をサポートする。ルータとしては一般的で、ルーティングやNAT、パケットフィルタリング、不正アクセス検出機能、DMZ対応など、通常の用途ではまったく不満のない機能を備えている。

 ルータを初めて使うとき、結構、設定は面倒なものだ。特に無線LANを使うとなるとそのセキュリティにも気を遣わなければならず、意外に手間がかかる。WR8200Nでは、本体前面に「らくらくスタートボタン」を用意。最初に使う際、ISPなどから提供されたブロードバンドモデムとWANポートをLANケーブルでつなぎ、らくらくスタートボタンを押しながら電源を入れるだけ。

photo 本体前面の「らくらくスタートボタン」。初めてWR8200Nを使うときだけでなく、無線LANの設定でも活躍する

 するとWR8200N自身が「PPPoEルータモード」「ローカルルータモード」「アクセスポイントモード」から適切な動作モードを自動で判別してくれる。NTT東西のフレッツを使っている場合などはPPPoEのIDとパスワードを入力する必要があるが、専用画面でそれを入力するだけ。ローカルルータモードの場合はその作業も不要なため、起動後に各マシンのLANケーブルをつなぐだけでネットワークに接続できる簡単設計だ。

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