第2回 今シーズン注目の複合機8モデルをチェック：複合機06年モデル徹底攻略ガイド（3/3 ページ）
予算3万円／ミドルレンジクラスの複合機を狙う
Colorio PM-A820（エプソン） 実売価格2万8000円前後
Colorio PM-A820は、エプソンの染料インク搭載機ではエントリーモデルに位置づけられる。昨年モデルPM-A750の後継となるが、大きくスペックアップしているのが目立つ。PM-A750は染料4色でCD/DVDレーベル印刷に対応しなかったが、PM-A820は染料6色になってCD/DVDレーベル印刷機能（コピー対応）も備えた。スキャナ部は光学1200dpiのCISセンサを搭載する。フィルムスキャン機能は省かれたが、PM-A750のイメージセンサはCISでフィルムスキャンの画質がいまひとつだったため、この仕様変更は妥当だろう。フィルムスキャンが必要ならPM-A920などの上位モデルを選ぶか、単独のフィルム対応スキャナを追加することになる。
今年の上位モデルと比べて見劣りするのは、給紙が背面の1系統、フィルムスキャン非対応、液晶モニタのサイズ、光学ドライブ非搭載といった付加価値の部分だ。基本的にプリントエンジンが上位モデルとほぼ同じなのがポイントで、印刷速度では負けるが、写真画質はPM-A970やPM-A920と大差ない。操作パネルのボタン類や液晶メニューも、上位モデルとほとんど同じだ。
PM-A820の魅力は、手書き合成シートや焼き増し風プリントなど上位機譲りのバリエーション豊かなコピー機能、写真印刷の画質、CD/DVDレーベル印刷など、いわゆるファンプリント系に重きを置きつつ、ミドルレンジの価格帯に収めたことだろう。ボディの質感をもう少し高めてほしい気はするが、エプソン複合機ではもっともコストパフォーマンスが高い。2006年11月中旬の時点では、エプソンの新モデルで一番の売れ筋となっている。
PIXUS MP600（キヤノン） 実売価格2万8000円前後
PIXUS MP600は、10月発売直後のスタートダッシュに成功したキヤノンの売れ筋モデルだ。ノズル数と液晶モニタのサイズ、イメージセンサが光学2400dpiのCISでフィルムスキャンに非対応、CD/DVDレーベル印刷の手書きナビシートに非対応といった点を除いて、上位モデルのMP810に匹敵するスペックを備える。複合機として基本的な性能や機能はMP810とほとんど変わらず、それでいて9000円ほど安いのだから、人気が高いのもうなずける。
※記事初出時、イメージセンサの光学解像度を1200dpiと記載していましたが、正しくは2400dpiになります。お詫びして訂正させていただきます。
機能面では、やはり自動両面印刷、2Way給紙が可能なマルチペーパーハンドリングと、新ユーザーインタフェースのEasy-Scroll Wheelが使いやすい。ボックス型の本体がコンパクトな点も好印象だ。液晶モニタや背面の給紙フィーダを折り畳むと、本体の起伏がほとんどなくなるため、スマートに設置できる。
インクは染料4色＋顔料Bkの構成で、写真画質の精細さはMP810と肩を並べる。かなり目を凝らしてみなければ、最上位で染料6色印刷を行うMP960とも区別が付かない。ダイレクト印刷の場合、画像によっては高コントラストで色が濃く出る重厚な雰囲気になるので、デフォルトで有効のオートフォトモードを無効にした出力も確認してみるとよい。
昨年のミドルレンジだったMP500の後継機MP510はミドルローに下がり、最大のボリュームゾーンに投入された戦略モデルだけあって、その完成度は高い。フィルムスキャンが不要という条件はあるが、広くおすすめできる1台だ。
HP Photosmart C5180 All-in-One（日本HP） 実売価格2万5000円前後
HP Photosmart C5180 All-in-Oneは量販店限定のリテールモデルとなり、ミドルレンジながら染料6色のSPTプリントエンジンを搭載する。よって、画質や速度といった印刷性能は、最上位のC7180と同等と思ってよい。インクの最小ドロップが5ピコリットルなので、粒状性が見えやすい場面もあるが、発色が安定していてバランスも取れている。スキャナ部は光学2400dpiのCISセンサで、上位モデルよりワンランク下に設定されている。
機能面で省かれているのは、フィルムスキャン、自動両面印刷、無線LANインタフェース、FAXなどだ。有線LANインタフェースは装備しているので、市販のイーサネットコンバータで無線化するのもよいだろう。ただし、ダイレクト印刷はメモリカードスロットのみのサポートで、PictBridgeやiPod接続に対応しない点は覚えておきたい。液晶モニタもやや小型の2.4インチだが、特に不都合はない。C7180と同様、液晶メニューとスキャナドライバには慣れが必要だ。
昨年のラインアップだと、この価格帯では抜群のコストパフォーマンスを誇るHP Photosmart 3210が存在した（店頭在庫のみ併売中）。C5180は、3210と比べてスキャン解像度などのスペックダウンが見られるが、本体の小型化やホワイト基調のスマートなデザインは日本市場でも受けそうだ。メモリカードのダイレクト印刷とPCからの印刷、コピーがおもな用途というユーザーに、コンパクトな複合機としておすすめできる。
次回は、ここで紹介した8台の複合機について、機能と使い勝手をチェックする。
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第1回 複合機の強化ポイントと最新ラインアップをチェックする
今回から5回に分けて、エプソン、キヤノン、日本HPの複合機最新モデルを検証し、その実力を明らかにしていく。まずは、今年の強化ポイントと製品ラインアップを見ていこう。
「お店にプリントをお願い」したい人の誤解を解くための新機能──エプソンのインクジェットプリンタ発表会
セイコーエプソンは9月26日にインクジェットプリンタの新製品を発表。同日製品説明会を行い同社のインクジェットプリンタ事業の現状と年末商戦に向けた戦略を明らかにした。
新型エンジンと新インクを搭載し勝負をかけるエプソン──複合機は全5モデル
セイコーエプソンが年末商戦に向けて「Colorio」シリーズの新製品8モデルを投入した。内訳は複合機が5モデル、単機能／ダイレクトプリンタが3モデルという構成だ。発売は10月5日から順次行われる。
写真の楽しみは「プリント」にあり──キヤノンのインクジェットプリンタ発表会
キヤノンは9月26日にインクジェットプリンタの新製品を発表。同日製品説明会を行った。PIXUSに投入された新技術のほかに「デジタルフォトの転換期」における事業展開が紹介された。
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キヤノンがインクジェットプリンタ「PIXUS」の新ラインアップを発表。内訳は複合機5モデル、A4単機能が4モデル、小型フォトプリンタ2モデルという構成だ。発売は全モデル10月上旬予定。
「ダイレクト販売」を推進する──日本HPのインクジェットプリンタ発表会
日本ヒューレット・パッカードは10月3日に新製品発表会を開催。インクジェットプリンタ事業の現状と新製品の特徴、年末商戦に向けての販促戦略を明らかにした。
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日本ヒューレット・パッカードがインクジェットプリンタの「Photosmart」シリーズのラインアップを一新した。販売は10月3日から順次行われる。
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