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» 2006年11月29日 17時30分 公開

複合機06年モデル徹底攻略ガイド:第3回 複合機8モデルの各種機能を徹底的に比較する (1/4)

5回に分けて家庭向けの最新複合機を検証する本特集。第3回は、エプソン、キヤノン、日本HPの注目モデル8台を集め、各種機能を横並びで比較した。

[林利明(リアクション),ITmedia]

 前回は、エプソン、キヤノン、日本HPが今秋に投入した複合機の注目モデル8台を、予算5万円/ハイエンドクラス、予算4万円/ミドルハイクラス、予算3万円/ミドルレンジクラスの3つに分けて紹介した。ピックアップしたモデルは、以下の通りだ。

本特集で検証する複合機
予算5万円/ハイエンドクラス
Colorio PM-A970 エプソン 5万円前後
PIXUS MP960 キヤノン 4万5000円前後
予算4万円/ミドルハイクラス
Colorio PM-A920 エプソン 3万8000円前後
PIXUS MP810 キヤノン 3万7000円前後
HP Photosmart C7180 All-in-One 日本HP 3万5000円前後
予算3万円/ミドルレンジクラス
Colorio PM-A820 エプソン 2万8000円前後
PIXUS MP600 キヤノン 2万8000円前後
HP Photosmart C5180 All-in-One 日本HP 2万5000円前後

 今回は、これら8モデルの機能や省スペース性を比較していこう。各メーカーともユーザーインタフェースの共通化が進んだことで、操作パネルのボタン類や液晶パネルのメニュー構成は違いが少なくなっている。それ以外も同一メーカーの各モデルで共通点が多いため、細かい差異がある場合は、そこを重点的に紹介したい。また、プリンタドライバとスキャナドライバ、マークシートでダイレクト印刷を行うインデックスシートについてはメーカー別に述べる。これらの要素は、メーカーが同じならモデルによる違いはほとんどないからだ。

インクカートリッジとプリントエンジン

 インクはいずれも独立式カートリッジを採用しており、なくなった色のインクだけ買い換えればよいため経済的だ。6色染料インクを採用するエプソンと日本HPに対して、キヤノンは文字印刷の黒色の品質にこだわり、顔料ブラックを用意している。その代わり、MP960以外は染料4色構成になっており、シアンとマゼンタの薄いフォトインクは使用しないのだが、インクドロップサイズの打ち分けや最小インクドロップを1ピコリットルと小さくすることで、写真画質も高品位に保つ。インクカートリッジの数が少なければ、買い換えや買い足しが楽という利点もある。エプソンは上位モデルから下位モデルまで同じ6色染料インクを用いて写真画質に注力している格好だ。実際の印刷速度や画質の違いは次回以降で紹介する。

 昨今では、各社とも印刷した写真が色あせないように耐候性も重視してきた。特にエプソンは、染料インクながらアルバム保存で200年(耐光性50年、耐オゾン性25年)をうたっている。キヤノンはアルバム保存で100年(耐光性30年、耐ガス性10年)という。日本HPは、2つの写真用紙で耐光性が異なり、推奨のアドバンスフォト用紙では約50年、プレミアムプラスフォト用紙は耐100年以上としている。

PM-A970:耐候性が強化されたPM-Gインク(つよインク200)を使用。染料6色の構成で、ブラック/シアン/ライトシアンは前面左下、マゼンタ/ライトマゼンタ/イエローは前面右下から装着する。前面からインクを装着できるため、換装は容易だ
MP960:装着ミスやインク切れを確認できる赤色LED搭載のインクカートリッジを使用。BCI-7e系の染料6色と、顔料BkのBCI-9BKで構成される。インク構成、ノズル数などは、昨年のMP950と同じだ。1ピコ/5ピコリットルのインクドロップで印刷する

PM-A920:PM-A970と同様、染料6色のPM-Gインクを使用。耐候性を向上した、つよインク200だ。カートリッジの装着と交換は前面から行えるPM-A970と異なり、本体の上部を持ち上げて内部にアクセスする一般的なスタイルを採用する
MP810:インク構成は、BCI-7e系の染料4色と顔料BkのBCI-9BKを用いる。今年の新モデルで唯一、シアンとマゼンタを1ピコ/2ピコ/5ピコリットルのインクドロップで印刷。2ピコリットルの追加により、シアンとマゼンタのノズル数が増えた
C7180:独立カートリッジの染料6色で、ブラックのみ大容量となっている。交換も簡単で、ヘッドメンテナンスで消費したインクの循環リサイクルや、ヘッド側のタンクに用紙1枚分のインクと常に蓄えているのがポイントだ

PM-A820:独立カートリッジの染料6色、PM-Gインク(つよインク200)を採用。プリントエンジン全体を見ても、上位モデルのPM-A920と同等で、写真画質にこだわりが感じられる。最小1.5ピコリットルのAdvanced-MSDTで印刷
MP600:インク構成はMP810とまったく同一。染料4色で赤色LED付きのBCI-7e系と、顔料BkのBCI-9BKという全5色だ。インクドロップは1ピコリットル/5ピコリットルの2サイズ。シアンとマゼンタのノズル数がMP810より少ない
C5180:SPTプリントエンジンは染料6色の独立カートリッジで、交換も簡単。インク容量が少なそうに見えるが、実際はかなり長持ちする印象。インク経路の気泡除去とインクリサイクルが必要に応じて自動実行される

インクカートリッジとプリントエンジン
モデル名 PM-A970 MP960 PM-A920 MP810
印刷最高解像度 5760×1440dpi 9600×2400dpi 5760×1440dpi 9600×2400dpi
インク構成 染料6色(C LC M LM Y Bk) 染料6色(C PC M PM Y Bk)+顔料1色(Bk) 染料6色(C LC M LM Y Bk) 染料4色(C M Y Bk)+顔料1色(Bk)
総ノズル数 1080ノズル 3584ノズル 540ノズル 4608ノズル
最小ドロップサイズ 1.5ピコ 1ピコ 1.5ピコ 1ピコ
L判1枚最速印刷(公称値) 19秒 29秒 23秒 18秒
L判写真1枚コスト 19,6円 23.2円 21.2円 16.3円
保存性 アルバム保存200年 アルバム保存100年 アルバム保存200年 アルバム保存100年
モデル名 C7180 PM-A820 MP600 C5180
印刷最高解像度 4800×1200dpi 5760×1440dpi 9600×2400dpi 4800×1200dpi
インク構成 染料6色(C LC M LM Y Bk) 染料6色(C LC M LM Y Bk) 染料4色(C M Y Bk)+顔料1色(Bk) 染料6色(C LC M LM Y Bk)
ノズル数 3900ノズル 540ノズル 3584ノズル 3900ノズル
最小ドロップサイズ 5ピコ 1.5ピコ 1ピコ 5ピコ
L判1枚最速印刷(公称値) 11秒 25秒 24秒 11秒
L判写真1枚コスト 19.5円 21.4円 17.5円 19.5円
保存性 耐光性50年※ アルバム保存200年 アルバム保存100年 耐光性50年※
※アドバンスフォト用紙の場合、プレミアムプラスフォト用紙は100年以上の耐光性をうたう

給紙/排紙トレイの構成

 使用してみて意外に重要だと感じるのが、給紙/排紙トレイの仕様だ。給紙部が2系統あれば、コピー用のA4普通紙と写真印刷用のL判用紙などを別々にセットできるため、使い勝手がよい。ただし、機種によっては各給紙トレイにセットできる用紙種別やサイズが限られるため注意が必要だ。たとえば、キヤノンの3モデルは2系統の給紙トレイにさまざまな用紙をセットできるが、エプソンのPM-A970や日本HPのモデルでは制限される。また、低価格帯のPM-A820は前面の給紙トレイを採用せず、1系統のみの給紙としている。用紙を効率的に使える自動両面印刷ユニットは、キヤノンの3モデルとC7180が標準で装備するほか、PM-A920はオプションで対応する。

 給紙容量も重要だ。給紙容量が多ければ、大量の書類や写真、年賀状印刷時に用紙を補給する回数が減る。給紙容量は、日本HPの2製品がやや少なめだが、2系統の給紙トレイをいずれも前面に配置しているため、用紙交換のハンドリングは良好だ。また、日本HPの2モデルは用紙種別と用紙サイズの自動検知センサを搭載しており、セットした用紙に応じて自動的に印刷設定をしてくれる点は他社にないメリットと言える。

PM-A970:前面トレイと背面トレイのダブル給紙を採用。前面トレイはA4普通紙専用となり、縦方向の用紙ガイドがないので少々給紙しにくい。給紙場所は液晶モニタのメニューやドライバ設定で使い分ける
MP960:前面カセットと背面トレイの2Way給紙を装備。どちらの給紙場所もA4、L判、はがきなど幅広い種類の用紙をセットできるのがポイントだ。給紙場所は本体のボタンかプリンタドライバで使い分ける

PM-A920:前面カセットと背面トレイのダブル給紙を搭載している。エプソンの家庭用複合機の中で、前面給紙がカセット型で自動両面印刷ユニット(オプション)に対応するのはPM-A920だけだ
MP810:前面カセットと背面トレイの2Way給紙は、MP960やMP600と同等だ。両方の給紙場所に幅広い用紙をセットでき、前面カセットにA4用紙を入れても本体前面に突き出さないのがありがたい
C7180:給排紙は前面から行える。上から順に排紙トレイ、フォト給紙トレイ、メイン給紙トレイという3段構造だ。フォト給紙トレイはL版サイズとハガキ用で、給紙容量が最大20枚と少ない

PM-A820:給紙は背面トレイの1系統だけで、給排紙の経路はスタンダードなストレートパスを採用する。他機種に比べて給紙トレイが少ない点は不満だが、給紙容量は約150枚と問題ない
MP600:前面カセットと背面トレイの2Way給紙を搭載する。仕様や使い勝手はMP960やMP810と同等だ。どちらの給紙場所も、A4普通紙で約150枚、郵便はがきで約40枚をセットできる
C5180:C7180と同様、前面給排紙を採用する。フォト給紙トレイに入れる用紙がカールしていると、ミスフィードや紙詰まりが発生しやすいため、給紙枚数を少なくすると安全だ
給紙/排紙トレイの構成
モデル名 PM-A970 MP960 PM-A920 MP810
給紙トレイ 前面×1、背面×1 前面×1、背面×1 前面×1、背面×1 前面×1、背面×1
給紙容量 前面:約150枚、背面:約120枚 前面:約150枚、背面:約150枚 前面:150枚、背面:150枚 前面:約150枚、背面:約150枚
排紙トレイ 前面 前面 前面 前面
自動両面印刷 × 別売
モデル名 C7180 PM-A820 MP600 C5180
給紙トレイ 前面×2 前面×1 前面×1、背面×1 前面×2
給紙容量 前面1:約100枚、前面2:約20枚 前面:約120枚 前面:約150枚、背面:約150枚 前面1:約100枚、前面2:約20枚
排紙トレイ 前面 前面 前面 前面
自動両面印刷 × ×

CD/DVDレーベル印刷

 CD/DVDレーベル印刷機能は、日本HPの2モデル以外が採用している。エプソンやキヤノンのモデルは、PCからの印刷に加えて、メモリカードなどからのダイレクト印刷やレーベル面コピーにも対応しているため、使い勝手はよい。キヤノンのモデルは、メモリカード内の画像に手書き文字やイラストを加えてレーベル印刷が可能だ。エプソンのPM-A970に関しては、CD-RW/DVD-ROMコンボドライブを搭載しており、メモリカードの画像をCD-R/RWメディアに保存したうえで、CDレーベル印刷が行えるというソリューションを提供している。PCを使わずに、写真データをバックアップできる点に魅力を感じるなら要注目だ。

PM-A970:排紙トレイ上部のCD/DVDガイドを押し込むと、前方にスライドしてくる。再び押し込むと格納される仕組みだ。付属するCD/DVDトレイの挿入は手軽で、印刷メディアの内径と外径を微調整できる
MP960:排紙トレイの奥にあるCD/DVDレーベル専用ガイドを手前に開き、付属のメディアトレイを差し込む。ダイレクト印刷とレーベルコピーが可能で、PCを介さず手書き文字やイラストも印刷できる

PM-A920:前面のCD/DVDガイドは電動式で、操作パネルのボタンで開閉する。レーベルコピーや印刷メディアの内径と外径の微調整に対応する。付属ソフトは従来同様「EPSON Multi-PrintQuicker」
MP810:メディアのセット機構はMP960と同じで、メモリカード画像と手書き文字、イラストでレーベル印刷する機能も持つ。付属ソフトは従来と同じ「らくちんCDダイレクトプリント for Canon」だ

PM-A820:排紙トレイの引き出し部分を収納した状態で左側のレバーを下げると、排紙トレイが持ち上がってCD/DVDガイドになる仕組みだ。レーベルコピーや印刷メディアの内径と外径の微調整も可能
MP600:CD/DVDガイドと付属のメディアトレイの使い方はMP960やMP810と同等。ただし、PCを使わずメモリカード内の画像に手書き文字やイラストを加えてレーベル印刷する機能には対応しない

CD/DVDレーベル印刷
モデル名 PM-A970 MP960 PM-A920 MP810
PCから印刷
ダイレクト印刷
レーベルコピー
モデル名 C7180 PM-A820 MP600 C5180
PCから印刷 × ×
ダイレクト印刷 × ×
レーベルコピー × ×

プリンタドライバ

 PCで利用するプリンタドライバは3社3様だ。タブを切り替えながら行う基本的な印刷設定の仕方は変わらないが、設定内容の一覧性はエプソンのドライバがよい。もっとも、キヤノンと日本HPのドライバも基本的には分かりやすく、大きな不満は感じないだろう。キヤノンのモデルは、用紙種類や印刷品質に応じた高精度なICCプロファイルが付属するのが特徴だ。日本HPは、用紙センサの搭載により用紙種別や用紙サイズの設定をプリンタ任せにできるほか、手動での選択にも対応する。ちなみに、最高解像度での印刷設定は、メニューの詳細設定でしか選べないことがある点を覚えておきたい。

エプソン:従来機から改良され、画面レイアウトと詳細設定関連の項目が整理された。設定一覧を別ウィンドウに分離したことで、メイン画面でどのタブを開いていても、現在の設定内容を確認できるので使いやすい。色補正などの詳細設定も別ウィンドウで開く
キヤノン:従来のデザインと機能を踏襲している。各モデルごとに、用紙種類や印刷品質に応じた高精度なICCプロファイルが付属する。基本設定タブの情報量が少ないため、今後は基本設定タブで現在の設定内容を一通り確認できるようになってほしいところだ
日本HP:昨年のドライバ画面から、タブ画面が7枚から4枚に減って見やすくなった。通常の印刷設定は「印刷機能のショートカット」タブで完結する。8通りのタスクから印刷目的を選ぶが、ユーザー設定の登録と選択が可能になったのも強化点として挙げられる
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