スキャンとカラーコピー機能は、イメージセンサがCCDかCISか、フィルムスキャンに対応するかどうかで使用感が変わってくる。センサがCCDの場合は、被写界深度が深いため、立体物や本の見開きなどをスキャンしやすい。フィルムスキャンは、PM-A970、MP960、PM-A920、MP810、C7180の5モデルが対応するが、このうちMP960は35ミリスリーブを最大12コマ連続で読み取れるアドバンテージがある。フィルムスキャンを行うなら、スキャナの光学解像度も重要だが、いずれも3200dpi以上を確保しているので、スペック面での不足はない。実際のコピーやスキャンのスピード、画質については次回以降で紹介する。
PM-A970:光学4800×9600dpiのCCDセンサを搭載する。対応フィルムは35ミリネガ/ポジのスリーブとマウント。スリーブは最大6コマ、マウントは最大4コマの連続スキャンが可能だ。付属のフィルムホルダは1枚で、向きによってスリーブとマウントを使い分ける
MP960:光学4800×4800dpiのCCDセンサを搭載。35ミリスリーブは最大12コマ(2列)、35ミリマウントは最大8コマの連続スキャンが行える。スリーブ用とマウント用のフィルムホルダが付属し、どちらか片方は原稿カバー内部に収納しておける
PM-A920:CCDセンサの光学解像度はPM-A970より低い3200×6400dpiだが、フィルムスキャンでも十分だ。連続スキャンは、35ミリスリーブが6コマ、35ミリマウントが4コマとなる。スリーブ/マウント兼用のフィルムホルダは、原稿カバー内部に収納できる
MP810:センサはCCDで、光学解像度は4800×4800dpiと上位機同様だ。35ミリスリーブ最大6コマ(1列)、35ミリマウント最大4コマの連続スキャンが可能。スリーブ用とマウント用のフィルムホルダが付属し、両方を原稿カバーの内部に収納しておける
C7180:搭載するCCDセンサは、光学解像度が4800×4800dpi。35ミリネガスリーブ最大6コマ(1列)、35ミリポジマウント最大4コマの連続スキャンが行える。付属のフィルムホルダは1枚で、二つ折りにして原稿カバーの裏側に収納できる仕組みだ| 反射原稿&フィルムスキャン/カラーコピー | ||||
|---|---|---|---|---|
| モデル名 | PM-A970 | MP960 | PM-A920 | MP810 |
| スキャンセンサ | CCD | CCD | CCD | CCD |
| スキャン光学解像度 | 4800×9600dpi | 4800×4800dpi | 3200×6400dpi | 4800×4800dpi |
| スキャン入力/出力階調 | RGB各色16ビット/16ビット | RGB各色16ビット/16ビット | RGB各色16ビット/16ビット | RGB各色16ビット/16ビット |
| 連続フィルムスキャン枚数 | 35ミリスリーブ×6、35ミリマウント×4 | 35ミリスリーブ×12、35ミリマウント×8 | 35ミリスリーブ×6、35ミリマウント×4 | 35ミリスリーブ×6、35ミリマウント×4 |
| コピー指定倍率 | 25〜400% | 25〜400% | 25〜400% | 25〜400% |
| 連続コピー枚数 | 1〜99枚 | 1〜99枚 | 1〜99枚 | 1〜99枚 |
| モデル名 | C7180 | PM-A820 | MP600 | C5180 |
| スキャンセンサ | CCD | CIS | CIS | CIS |
| スキャン光学解像度 | 4800×4800dpi | 1200×2400dpi | 2400×4800dpi | 2400×4800dpi |
| スキャン入力/出力階調 | RGB各色16ビット/8ビット | RGB各色16ビット/8ビット | RGB各色16ビット/8ビット | RGB各色16ビット/8ビット |
| 連続フィルムスキャン枚数 | 35ミリスリーブ×6、35ミリマウント×4 | × | × | × |
| コピー指定倍率 | 50〜400% | 25〜400% | 25〜400% | 50〜400% |
| 連続コピー枚数 | 1〜50枚 | 1〜99枚 | 1〜99枚 | 1〜50枚 |
コピーやダイレクト印刷の使い勝手を左右する操作パネルは、各社によって工夫が見られる。エプソンは上位モデルで高品位な液晶モニタを採用し、印刷後の色合いを液晶モニタでエミュレートして確認する「仕上がりView」機能を持つ(表示が完了するまでに時間がかかるのが難点)。操作パネルを左から右に移動しながら、ボタンを押していくことで設定からプリントまでが行えるように操作の流れを考えたボタン配置にしてある点は分かりやすい。
キヤノンは新採用のホイール型インタフェースEasy-Scroll Wheelと、ホイールに最適化したメニュー構成により、直感的な操作性を実現しているのがポイント。iPodのように、ホイールを回転させて目的のメニューを選び、階層をたどっていくスタイルは、初心者でも理解しやすいだろう。操作案内用のナビボタンと、スタート画面に戻れるホームボタンも便利だ。
日本HPは、モデルによって操作ボタンの構成が大きく異なるが、液晶モニタのメニューはキオスク端末風のインタフェースのHP Photosmart Expressに統一されている。操作ボタンを多めに設けて、目的の機能にアクセスしやすくしているため、慣れとともに使いやすくなるが、ボタン数の多さに最初は戸惑ってしまうかもしれない。設定内容の一覧性や直感的な操作性では、一歩譲る印象を受けた。ダイレクトプリンタでは、タッチパネル式の液晶モニタで直感的に操作できるモデルもあるので、今後の洗練に期待したい。

PM-A970:4.0インチのPhoto Fine Ultra液晶は広色域で色鮮やかな表示だ。基本操作はモードボタンと4方向ボタン、OKボタンで行う。多機能ゆえにメニュー構造は少し複雑で、ボタンを押す回数が多くなる場面もあるが、内容自体は理解しやすい
MP960:チルト式の3.5インチ液晶モニタを開くと、操作パネルが出現する。回転式のEasy-Scroll Wheelと、それに連動した液晶メニューはこれまでの複合機になかった操作感で使いやすい。液晶モニタの色域はPM-A970に劣るが、従来機より品質は高い
PM-A920:3.5インチの液晶モニタはPhoto Fine Ultra液晶ではないが、視認性は問題ない。ただし、チルト機構がなく、角度が常時固定なのは残念。操作ボタンとメニュー構成はPM-A970とほぼ同じで、機能が少ないぶん、PM-A920のほうが若干シンプルだ
MP810:チルト式で3.0インチの液晶モニタは表示品質が高いほうだ。操作パネルのボタン類、Easy-Scroll Wheelによる優れた操作性、メニューの内容については、MP960と共通化されている。ホイールの回転のほか、十字キーでもメニューの操作が行える
C7180:操作パネル全体がチルトし、3.6インチ液晶モニタの視認性は良好。ボタン類の多さは慣れが解決してくれるが、今年から導入されたメニューのHP Photosmart Expressは好みが分かれそうだ。電源ボタンは本体の右端に配置されている
PM-A820:液晶モニタは2.5インチだ。チルト機構はないが、視野角は広く、操作パネルにも斜めの角度がついているため、見にくくはない。ボタン類やメニューはPM-A970やPM-A920とほぼ同じだが、液晶モニタが小さいので、表示が窮屈な感は否めない
MP600:液晶モニタは2.5インチで、視認性は良好といえる。操作パネルのボタン類はMP960やMP810と同じ構成で、配置や印刷枚数ボタンの形状が少し違うだけだ。Easy-Scroll Wheelによるメニューの操作方法も上位モデルと共通化され、使いやすい
C5180:多くの機能ボタンが独立しており、慣れればすばやい操作が可能になる。液晶モニタは2.4インチと小さめだが、視認性は悪くない。メニューはC7180と同様、キオスク端末風のインタフェースを持つHP Photosmart Expressとなっている| 液晶モニタと操作パネル | ||||
|---|---|---|---|---|
| モデル名 | PM-A970 | MP960 | PM-A920 | MP810 |
| 液晶モニタ | 4.0インチ | 3.5インチ | 3.5インチ | 3.0インチ |
| モニタ角度調整 | チルト対応 | チルト対応 | × | チルト対応 |
| 操作パネル | 十字キー、操作ボタン×15 | ホイール、十字キー、操作ボタン×13 | 十字キー、操作ボタン×15 | ホイール、十字キー、操作ボタン×13 |
| モデル名 | C7180 | PM-A820 | MP600 | C5180 |
| 液晶モニタ | 3.6インチ | 2.5インチ | 2.5インチ | 2.4インチ |
| モニタ角度調整 | チルト対応 | × | チルト対応 | チルト対応 |
| 操作パネル | 十字キー、操作ボタン×37 | 十字キー、操作ボタン×13 | ホイール、十字キー、操作ボタン×13 | 十字キー、操作ボタン×19 |
PCで利用するスキャナドライバは、単体のフラットベッドスキャナ製品でドライバの完成度を高めてきたエプソンとキヤノンにアドバンテージがある。単体のフラットベッドスキャナと異なり、フィルムスキャン対応モデルのごみ傷除去はハードウェア処理に対応していないが、ソフトウェア処理が行える。もっとも、ソフトウェア処理は精度があまり高くなく、画質を損なう原因になってしまう場合もあるので注意したい。利用目的やスキルに応じて、複数のモードを選べる点は気が利いている。
エプソン:従来と同じく、スキャン対象を自動判別する「全自動モード」、最小限の設定を行う「ホームモード」、詳細な設定を行う「プロフェッショナルモード」を用意する。柔軟なマルチクロップや多彩な色補正ツールなど、完成度が高い
キヤノン:簡単設定の「基本モード」、詳細な色調整などが行える「拡張モード」、複数原稿の自動スキャンを行う「マルチスキャン」をタブで切り替えて利用する。フィルムスキャン対応モデルのごみ傷除去はソフトウェア処理となっている
日本HP:スキャナドライバは従来と大きく変わらず、機能と使い勝手は洗練されていない印象を受ける。レベル調整(ウスク/コク)はヒストグラム、色調整はトーンカーブに変更してほしいところ。全体的にシンプルな作りのドライバだCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.