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サーバの転ばぬ先の杖――「LB パーティションコマンダー10 Server」(1/2 ページ)

» 2007年02月05日 18時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

 サーバ系のOSで大容量のHDDを利用する場合、安全性を考慮してシステムドライブとデータドライブを分割することはごく一般的に行われている。しかし、OS標準のパーティション操作は、いままで作成と削除くらいしかなかった。そのため、データを保持しながらパーティション操作ができるサードパーティ製ソフトは以前から販売されている。空き容量不足をパーティション操作で解決したり、根本的にHDDを換装するする際には必須のソフトと言っていい。

 ライフボートの「LB パーティションコマンダー10 Server(以下、PC10S)」もそのうちの1つだ。今回、ついにバージョン番号が2桁となり、定番ソフトとしてますますの機能強化が図られている(なお、日本での前バージョンは「パーティションコマンダー8」であり、米国で発売された「バージョン9」はスキップしている。それだけに新機能も目白押しだ)。さっそく紹介していこう。

リスクを最小限に抑える洗練されたGUIに

 パーティションを編集することは非常に危険性の高い作業だ。Windowsでファイルシステムを経由して行う通常の操作に比べ、よりハードウェアに近いレベルの操作になるため、「ファイルが消えてしまった」「OSからパーティションが見えない」「システムが起動しない」といったさまざまなトラブルが発生することがある。その原因にはハードウェアの問題やソフトウェアの問題などいろいろあるが、単純にユーザーの操作ミスであることも多い。

 PC10Sでは、ユーザーの操作ミスを軽減するために、いくつかの対策がとられている。まずはWindows上のGUIだ。使い慣れたインタフェース上で操作できるため、ケアレスミスを起こしにくいのが1つ。また、高解像度画面による情報量の多さは、操作のしやすさに加えて、そのまま判断ミスの防止にもつながる。

PC10Sの操作画面。大抵の操作はディスクビューかタスクから可能だ(画面=左)。ディスクビューのショートカットはパーティションによって変化する(画面=中央)。ボリュームエクスプローラからエクスポートしてファイルのバックアップができる。この場合はデータが完全にコピーされる(写真=右)

 PC10Sを起動すると、現在接続されているHDDのディスクマップが一覧表示される。ディスクビューには、そのパーティションのタイプによって、異なるウィザードへのショートカットが表示される。ウィザードで用意されているものはパーティションの作成、フォーマット、削除、コピー、結合、ハードディスクのコピー、空き領域の移動、削除パーティションの復元の8つだ。

 そのほか手動で可能な操作は、パーティションの移動、サイズ変更といった一般的なパーティション操作と、FAT16/FAT32/NTFS間や基本パーティション、論理パーティション間のファイルシステム変更、パーティション/MFTの最適化、また、MBRの更新や基本スロットの変更、セクタ編集など多岐にわたる。

可能なパーティション操作は多岐に渡る。パーティションの最適化(デフラグ)もPC10Sからの新機能だ(画面=左)。セクタ編集機能は、システムが起動しなくなった時などに、リカバリやデータサルベージ用途で重宝するだろう(画面=中央)。NTFSのバージョンをXP用(3.01)から2000用(3.00)、NT用(1.02)にダウングレードできる(画面=左)

「パーティションの結合」と「HDDのコピー」でメンテナンスが容易に

 新しく追加された操作のうち、重要なのは「パーティションの結合」と「HDDのコピー」だろう。1度分割したパーティションを1つにまとめたい場合、従来だとあらかじめ一方のパーティションにあるフォルダやファイルを別のパーティションにコピーし、いったんこちらを空にしてからパーティションを削除して、コピー先のパーティションのサイズを変更した後に、退避しておいたデータをコピーする、という手順を踏まなければならなかった(文章を読むだけでも面倒そうだ)。

 さらにこの手順では、作業用に余分なHDD空き容量が必要になる。本来余裕がないために行う処理なのに、空き容量がなければできないのだ。このため、通常は外付けドライブなどを利用するが、外付けドライブは内蔵ドライブに比べると、(eSATAを除いて)データ転送速度が低速なことが多い。つまり、非常に時間がかかってしまう。

 今回実装されたパーティションの結合は、このような余裕のない状況でも内蔵ドライブのみで実行可能だ。ちなみに、削除されるパーティションに存在していたフォルダとファイルは、ユーザーが指定したフォルダの中にコピーされ、同名のファイルがあっても上書きされることはない。パーティションを結合した後に必要に応じて移動させればよい。

パーティションの結合もPC10Sの新機能だ(画面=左)。パーティション結合を実行する前に変更後の様子を確認できる(画面=中央)。該当するパーティションが使用中の場合は警告を表示してくれる。試用中のファイルを閉じてから再試行したり、PCを再起動した後に実行することもできる(画面=右)

 また、HDDのコピーも利用価値の高い機能だ。HDDはPCパーツの中でも最も酷使される可動部品の1つで、古いものを長く使い続けるよりは、空き容量が少なくなってきたら大容量のHDDに丸ごと交換してしまうほうが望ましい。

 HDDのコピーでは元のパーティションの容量比率に応じてパーティションを自動的に拡大することができる。コピー元が20Gバイトと80Gバイトに分割された全体で100GバイトのHDDだった場合、これを300GバイトのHDDにコピーすると、それぞれ60Gバイトと240Gバイトのパーティションが作成される。

 なお、これらの操作はウィザードを含め、即座に反映するのではなく、変更内容として一時保留された状態になる。ここで「変更内容の表示」を選択し、間違いがないことを確認してから適用するという手順を踏む。「操作の指定」と「実際の処理」を分離することで、効率のよいオペレーションと処理内容の再確認を両立しているわけだ。

 また実際の処理は、システムパーティションの操作以外は、再起動をせずにそのままWindows上で行われる。サービスを停止させる必要がないというのは、サーバOSにとっては非常に重要だ。

指定した処理はまとめて適用される。適用前に再確認ができるだけでなく、複数の処理をまとめて実行すればPCの前で待っている必要もなくなる(画面=左)。パーティション操作中に表示されるダイアログ(画面=右)。アニメーションが動作していれば実行中だと分かるので、時間がかかっても(ちゃんと動いているかどうか)不安になることもない
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