高音質PCは立派なオーディオ機器になれるか?――オンキヨー「SPX-1」Vistaに頼らず音を追究(2/4 ページ)

» 2007年04月04日 11時00分 公開
[八木慎伍,ITmedia]

独自サウンドカードと双方向リモコンでオーディオ機器らしさを追求

SE-90PCIベースのサウンドカード。カード中央付近に音声入力端子を実装している

 もちろん、HDC-1.0は単なる静音PCではない。音質を大きく左右するサウンドカードにもこだわりがある。サウンドカードは、2チャンネルの音楽再生機能に特化した「SE-90PCI」をベースにHDC-1.0用に設計し直し、音声入力端子を加えたもの。アナログ出力部の構成パーツをL側とR側で左右対称に配置したシンメトリー設計や、パルスノイズ除去技術の「VLSC」、ノイズを低減する大型電解コンデンサや肉厚の銅バスプレートが特徴となっている。

 サウンドカードのコントローラはVIA Envy24MT、DACは24ビット/192kHz対応のWolfson WM8716、ADCはWolfson WM8776といった構成だ。インタフェースは、光デジタル音声出力と、金メッキ仕様のRCAアナログ音声入出力を備える。同軸デジタル音声出力は用意されていない。周波数特性は0.3Hz〜88kHz、S/N比は110デジベルで、メーカー製PCが搭載するサウンドカードとしては非常に高品質だ。

 音声入出力の設定は、タスクトレイに常駐する「Envy Audio Deck」から行う。Envy Audio Deckでは、再生する音楽のサンプリングレート変更、スピーカーの音声出力テスト、光デジタル音声出力の信号選択(ドルビーデジタル/DTS、PCM)、音声出力のボリューム調整、音声入力のレベル調整などが可能だ。光デジタル音声出力のサンプリング周波数は48kHzに固定される。また、拡張設定にある「Immezio 3D Effects」のチェックボックスをオンにすると、イコライザーや残響効果のQEM、2チャンネルで3次元的な音声の広がりを表現するQXpanderといった機能が利用できる。

 ただし、よりよい音質で聞くためには、Envy Audio Deckの音量出力を最大値に設定しておき、接続したアンプ側で音量を調整することが推奨されている。また、音声入力のレベルは一番下に設定するのが推奨値だ。

Envy Audio Deckでは、音声出力のボリュームやサンプリングレート、光デジタル音声出力の信号出力方法(写真=左)、音声入力の入力レベル(写真=中央)などを調整できる。イコライザー機能はTechno、Jazz、Pop、Classicのプリセットから選べるほか、任意の設定を保存することも可能だ(写真=右)

 オーディオ機器としての使い勝手を実現するため、2.4GHz帯の電波と赤外線のハイブリッド方式による高度なリモコンが付属しているのもユニークだ。PC本体とは2.4GHz帯の電波で接続され、情報を相互にやり取りできる双方向リモコンとして機能する。具体的には、Vista上の音楽再生・管理ソフト「CarryOn Music 10」から曲目リストをリモコンに伝送し、リモコンのモノクロ液晶ディスプレイで曲目を見ながら選曲することが可能だ。

 音楽ファイルは「全ての音楽」「アーティスト」「アルバム」「ジャンル」「プレイリスト」「自動プレイリスト」「フォーマット」(MP3やWMAなど)の項目から選択できる。リモコンの上下ボタンで項目を選び、Enterボタンを押すといった操作を繰り返すことで、楽曲を絞り込んでいく仕組みだ。楽曲の再生中は、リモコンの液晶ディスプレイに曲情報や経過時間、曲の進行状況を示すバーが表示される。もちろん、ランダム再生やリピート再生(1曲リピート/全曲リピート)、PCのスリープ/復帰といった操作もリモコンのボタンで行える。

 曲目リストの転送時間が数秒かかってしまうのと、もうちょっと液晶ディスプレイの情報量が多くて、ポータブルHDDプレーヤー並みの使用感なら申し分ないのに、とも思ってしまうが、PCのディスプレイが表示されていなくてもリモコンの液晶ディスプレイで曲目を選んで再生できるというジュークボックスのような操作感は、これまでにない新鮮さだ。この工夫のおかげで、PCを意識せずに音楽再生が楽しめるだろう。ちなみに、このリモコンはDVD-Video再生ソフト「Power DVD 7」の操作にも使える。

 一方、付属のスピーカーや、ほかのオンキヨー製アンプの操作はリモコンの赤外線で行う。電源のオン/オフや音量調整、入力切り替えが可能だ。1つのリモコンでPCのソフトウェアとスピーカー、アンプなどの操作をまとめられるのはありがたい。

液晶ディスプレイを搭載した専用のリモコンが付属する(写真=左/クリックで全体を表示)。無線と液晶ディスプレイを駆動するため消費電力が大きいのか、電源は単四形乾電池4本が必要だ。リモコンの液晶ディスプレイは日本語の4行表示に対応(写真=左)。選択した項目は、文字が右から左にスクロールするので全文が読める。リモコンは、USBメモリキーのようなリモコン受信部を本体背面のUSB 2.0ポートに接続して利用する(写真=右)。リモコン受光部用の延長ケーブル、DVI-I端子に接続するアナログRGB変換アダプターも付属する

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