ベールを脱いだ“Leopard”――新しい外観、新しいFinderで再デビューWWDC'07 基調講演「Leopard」編(4/4 ページ)

» 2007年06月12日 18時30分 公開
[林信行,ITmedia]
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iChat、Time Machine、そして価格は……

9. iChat――00:52:40

 9番目の機能は、新しくなったiChatだ。ビデオ会議の機能が大幅に強化される。特徴は以下の通り。

1、オーディオCODECの改善(AAC-LD形式を採用)

2、チャットウィンドウのタブ化

3、Photo Booth効果

4、iChat Theater

5、背景を変更するバックドロップ機能

 このうち2は複数のテキストチャットを1つにまとめる機能、4はiPhotoのスライドショーやKeynoteのプレゼンテーションをiChat越しで共有する機能、5は一瞬だけカメラの画角の外で待機すると、iChatが自動的に背景の映像を記憶して、その部分をほかの映像で置き換えるという機能だ。

 ここでジョブズ氏が相棒、フィル・シラー氏(ワールドワイドマーケティング担当上級副社長)をビデオチャットで呼び出すと、彼はiChat TheaterでKeynoteのプレゼンテーションを見せた後、自らを海中の映像や滝の映像に合成してみせた。

 続いて披露されたPhoto Booth効果は場内の喝采を受けた。サーモグラフっぽい表示や画像の上下反転といった効果も新たに加わっているようだが、大ウケだったのは半透明化の効果だ。まるでSF映画に出てくる立体TVよろしく、自身の映像が青っぽい少しぼやけた映像で半透明に表示される。また、たまに映像が乱れるといった凝った効果も加わっている。さらに肖像画に口の部分だけを合成するという効果も加わるようで、シラー氏は初代大統領ジョージ・ワシントン氏の人物画でデモをした。

 しかし、大爆笑だったのはその後だ。海外のニュース媒体で、たびたびアップルの悪口をいうことで知られるマイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOの写真が登場したのだ。シラー氏はバルマー氏になりきって「Mac大好き!」とおちゃらけてみせた。

10. Time Machine――00:59:40

 スティーブ・ジョブズCEOによるLeopardのデモ、最後のおおとりとなったのはTime Machine機能だった。

 ジョブズ氏は今日のパソコンにはデジタルカメラの写真など貴重なデータが入っているにも関わらず、ほとんどの人はデータの自動バックアップをしていないと語り、ユーザーのデータが危険にさらされていることを警告した。そこでアップルが開発したのがTime Machine機能だ。

1、ワンクリックで簡単セットアップ

2、自動的にすべての情報をバックアップ

3、ローカルHDDにもネットワーク上のボリュームにもバックアップ可能

4、無線LANにも対応

 ジョブズ氏は「バックアップ用HDDはMacに外付けしても構わないが、最近発売したAirPort Extreme(日本ではAir Mac Extreme)にHDDを外付けしてもできる」と語った。「そうすれば家族全員で1つのHDDを共有し、そこにバックアップができる」。

Spotlightで出ないデータもTime Machineで遡れば取り戻すことができる。AirPort Extremeに接続したHDDも対応

 Time Machineは壊れたHDDの復旧だけでなく、紛失したデータや書類の復旧にも活用できる。ジョブズ氏はSpotlight検索をしても出てこなかった書類が、Time Machine機能を使って時間を遡ることで表示される模様をデモしてみせた。

Leopardの価格は――複数のエディションが存在する!?

 10の機能の紹介を終えたジョブズ氏は、Leopardの出荷は10月であるが、WWDCに参加している開発者にはすぐに、これらの新機能を搭載した最新版を提供すると発表した。これから秋の出荷までにCore Animationなどの機能を活用したLeopardアプリケーションがある程度は出そろうことが期待できそうだ。最後にジョブズ氏は、Leopardの価格を発表した。

 「Basic版の価格は129ドル」。

 これまでMac OS Xは、1種類のバージョンしかなかったが、Windows Vistaにならって、ユーザーセグメントごとに分離したバージョンを用意したのだろうか。場内がどよめき始めた。ジョブズ氏はおかまいなしに続ける。

 「このBasic版にいくつかの機能を加えたPremium版が……129ドル」。

 ジョブズ氏は悪ノリしてさらに続ける。

 「……企業向けのエンタープライズ版が129ドル。すべての機能を搭載したUltimate版が129ドル」。

Business Version、Enterprise Version、Ultimate Version……

 どうやらジョブズ氏流のジョークだったようで、Mac OS X “Leopard”もこれまで通り、分かりにくいターゲットごとのOSセグメント化などは行わず、1つのパッケージにすべての機能が入ったワンパッケージ戦略――そしてわずか129ドルの価格で提供される。

 ちなみに会場で開発者たちに配られていたLeopardのDVD-ROMは、無数の星が散りばめられた背景に「X」が描かれたデザインだったが、1つすごかったのが背景の星がホログラム効果で立体的に映し出されていた点。あのホログラム効果、ぜひ製品版でも実現して欲しいものだ。

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