新MacBook ProがSanta Rosa世代のアーキテクチャを採用したということで、いろいろと想像を膨らませているかもしれない。しかし、MacBook Proは言うまでもなくCentrino Pro/Duo対応製品ではないし、OSもWindowsではない(Windowsも使えるが)。それでは、Santa Rosaによってどの部分が変わったのか、アップルに聞いてみた。
アップルのプロダクトマーケティングディレクター服部浩氏によれば、「Santa Rosa世代になったのはCPUとチップセット(Intel 965 Express)のみ」で、無線LANモジュールについては「以前から独自にドラフト11nの高速な無線LANモジュールを採用していたため、変更の必要はありません」とのこと。
つまり、FSBが667MHzから800MHzに高速化したことと、現状で最高速となる2.4GHz版をはじめ、高クロックのCore 2 Duoを搭載している点がメリットになる。グラフィックスチップはチップセット内蔵ではなく、ATI Mobility Radeon X1600からNVIDIA GeForce 8600M GTへの変更なので、こちらは別にSanta Rosaの恩恵ではない(性能が向上しているのは間違いないが)。余談だが、ATIがAMDに買収されたことが、採用に影響を与えたようなことはとくにないとしている。
気になるのは、Santa Rosaに組み込まれた新機能がMac OS Xではどうなっているのかということだが、「Intel Turbo MemoryはWindows Vista向けに作られたもので、MacはOSレベルで起動を高速化する技術を最初から採り入れています」と主張。インテルはIntel Turbo Memoryのメリットとして、「Windows Vistaでしか使えないReadyBoostと違ってOSを選ばない」と説明していたが、Macには不要ということか。
それでは、シングルスレッド動作時に片方のCPUコアを休止状態にし、もう片方のCPUコアを200MHzクロックアップするIntel Dynamic Accelerationは採用しているのかという問いに対しては、「Mac OSの場合、通常の操作でも常にデュアルコアで動作する仕組みで、シングルスレッド時にクロックアップさせる機能を搭載するメリットがない」という。
そのほかにもSanta Rosaに組み込まれた新機能はいくつかあるが、結論としてはSanta Rosaの採用によるMac OSの機能変更や追加はないということだ。少し残念な気もするが、従来機から着実にパフォーマンスアップしたのは間違いないので、この点で不満に感じることはないだろう。実機に少し触ってみたが、思いのほかキビキビと動作していた。目利きユーザーや某ベイダー卿の評判も上々なようだ。
ついでにもう1つ。15インチモデルがLEDバックライトを採用していることから、もっと天板を薄くできたのではないかと聞いてみたが、「MacBook Proはもともと厚さ1インチのスリムなボディを採用していて、スリムなデザインは完成されています。天板を薄くすることは技術的には可能かと思いますが、デザインのバランスを変えないことも重要なのです」との答えが返ってきた。
従来機が採用していた冷陰極管バックライトに対するLEDバックライトの長所は、軽量、低消費電力、最大輝度までアップする時間が短い、水銀フリーといったところだ。新しい15インチのMacBook Proを従来機と比べると、重量は0.09キロ軽くなり、バッテリー駆動時間は1時間延びている。なるほど、わずかではあるが、LEDバックライトの長所が生かされているようだ。
ちなみに、同社は2007年中にLEDバックライトの採用で製品に含まれる水銀をカットすると宣言していたが、今回のMacBook Pro発表によって公約は守られたことになる。
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