2系統のHDMIと黒挿入技術を備えた24.1インチワイド液晶――三菱電機「VISEO MDT241WG」を試すピアノ調塗装で高級感も演出(2/3 ページ)

» 2007年07月19日 17時30分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

「MPエンジン」と「スルーモード」でゲームユーザーに訴求

 MDT241WGの大きな特徴は、アクションゲームのような高速応答を求められる映像表示で残像感を減らすため、同社が「MPエンジン」と呼ぶ技術を搭載している点だ。MPエンジンを構成するのは、中間階調の応答速度を改善する「オーバードライブ回路」、表示フレームへの「黒画面挿入」、および黒画面挿入と同期してバックライトの一部を点滅させる「バックライトスキャニング」という3つの要素だ。

 OSDでの設定項目は「MP MODE」で、機能オフを含めて4段階のレベル調整ができる。MP MODEの効果は高く、アニメ映像やアクションゲームの輪郭、文字のスクロール、サッカー映像におけるボールの動きなどが、とてもシャープに見えた。ただし、黒画面挿入とバックライトスキャニングは、輝度の低下と画面のちらつきという副作用もある。最高のレベル3だと見た目にもはっきりと分かるので、コンテンツに合わせて最適なレベルをチョイスすべきだ。もっとも、MDT241WGは最高輝度500カンデラ/平方メートルと明るいため、MP MODEオン時に画面が暗くなって困るようなことはない。

MP MODEをオフした場合(写真=左)と、MP MODEをレベル2にした場合(写真=右)。写真を撮影したカメラ側の露出は変えていないが、輝度が下がっているのが分かる

 また、映像と音声の遅延を低減するスルーモードが特徴的だ。液晶ディスプレイでは、入力信号に対して色調整などの各種デジタル処理を施して表示するため、多かれ少なかれ映像や音声の遅延が発生している。これはとくにゲームで問題になりやすい。MDT241WGのスルーモードは、いくつかのデジタル処理をバイパスすることで、映像と音声の遅延を減らす機能だ。

 ただし、スルーモード時はスケーリング機能が全画面拡大の固定となり、色調整でも使えなくなる機能がある。今回は、操作レスポンスの遅延にシビアと言われる何種類かの音楽ゲームでスルーモードの有効と無効を比較してみたところ、あくまで目視による感覚的な印象だが、無効だと確かにフレーム遅延が少なくなったような気がした。

画質の調整機能も豊富

前面に操作ボタンとヘッドフォン端子を配置

 本体前面の操作ボタン類はシンプルな構成だ。OSDのメニューは「MENU/EXIT」ボタンで呼び出し、OSD操作は押し込み式の4方向ボタンで行う。入力系統の切り替えは「INPUT/SELECT」ボタン、「DV MODE」(プリセットの画質モード)の切り替えは「DV MODE/RESET」ボタンだ。「MP MODE/PIP」ボタンはMP MODE(残像感の低減機能)の強度やPIPの有効/無効を設定する。

 画質モードのDV MODE(Dynamic Visual Mode」には、スタンダード、テキスト、フォト、sRGB、ゲーム、ムービー、IV MODE(Intelligent Visual Mode)、スルーの8通りが用意されている。IV MODEは輝度を自動制御するモードで、オフ、ジュニア、ミドル、シニア、先述のスルーモードという選択肢がある。基本的に、画面の輝度を控え目にして、目の負担を和らげるモードだ。DV MODEは、本体前面の「DV MODE/RESET」を押すことで、OSDを開かなくてもトグル式で変更できる。

 画質の調整項目も多彩だ。PC入力とAV入力、およびDV MODEの設定によって若干の違いはあるが、ブライトネス、コントラスト、シャープネス、ブラックレベル、ホワイトレベルなどを調整できる。カラー設定では、色温度、RGB各色のゲイン、オフセット、彩度、色相の調整が可能だ。色相については、RGB各色のほかCMYの調整も行える。ただし、目視での色調整は難しいので(下手に値を変えると画質を損ねる)、通常はDV MODEの既定値で使うのが無難だろう。

プリセットの画質モードであるDV MODEは全部で8種類(写真=左)。これとは別に、映像の残像感を低減する機能のMP MODEがある。カラー設定にも詳細な項目が用意され、RGB個別のゲイン、オフセット(黒レベル)、彩度、色相(色合い)の調整が可能だ(写真=中央)。DVI入力の映像信号は、PC用の「PC」とゲーム機/AV機器用の「HD」が選べる(写真=右)

 10ビットの内部ガンマ補正機能を備えるだけあり、sRGBモードやスタンダードモードにおける静止画表示の階調性は優秀だ。さまざまな色のグラデーションを表示させても、トーンジャンプをほとんど感じさせない。黒白の無段階グラデーションで微妙な色被りが見られる部分もあったが、表示倍率で解消できるため、実際の使用では大きな問題にはならない。

sRGBモードでの画面表示例(写真=左)。カラーバー(写真=中央)とグレースケール(写真=右)の表示例

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