中国では1億6200万人のインターネット利用者がいるという(CNNIC調査、2007年7月)。そのうち37.2%にあたる6000万人強が主にインターネットカフェ「網バ」(バは口へんに巴)で利用するという。手元に資料がないため、日本におけるマンガ喫茶利用者の数の正確なところは分からないが、それでも6000万人、全人口でいえば半分にもあたる人々がマンガ喫茶を利用しているとは考えにくい。それほどの人数が中国ではインターネットカフェを利用しているのだ。それだけの需要にこたえる中国において、インターネットカフェ向けのPCの出荷台数が企業経営にとっていかに無視できない存在であるか分かってもらえると思う。
現にレノボやファウンダー(方正科技)などの中国大手PCメーカーだけでなく、地場のPCメーカーなどがネットカフェに最適化したPCをリリースしている。中国においては、デスクトップPCの種類として、日本でも見られる「個人向けPC」「ビジネス向けPC」に加えて「ネットカフェPC」が分類されて用意されているのだ。前回の連載でも紹介したように、ネットカフェ向けPCではファウンダーがレノボを凌ぎ、最もシェアを獲得している。ちなみにデルやHPなどの米国PCメーカーや中国に進出している日本のPCメーカーはネットカフェPC市場には参入していないため、この市場では、レノボ、ファウンダー、清華同方、TCL、浪潮、長城、方佳といった中国の大手PCメーカーと、地場のPCメーカーといった「生粋の中国PCメーカー」が競合する状態となっている。
中国のネットカフェに関しては、利用者が実名を登録しなければいけない条例だとか、ネットカフェでは監視カメラをつけなければいけない条例だとか、毎月のように規制に関するニュースが報じられている。その一環として、「ネットカフェのPCはかくあるべき」というガイドラインが2006年7月に施行された「ネットカフェ専用PC応用標準」で決められている。
中国政府文化部が取り決めた「ネットカフェ専用PC応用標準」では、まず国家認証の製品か否かの項目が以下のように定められている。
興味深いのは、続いて記載されている構成パーツの要求だ。抜粋して紹介しよう。
要求はこれだけにとどまらない。省電力に関してもいろいろな規定がある。
気になるソフトウェアに関しては以下のような記載があるのみだ。
無視できない存在だからこそ産まれたネットカフェPCのガイドラインであるが、いろいろ調べてもガイドラインにおいてOSやソフトウェアに関する記述は見あたらなかった。「正規版を入れないといけない」なんて書いたらハードルが高すぎるのだろうか。そのあたり、中央政府のお触れも曖昧にしているようだ。
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