実際に電源を投入してみると、その静音性に驚かされる。電源投入直後にファンが高速回転を始めることはなく、アイドリング中からベンチ計測中の高負荷状態まで、極めて静かな状態が継続されていた。
筐体内部には、2つのケースファンと、CPUクーラー、電源、グラフィックスカードの冷却ユニットと、多数のファンを内蔵しているが、ケース後方の12センチ静音ファンを初め、騒音・振動吸収シートを貼り付けたサイドパネルなど、静音性への配慮は徹底している。
今回は、本機を足元の床に設置した状態、つまり実際の利用シーンをそのまま再現した形で試用したのだが、この位置関係であれば、ファンノイズが耳障りになることはいっさいなかった。
外装をブラックで塗装したスチール筐体は、フロントベゼルの大部分を覆うメッシュ状のデザインと、青色LEDを用いたアクセスランプが高級感を演出する。
背面2カ所が手回しネジで固定されたサイドパネルを取り外せば、筐体内部にアクセスできる。光学ドライブとフロッピードライブはスマートケーブルで接続され、電源ケーブルも結束バンドで丁寧に束ねられるなど、筐体内部のエアフローを妨げそうな要素はまったく見当たらない。前面の吸気ファンから後部の排気ファンに向けてスムーズな気流が生み出されているのを実感できる。
筐体のサイズは標準的なミドルタワーケースをわずかに上回る程度ながら、5インチベイが5基、3.5インチベイが2基(うちオープンベイは1基)、HDD専用ベイが3基と、豊富な拡張性を備えており、HDDの増設や光学ドライブの追加にも余裕を持って対応できる。すべてのドライブベイはスライド式のストッパーでドライブを固定する方式だ。ドライブに専用のマウントを取り付けなくても、簡単かつ確実に固定できるほか、ケース背面の拡張カード固定部にも回転式のストッパーを採用しており、ほぼ完全なツールフリー構造を実現している。
ただし、評価機は拡張カードとダミーカバーのすべてがしっかりとネジ止めされており、残念ながら完全ツールフリー構造からは一歩後退する形となっていた。もっともこれは、共振による不快な騒音を防ぐための策と思われる。
マザーボードは4基のメモリスロットを搭載するが、BTOで選択できるメモリ容量は2Gバイト(1Gバイト×2)が上限となるため、パーツ構成に関わらず初期状態では2基が空きとなる。拡張スロットは、PCI Express x16が1基、同x1が2基、PCIが3基という構成だ。ただ、評価機は巨大なヒートシンクを搭載したグラフィックスカードが通常のカード2枚分の厚みを占有しており、最上段のPCI Express x1スロットがヒートシンクの下に隠れて利用不能となっていた。
また、2基めのPCI Express x1スロットを利用すると、隣のグラフィックスカードに密着するため、冷却性を確保するには未使用のまま残しておくほうがいいかもしれない。なお、PCIスロットのうち1基はサウンドカードが装着されており、残る2基をアップグレードパスとして利用可能できる。
ケース外部の端子類は、フロントベゼルの下部にUSB 2.0を2基、IEEE1394(6ピン)を1基搭載するのに加え、背面にも4基のUSB 2.0を用意。また、標準で6種類のメディアに対応したカードリーダー付きフロッピードライブが搭載されているので、デジタルカメラや音楽プレーヤー、携帯電話とも、メモリカードを介して簡単にデータをやり取りすることができる。
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